『インフレ再燃で利上げ催促のリラ売り継続。対円・対ドル共に史上最安値更新』
〇今週のトルコ円、トルコ指標悪化と利上げ催促のリラ売り、円高進行に週末にかけ4.58まで下落
〇史上最安値更新、主要テクニカルポイントを下抜け、地合い極めて弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済先行き不透明感、インフレ昂進懸念が利上げ催促のリラ売り招く状況
〇引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.45ー4.70
今週のレビュー(3/4−3/8)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.78円で寄り付いた後、早々に週間高値4.80円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコ2月消費者物価指数(結果+67.07%、予想+66.00%、前回+64.86%)の市場予想および前月を上回る結果や、(2)トルコ2月コアCPI(結果+72.89%、予想+71.90%、前回+70.48%)の市場予想および前月を上回る結果、(3)トルコ2月生産者物価指数(結果+47.29%、前回+44.20%)の前月比上昇、(4)上記1、2、3を背景とした利上げ催促のリラ売り圧力、(5)1/3安値の下方ブレイクとそれに伴う仕掛け的なリラ売り・円買い、(6)日銀によるマイナス金利の早期解除観測(時事通信による観測報道→本邦当局者によるタカ派的な発言→円金利上昇に伴う円買い圧力→ドル円下落→トルコリラ円連れ安)が重石となり、週末にかけて、史上最安値4.58円まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/9午前1時00分現在)では、4.59円前後で推移しております。尚、トルコ中銀は今週、リラ売りに歯止めをかける目的で銀行融資規制や外貨需要制限を発動しましたが、市場の反応は限定的となりました。
来週の見通し(3/11−3/15)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、史上最安値を更新するなど、冴えない動きが続いています。上位足・下位足共に主要テクニカルポイント(21MA、50MA、90MA、200MA、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限、ボリンジャーミッドバンド)を下抜けしたことや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役逆転」「弱気のバンドウォーク」「ダウ理論の下落トレンド」が点灯していること、対円のみならず対ドル相場も史上最安値を更新し続けていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)トルコ国内のインフレ再燃リスク(実質金利マイナスに伴う構造的なリラ売り圧力)、(3)上記2を背景とした利上げ催促のリラ売り圧力(トルコ中銀は先週、政策金利の据え置きを決定したが、市場ではトルコ中銀が早々に利上げ再開に追い込まれるとの見方がコンセンサス→JPモルガンは3/31の選挙後の4月会合でトルコ中銀が500bpの利上げに踏み切るとの見解を発表)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は3/11に予定されているトルコ1月失業率およびトルコ1月小売売上高、3/12に予定されているトルコ1月経常収支およびトルコ1月鉱工業生産に注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.45ー4.70
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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