米CPI後に急伸するも上値は重たい。一巡後の反落リスクに要警戒
〇ドル円、米2月CPIの予想を上回る結果に米国時間に一時148.15まで急伸後、147円台後半での推移
〇ユーロドル、米長期金利上昇等に一時1.0902まで反落
〇ドル円CPI後の上昇でも148円台を維持できず、主要テクニカルポイントの下で推移、地合い弱い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小期待、日本企業の年度末に向けたレパトリ期待がドル円の重石
〇ドル円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:147.00ー148.25
海外時間のレビュー
12日(火)のドル円相場は急上昇。アジア時間朝方にかけて、安値146.62まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、(1)日経平均株価の持ち直し(リスク選好の円売り再開)や、(2)円金利低下に伴う円売り圧力、(3)米2月消費者物価指数(結果+3.2%、予想+3.1%、前回+3.1%)および、同コア指数(結果+3.8%、予想+3.7%、前回+3.9%)の市場予想を上回る結果、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)米主要株価指数の堅調推移、(6)短期筋のストップBUYが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値148.15まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/13午前3時30分現在)では、147.68前後で推移しております。尚、昨日は植田日銀総裁より「物価安定目標2%見通しが持てればマイナス金利解除・YCC、そのほかの大規模緩和策の修正を検討」とのタカ派的な発言が見られましたが、円買いでの反応は限られました。
12日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。(1)欧州株の堅調推移や、(2)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力が支援材料となる中、米国時間朝方にかけて、高値1.0943まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(3)米2月消費者物価指数および、同コア指数の市場予想を上回る結果や、(4)上記3を背景とした米長期金利の急上昇、(5)短期筋のストップSELLが重石となり、日本時間22時過ぎに、安値1.0902まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/13午前3時30分現在)では、1.0920前後で推移しております。尚、昨日はオーストリア中銀ホルツマン総裁より「ECBの利下げは4月よりも6月の可能性の方が高い」との発言が見られましたが、ユーロ買いでの反応は限られました。
本日の見通し
ドル円は米CPI後に急伸するも、結局148円台を維持することは出来ませんでした。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側に位置していることや、短期トレンドラインが上方より垂れ下がってきていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(数日以内には一目均衡表の雲の中に突入する恐れあり)。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀によるマイナス金利の早期解除の思惑(3/18ー3/19の日程で開催される日銀金融政策決定会合で日銀がマイナス金利の解除に踏み切るとの思惑。本日は春闘交渉の集中回答日、3/15には第1回集計結果も公表されるため、政策修正観測→円買いの流れを誘発しやすい)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(米CPIは市場予想を上回ったものの、依然として早期利下げ観測は残存。6/12FOMCでの25bp利下げ確率は62.4%で高止まり)、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違い(金融引き締めに向かう日銀と、金融緩和のタイミングを探るFRBとの金融政策格差→日米金利差縮小に伴う円キャリートレードの巻き戻しリスク)、(4)年度末に向けた日系企業のレパトリ観測など、ドル円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一巡後の反落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数と米30年債入札以外に目立った経済イベントが予定されておらず、また、明日以降に米2月小売売上高や、米2月生産者物価指数、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数などの重要イベントを控えていることもあり(様子見ムードが強まり易い外部環境であるため)、アジア時間・欧米時間を通して、方向感を見出しづらい時間帯が続きそうです。
本日の予想レンジ:147.00ー148.25
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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