トルコリラ円見通し ドル高リラ安に円高も重なり終値ベースで史上最安値更新(24/3/6)

トルコリラ円の3月5日は概ね4.77円から4.72円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.74円で前日終値の4.77円から0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル高リラ安に円高も重なり終値ベースで史上最安値更新(24/3/6)

ドル高リラ安に円高も重なり終値ベースで史上最安値更新

〇トルコリラ円、3/5は4.74をつけ終値ベースで史上最安値更新。3/6午前序盤4.71まで続落
〇3/6未明のドル円下落も重なり、リラ安と円高の両面から押し下げられている
〇対ドル、3/5は概ね31.73から31.40の取引レンジ、8営業日連続で史上最安値更新
〇JPモルガン、トルコCPI上昇で、4月に5%の追加利上げで政策金利50.0%へ引き上げとの見方示す
〇外貨準備高減少傾向もリラ安加速の背景、信認低下によるリラ売り圧力高まるか
〇一時的な上昇を除き4.76下回るうちは一段安警戒、4.70割れからは4.68前後への下落を想定
〇4.76から4.78手前は戻り売り有利、その後に4.73を割り込むところから下げ再開とする

【概況】

トルコリラ円の3月5日は概ね4.77円から4.72円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.74円で前日終値の4.77円から0.03円の円高リラ安だった。
ドル高リラ安が収まらずトルコリラは対ドルで3営業日連続して史上最安値を更新しているが、3月6日未明にかけてはドル円の下落も重なり、トルコリラ円はリラ安と円高の両面から押し下げられている。

ドル円は3月4日午前安値149.82円から4日夜に150.56円まで戻したところで上値が重くなり、5日夜は米長期債利回り低下を見て150円を割り込み、深夜の米ISMサービス業景況指数が予想以上に悪化したところで149.69円まで反落した。その後に150.22円まで戻した後は150円を繰り返し割り込んでいる。
米国の3月利下げ期待はほぼ解消したものの6月利下げ開始期待度は高く、先週末の米ISM製造業景況指数とミシガン大消費者信頼感指数の悪化に続くISMサービス業景況指数の悪化がFRBへの利下げ催促感を強めている。今夜は米ADP民間雇用とJOLTS求人件数の発表があり週末には米労働省の2月雇用統計発表がある。

3月6日と7日にはパウエルFRB議長の議会証言もあるため内容次第では金融市場全般が波乱含みとなるが、ドル円は日銀のマイナス金利解除へ向けた動きも踏まえて上値の重い状況にあり、149円台を維持できなくなると持ち合い下放れにより円高継続感が優勢となることも警戒される。

トルコリラ円は3月4日午前に4.71円を付けて2月16日高値4.97円以降の最安値を更新、今年1月3日に付けた取引時間中の史上最安値4.74円(ベンダーによっては1月12日の4.72円、12月29日安値4.70円等がある)を割り込んだが、3月5日は新たな安値更新を回避したものの終値ベースでは1月2日終値4.77円を割り込んで史上最安値を更新した。3月6日午前序盤は4.71円まで続落している。
年初からの戻りが一巡して下落期に入り、終値ベースで年初安値も割り込んだことにより、概ね5か月から6か月周期で付けてきた底打ちサイクルにおいては次の底形成期となる6月序盤から7月序盤にかけての間へ下落基調を続けやすくなったのではないかと警戒される。

【ドル/トルコリラは8営業日続落、3日連続で取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月5日は概ね31.73リラから31.40リラの取引レンジ、6日早朝の終値は31.62リラで前日終値の31.56リラから0.06リラのドル高リラ安だった。
トルコ経済の低調さ、高インフレが続く中で中銀が利上げを終了、エルドアン大統領再選後に就任して金融政策正常化を進めてきたトルコ中銀のエルカン前総裁が突然辞任、後任のカラハン新総裁は2月22日に政策金利を据え置いて利上げ終了を強調、3月4日の2月トルコ消費者物価指数は予想を上回る高進となり、リラの先安感が収まらない。
3月1日安値31.46リラで2月28日に付けた31.39リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新し、3月4日に31.70リラ、5日も31.73リラと3営業日連続で取引時間中の史上最安値を更新、日足終値ベースでは2月23日から3月5日まで8営業日連続で史上最安値を更新している。

【中銀への利上げ催促】

2月のトルコCPI(消費者物価指数)上昇率は前月比4.53%で市場予想の3.70%を上回り、前年同月比は67.07%で1月の64.86%から加速して市場予想中央値の65.74%を上回った。コアCPIの上昇率は前月比3.6%、前年同月比は72.9%で1月の70.5%から伸びが加速した。
トルコ中銀は今年前半にインフレ率が70%に到達してピークとなり年末には36%まで低下するとの楽観見通しを示し、インフレ対策としての利上げサイクルは終了したと宣言している。しかしインフレが収まる気配は見られず、市場がトルコへの積極的投資を再開してリラ安に歯止めがかかる状況へ進めなければ、リラ安による通貨インフレが続くこととなり、インフレの継続がリラ安を呼び込む負のスパイラルが進行しかねない状況にある。

金融大手の見方も厳しくなっており、JPモルガンはこれまで今年11月と12月の2回利下げを予想していたが、2月CPI上昇を見て4月には5%の追加利上げで政策金利が50.0%へ引き上げられるとの見方を示している。
リラ安が加速している背景にはこれまで拡大基調にあった外貨準備高の増加ペースが頭打ちとなりここ数週は減少傾向を見せていることも影響している。直近の外貨準備高は2月23日時点のネットで224.5億ドルとなったが、エルカン前総裁就任時の6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから昨年12月末に400.9億ドルまで増加したものの、その後は減少傾向がみられる。外貨準備高の増加が信用回復の前提でもあったため、再び増加して高水準を維持できないようなら信認低下によるリラ売り圧力も強まりかねない。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月28日夕高値をサイクルトップとして3月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定していたが、3月4日午前に一段安してからいったん戻して再び軟調な推移に入ったため、3月5日午前時点では3月4日午前安値を直近のサイクルボトムとし、4.75円割れからは下げ再開とした。
3月6日午前への下落で4.75円を割り込んだため、4日午後高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換には4.78円を超える反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では一時的な高値時を除いて先行スパンを下回る状況が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先としてきたが、3月6日午前へ続落しているため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは反騰入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は30ポイント近辺へ下落して軟調な推移が続いているので20ポイント以下への低下余地ありとみる。50ポイント手前では戻り売り有利とし、連続的な上昇で50ポイント超えから続伸する場合は反騰入りとみて60ポイント台前半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.70円を下値支持線、4.76円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.76円を下回るうちは一段安警戒とし、4.70円割れからは4.68円前後への下落を想定する。4.68円以下は反発注意とするが、4.76円を下回っての推移なら3月7日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.76円から4.78円手前は戻り売り有利とし、その後に4.73円を割り込むところから下げ再開とする。

【当面の主な予定】

3月7日
 20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 グロス (2月23日時点 824.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 ネット (2月23日時点 224.5億ドル)
3月11日
 16:00 1月 失業率 (12月 8.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 1.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 11.4%)
3月12日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -20.91億ドル)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.4%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)



注:ポイント要約は編集部

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