方向感に乏しい地合い継続、5月の総選挙まで小動きか
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、経済指標がまちまちだったことから方向感に乏しい展開となり、週間では「往って来い」の格好となった。
5日に発表された第4四半期GDPが前年比+1.2%と市場予想の同+0.9%を上回る結果となったことや、国際的な金価格の上昇などが材料視されて、ランドは6日に7.9536円まで買われた。
ただ、7日に発表された第4四半期経常収支が1660億ランドの赤字と、前回の340億ランドの赤字と市場予想の940億ランドの赤字を大幅に上回る赤字額となったことから、ランド買いは一服。
また、3月の日銀金融政策決定会合にて、金融政策の正常化に踏み出すとの思惑が強まったことから、投機筋による円売りポジションの巻き戻しが加速。こうした動きもランド安円高の背景となったようだ。結局、週末にかけて、週初から週央の上昇分を吐き出したことから、週間ベースでは「往って来い」の格好となった。
ランド・円(東京時間:3月4日―3月8日)※Investing.comの日足を参照
始値:7.8517円
高値:7.9536円
安値:7.8356円
終値:7.8565円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
3月5日
18時30分、第4四半期GDP(前年比)、前回:−0.7%、市場予想:0.9%、結果:1.2%
3月7日
18時00分、第4四半期経常収支(対GDP比)、前回:−0.5%、市場予想:−1.2%、結果:−2.3%
18時00分、第4四半期経常収支、前回:−340億ランド、市場予想:−940億ランド、結果:−1660億ランド
3月14日
20時00分、1月製造業生産(前月比)、前回:−1.7%、市場予想:0.6%
20時00分、1月製造業生産(前年比)、前回:0.7%、市場予想:0.9%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、引き続き狭いレンジ推移でもみ合いとなりそうだ。日足の一目均衡表の雲上限が切り下がったことから、自然体で雲を抜けているが、心理的な水準でもある8円台回復は遠い。
日足ベースでは、50日移動平均線が下値支持線として意識されそうだが、基準線や転換線、20日移動平均線が集まっている7.88円水準が中心値となりつつある。8円水準は目立った上値抵抗線は存在していないが、明確なランド買い材料に乏しいことで、心理的な観点から上値は重い。
もっとも、昨年12月28日の7.5595円を起点とした下値支持線が機能していることから、下値模索は想定していない。このまま、5月29日に実施される総選挙まで狭いレンジでのもみ合い相場は継続となりそうな気配だ。
総選挙では、現政権のラマポーザ大統領率いるアフリカ民族会議が大幅に議席を失う恐れが高まっていることから政治不安を材料に大きなトレンドは発生しにくい。総選挙を間近に控えていることもあり、先々週、フィッチレーティングに指摘された予算不足懸念が具体的な問題となるのは先となりそうだ(総選挙の結果次第では全て白紙の可能性も)。
引き続き政治情勢、経済情勢をにらんだ方向感に乏しい小動き相場を想定している。18−19日に開催される日銀会合への思惑が強まることで、一時的に50日移動平均線を下回っても、一目均衡表の雲上限や昨年12月28日を起点とした下値支持線が位置する7.79円水準では下げ止まると考える。総選挙という重要イベントを控えていることから、総選挙に関連したネタ以外で狭いレンジを上下に抜けるようなトレンドを形成することは無いと想定する。
南アランド円日足
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