ドル円、日銀によるマイナス金利の早期解除観測を受けて一時147円台半ばへ急落(3/8朝)

ドル円は一時147.59まで急落するなど、約1カ月ぶり安値圏(2/2以来の安値圏)へと続落しました。

ドル円、日銀によるマイナス金利の早期解除観測を受けて一時147円台半ばへ急落(3/8朝)

ドル円、日銀によるマイナス金利の早期解除観測を受けて一時147円台半ばへ急落

〇ドル円、米金利低下と短期筋のロスカット等に米国時間朝方に147.59まで急落
〇ユーロドル、ECB理事会でのインフレ見通し下方修正等に1.0867まで下落
〇その後はラガルド総裁の利下げけん制発言等に1.09台半ばに戻す
〇ドル円、主要テクニカルポイント下抜け、売りシグナルも点灯テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレードの巻き戻し懸念等が重石に
〇本日、日本時間22:30に発表される米2月雇用統計に注目集まる
〇本日の予想レンジ:147.00ー149.00

海外時間のレビュー

7日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間早朝にかけて、高値149.49まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)本邦1月実質賃金(結果▲0.6%、予想▲1.5%)の市場予想を上回る結果(マイナス幅の13カ月ぶり水準への改善)や、(2)中川日銀審議委員による「物価見通し実現の確度は引き続き少しずつ高まっている」とのタカ派的な発言、(3)植田日銀総裁による「物価目標の実現が見通せれば大規模緩和の修正を検討」「出口戦略について適切に進めていくことは十分に可能」とのタカ派的な発言、(4)円金利上昇に伴う円買い圧力、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力、(6)短期筋のロスカットが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値147.59(2/2以来の安値圏)まで急落しました。

引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/8午前6時15分現在)では、148.04前後で推移しております。尚、昨日はボウマンFRB理事による「まだ利下げの時期ではない」との発言や、パウエルFRB議長による「利下げが遅くなり過ぎるリスクについて十分に認識」「利下げに自信を持てる地点からさほど離れていない」との発言、クリーブランド連銀メスター総裁による「経済が予想通りに進展すれば今年後半の利下げの可能性は高い」「時期尚早な利下げは最大の過ち」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

7日(水)のユーロドル相場は急上昇。(1)ECB理事会にて2024年のインフレ率見通し(結果+2.3%、前回+2.7%)の下方修正がなされたことや、(2)上記1を背景としたECBによる早期利下げ観測、(3)欧州債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0867まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)ラガルドECB総裁による「ユーロ圏のディスインフレプロセスは進展している」「インフレに関する確信は十分ではない」「ECBの景気抑制的な政策の時期は当面続くだろう」「今回の会合で利下げは議論しなかった」との市場で燻る早期利下げ期待を牽制する発言や、(5)欧州株の急上昇(ドイツ株の史上最高値更新)、(6)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0949まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/8午前6時15分現在)では、1.0947前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時147.59まで急落するなど、約1カ月ぶり安値圏(2/2以来の安値圏)へと続落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、一目均衡表転換線、基準線、ボリンジャーミッドバンド等)を下抜けした他、下位足(4時間足や60分足)で強い売りシグナルが点灯したこと、数日以内に遅行線の26日前ローソク足接触を経て日足ベースの「一目均衡表三役好転」の消失が見込まれていること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀によるマイナス金利の早期解除観測(昨日は本邦実質賃金に改善が見られた他、中川日銀審議委員や植田日銀総裁からもタカ派的な発言あり→円金利に上昇圧力)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(6/12FOMCでの25bp利下げ確率が56.7%まで上昇→米金利に低下圧力)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小とそれに伴う円キャリートレードの巻き戻し懸念など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、本日は上記2を見極める目的で、日本時間22:30に発表される米2月雇用統計に注目が集まります。非農業部門雇用者数や平均賃金が市場予想を下回る場合には、米雇用情勢悪化→早期利下げ観測再燃→米金利急低下→米ドル独歩安の経路で、ドル円に強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されるため、当方では引き続き、ドル円相場の短期的な下落をメインシナリオとして予想いたします。

本日の予想レンジ:147.00ー149.00

ドル円、日銀によるマイナス金利の早期解除観測を受けて一時147円台半ばへ急落

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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