ドル円が大幅続落、ドル/トルコリラの史上最安値更新続き4.60円台序盤へ下落
〇トルコリラ円、ドル高リラ安に加えて円高が重なり3/7に4.62をつけ、連日の史上最安値更新となる
〇すでに年初来安値を割り込んで一段安に入り、下落基調が続きやすい状況と思われる
〇対ドル、3/7は概ね31.90から31.62の取引レンジ、5日連続で取引時間中の史上最安値を更新
〇昨日発表の週次の外貨準備高は減少、低下傾向が続く
〇4.67を下回るうちは一段安警戒とし、4.60割れからは4.57前後への下落を想定する
〇4.67超えからは、4.68、4.69を順次試す上昇を想定する
【概況】
トルコリラ円の3月7日は概ね4.70円から4.62円の取引レンジ、8日早朝の終値は4.65円で前日終値の4.70円から0.05円の円高リラ安となった。
日銀のマイナス金利解除への地ならし報道や日銀当局者の政策修正への前傾姿勢により円高が進行し、加えて米国の6月利下げ期待が高まる中でドル全面安の様相となっていることでドル円は3月7日夜に147.58円へ下落し、2月19日未明高値150.84円からは3円を超える急落に見舞われている。時事通信が3月18-19日の日銀金融政策決定会合で少なくとも1名の委員がマイナス金利解除議論を提起するとし、7日はブルームバーグ通信が3月ないし4月の利上げ見通しを報じたが、7日午前に中川日銀審議委員が利上げへ前向き姿勢を示し、植田総裁も利上げへの条件が整いつつある認識を示したことで円高が急激に進んでいる。米国の6月利下げ期待度も高まっており、今夜の米雇用統計が低調なら円高が一段と加速する可能性もあると思われる。
トルコリラ円はドル高リラ安に加えて円高が重なったことで4.70円を割り込み、連日の史上最安値更新となっているが、日足チャートでは2月23日から3月7日まで10営業日連続の陰線で下落した。すでに年初来安値を割り込んで一段安に入っており、中勢レベルで下落基調が続きやすい状況と思われる。
【ドル/トルコリラは10営業日続落、5日連続で取引時間中の史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの3月7日は概ね31.90リラから31.62リラの取引レンジ、8日早朝の終値は31.84円で前日終値の31.72リラからは0.12リラのドル高リラ安だった。
高インフレが続く中でトルコ中銀はインフレ対策としての利上げ終了を宣言したものの、その後のインフレ指標も高進が続いていること、これ以上の利上げへ進めばトルコ経済に打撃となるために中銀は金融機関の貸し出し規制策に踏み込んでいるもののインフレ抑制への効果は疑問視されていること、2月2日にエルカン前トルコ中銀総裁が突然辞任したことによる金融政策正常化の継続へ不安が生じていること、エルカン前総裁が取り組んできた外貨準備高増強に陰りがみられることでトルコリラの下落が収まらない印象だ。
3月31日にはトルコの統一地方選挙があり、3月21日から30日まで各地で選挙運動が行われることからエルドアン大統領による今後の金融経済政策姿勢に変化が生じる可能性や政局の混乱への懸念もあるようだ。
1ドル32リラへ徐々に迫っているところだが、イスタンブールの市中両替では1ドル32リラを超えており、リラ安を嫌って外貨を求める動きも活発化しているようだ。
【外貨準備高減少】
3月7日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は3月1日時点のグロスで805.1億ドルとなり2月23日時点の824.8億ドルから減少し、ネットでは205.0億ドルとなり2月23日時点の224.5億ドルから減少した。
トルコ中銀はエルカン前総裁就任後に外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための市場介入を繰り返して来たことを止めて外貨準備高の増加により海外からの信用を得る政策を進めてきたが、グロスでは2023年6月の565.2億ドルから12月末には975.6億ドルまで大幅増加してから低下傾向に入り、ネットではエルカン前総裁就任時の6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから12月末に400.9億ドルまで改善したがその後は低下傾向にある。
外貨準備高が取り崩される傾向が続く場合には格付け会社による信用判断にも影響が出かねないと注目したい。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月28日夕高値をサイクルトップとして3月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定していたが、3月4日午前に一段安してからいったん戻して再び軟調な推移に入ったため、3月5日午前時点では3月4日午前安値を直近のサイクルボトムとして4.75円割れから新たな弱気サイクル入りとし、3月6日午前への下落で4.75円を割り込んだために3月4日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定した。
3月7日夜へ続落してからやや戻し8日午前へ失速しているところのため、4.67円を下回るうちは11日午前にかけての間への下落余地ありとする。4.67円を超える場合は直前安値をボトムとした強気サイクル入りとして8日の日中から11日午後にかけての間へ上昇を想定するが、その後にこの間の安値を割り込むところからは新たな弱気サイクル入りとなる点に注意する。
60分足の一目均衡表では一時的な高値時を除いて先行スパンを下回る状況が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先としてきたが、3月7日夜以降も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは反騰入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は20ポイント割れへ低下してから40ポイント台へいったんも戻したもののその後の失速で30ポイントを割り込んでいるのでまだ下落余地ありとみる。相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント到達からは反騰継続とみて60ポイント前後への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.60円を下値支持線、4.67円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.67円を下回るうちは一段安警戒とし、4.60円割れからは4.57円前後への下落を想定する。4.57円以下は反発注意とするが、下げ足が速まる場合は4.55円試しへ下値目途を引き下げる。4.67円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.66円から4.67円にかけては売り有利とし、その後に4.65円を割り込むところから下げ再開とする。4.67円超えからは4.68円、4.69円を順次試す上昇を想定するが、その後の反落で戻り幅の半値以上を解消するところからは下げ再開を疑う。
【当面の主な予定】
3月11日
16:00 1月 失業率 (12月 8.8%)
16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 1.7%)
16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 11.4%)
3月12日
16:00 1月 経常収支 (12月 -20.91億ドル)
16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.4%)
16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
3月14日
20:30 週次 外貨準備高 3月8日時点 グロス (3月1日時点 805.1億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月8日時点 ネット (3月1日時点 205.0億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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