来週の為替相場見通し:『日米金利差縮小でドル円相場は大幅下落。続落リスクに要警戒』(3/9朝)

ドル円は2/13に記録した年初来高値150.88をトップに反落に転じると、週末にかけて一時146.49まで急落しました。

来週の為替相場見通し:『日米金利差縮小でドル円相場は大幅下落。続落リスクに要警戒』(3/9朝)

『日米金利差縮小でドル円相場は大幅下落。続落リスクに要警戒』

〇今週のドル円、日銀のマイナス金利解除観測、米指標不冴え等に週末にかけ146円台半ばまで急落
〇ユーロドル、欧州指標の好調、ラガルド総裁のタカ派発言等に1.09台後半まで一時上昇、底堅い
〇ドル円、主要テクニカルポイント下抜け、買いシグナルも消失、地合い悪化
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小懸念が相場の重石に
〇引き続き、ドル円相場の一段安をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):145.00ー148.50、(EURUSD):1.0800−1.1050

今週のレビュー(3/4−3/8)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初150.10で寄り付いた後、早々に週間高値150.65まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)共同通信による「日本政府は物価上昇傾向を受けてデフレ脱却表明を検討している」との観測報道の余波や、(2)米2月ISM非製造業景況指数(結果52.6、予想53.0)の市場予想を下回る結果、(3)時事通信による「3/18ー3/19に開催される日銀金融政策決定会合で一部出席者よりマイナス金利解除が妥当であるとの意見表明が出される見通し」との観測報道、(4)パウエルFRB議長による「年内いずれかの時点で利下げが適切になる可能性が高い」「インフレ率は2%を超えているものの大幅に緩和されている」「利下げに自信を持てる地点からさほど離れていない」とのハト派的な発言、(5)本邦1月実質賃金(結果▲0.6%、予想▲1.5%)の市場予想を上回る結果(マイナス幅の13カ月ぶり水準への改善)、

(6)中川日銀審議委員による「物価見通し実現の確度は引き続き少しずつ高まっている」とのタカ派的な発言、(7)植田日銀総裁による「物価目標の実現見通せれば大規模緩和の修正を検討」「出口戦略について適切に進めていくことは十分可能」とのタカ派的な発言、(8)円金利上昇に伴う円買い圧力、(9)米2月非農業部門雇用者数の前月分の大幅下方修正(35.3万人増から22.9万人増への下方修正)、(10)米2月失業率(結果3.9%、予想3.7%)の大幅悪化、(12)米2月平均時給(結果+4.3%、予想+4.4%)の市場予想を下回る結果が重石となり、週末にかけて、週間安値146.49(2/2以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/9午前1時30分現在)では、147.20前後で推移しております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0842で寄り付いた後、早々に週間安値1.0838まで軟化しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(1)ユーロ圏3月投資家信頼感指数(結果▲10.5、予想▲10.6)の市場予想を上回る結果や、(2)ドイツ1月貿易収支(結果275億ユーロ黒字、予想210億ユーロ黒字)の市場予想を上回る結果、(3)ドイツ2月建設業PMI(結果39.1、前回36.3)の前月比改善、(4)ユーロ圏1月小売売上高(結果+0.1%、予想+0.2%、前回▲1.1%)の前月比改善、(5)米2月ISM非製造業景況指数の市場予想を下回る結果、(6)パウエルFRB議長のハト派的な発言、

(7)欧州株の堅調推移(ドイツ株の史上最高値更新)、(8)ラガルドECB総裁による「ユーロ圏のディスインフレプロセスは進展している」「インフレに関する確信は十分ではない」「4月にはもう少し、6月には更に状況が分かる」「ECBの景気抑制的な政策の時期は当面続くだろう」「今回の会合で利下げは議論しなかった」との市場で燻る早期利下げ期待を牽制する発言、(9)米雇用統計の冴えない結果、(10)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.0981(1/12以来の高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/9午前1時30分現在)では、1.0949前後で推移しております。

来週の見通し(3/11−3/15)

<ドル円相場>
ドル円は2/13に記録した年初来高値150.88をトップに反落に転じると、週末にかけて一時146.49まで急落しました。この間、日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日移動平均線、50日移動平均線、90日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線)を下抜けした他、遅行線の26日前ローソク足接触を経て、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀によるマイナス金利の早期解除観測(先週発表された本邦CPIの上振れや、今週発表された時事通信社による早期マイナス金利解除を滲ませる観測報道に加えて、高田日銀審議委員、中川日銀審議委員、植田日銀総裁からもタカ派的な発言あり→円金利に上昇圧力)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測(今週はパウエルFRB議長よりハト派的な発言が見られた他、ISM非製造業景況指数や米雇用統計も冴えない結果)、(3)上記1、2を背景とした日米金利差縮小懸念(円キャリートレードの巻き戻しリスク)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は上記1を見極める目的で3/11に発表される本邦10−12月期実質GDP2次速報値や、3/15に予定されている春闘回答結果公表に注目が集まる他、上記2を見極める目的では、3/12に発表される米2月消費者物価指数や、3/14の米2月小売売上高に注目が集まります。本邦GDPが市場予想を上回る場合や、春闘が2023年を超える結果となる場合には、再来週予定されている日銀金融政策決定会合での政策修正期待を通じて、円買い圧力が一段と強まるシナリオが想定されます。また、米2月消費者物価指数や、米2月小売売上高が市場予想を下回る場合には、米FRBによる早期利下げ観測を通じて、米金利低下→米ドル売りの流れが一段と強まるシナリオが想定されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の一段安をメインシナリオとして予想いたします(146円台前半に位置する200日移動平均線を下抜けできれば、145円アンダーまで一気に下落する恐れあり)。

来週の予想レンジ(USDJPY):145.00ー148.50

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は、2/14に記録した年初来安値1.0695をボトムに反発に転じると、週末にかけて、一時1.0981まで急伸しました。この間、日足ローソク足が主要レジスタンスポイント(21日移動平均線、50日移動平均線、90日移動平均線、200日移動平均線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「強気のパーフェクトオーダー」「一目均衡表三役好転」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いの好転を強く印象付けるチャート形状となりつつあります。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)ECBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(今週開催されたECB理事会後の記者会見でラガルド総裁は「4月にはもう少し、6月には更に状況が分かる」と6月まで見極める意向を示唆)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の前倒し観測、(3)上記1、2を背景とした欧米金利差縮小期待など、ユーロドル相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。来週予定されているECB当局者講演(レーンECB専務理事、オーストリア中銀ホルツマン総裁、ギリシャ中銀ストゥルナラス総裁、クロアチア中銀ブイチッチ総裁など)にてタカ派的な見解(ラガルドECB総裁と同様の見解)が示される場合には、欧州債利回り上昇→ユーロ買いの経路で、ユーロドルに強い上昇圧力が加わるシナリオも想定されるため、当方はユーロドル相場の見通しを、ベア(弱気)からブル(強気)へ変更いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0800−1.1050

注:ポイント要約は編集部

『日米金利差縮小でドル円相場は大幅下落。続落リスクに要警戒』

ドル円日足

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