トルコリラ円見通し ドル高リラ安続きドル円の反発を活かせずに史上最安値を更新
〇トルコリラ円、3/4午前ドル/トルコリラの史上最安値更新局面で、4.71を付けて史上最安値を更新
〇3/4午後へいったん戻すも軟調な推移となり、3/5午前序盤には4.76を割り込む
〇対ドル、3/4は概ね31.70から31.21の取引レンジ、取引時間中の史上最安値更新
〇終値としては、7営業日連続の史上最安値更新
〇昨日発表のトルコ2月CPI、予想を上回る加速
〇4.79を下回るうちは一段安警戒とし、4.75割れからは4.70前後への下落を想定する
〇4.78から4.79手前は戻り売り有利とし、その後に4.75を割り込むところから下げ再開とする
【概況】
トルコリラ円の3月4日は概ね4.79円から4.71円の取引レンジ、5日早朝の終値は4.77円で先週末終値の4.78円からは0.01円の円高リラ安だった。
3月4日午前にドル/トルコリラが史上最安値を更新した局面で4.71円を付けて2月16日高値4.97円以降の最安値を更新、今年1月3日に付けた取引時間中の史上最安値4.74円(ベンダーによっては1月12日の4.72円、12月29日安値4.70円等もある)を割り込んだ。4日夜にかけてドル円が上昇したものの、4日夕刻のトルコ2月CPI上昇率が予想を上回ったことでドル高リラ安がさらに進行したためにトルコリラ円は4日午後へいったん戻した後は軟調な推移となり、3月5日午前序盤には4.76円を割り込んでいる。
ドル円は2月29日の高田日銀審議委員によるマイナス金利解除検討への言及や米PCEデフレーターの鈍化により29日未明高値150.84円から3月1日未明安値149.20円へ下落し、その後の反動高で1日深夜には150.71円まで戻したものの、米ISM統計等が予想以上に悪化したことで反落した。3月4日午前に149.82円まで下げたところから再び反騰したが4日夜高値は150.56円に留まって戻り高値切り下がり基調にある。
トルコリラ円にとってはドル円の反騰時は押し上げ要因となるものの、ドル円は2月14日早朝高値150.88円の後は149円台では買われるものの151円手前で繰り返し売られる持ち合いのため、トルコリラ円にとってはドル高リラ安による圧迫感を解消するほどの円安が見込めずに軟調推移を続けている印象だ。
3月5日の米ISMサービス業景況指数、6日のADP民間雇用とJOLTS求人件数、7日のECB理事会、3月6日と7日のパウエルFRB議長議会証言、8日の米雇用統計と重要イベントが続く中でドル円が持ち合いから上放れできればトルコリラ円には大きな押し上げ要因となるものの、逆に持ち合い下放れのきっかけとなる場合はトルコリラ円にとっては円高トルコリラ安の両面から大きく押し下げられる可能性があると注意する。
【ドル/トルコリラは7営業日続落、2日連続で取引時間中の史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの3月4日は概ね31.70リラから31.21リラの取引レンジ、5日早朝の終値は31.56リラで先週末終値31.31リラから0.25リラのドル高リラ安となった。
3月1日安値31.46リラで2月28日に付けた31.39リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新、日足終値ベースでは2月23日から3月1日まで6営業日連続で史上最安値を更新したが、週明けも最安値を大幅に更新し、終値としては7営業日連続の史上最安値更新となった。
3月4日午前に31.38リラへ一時的に急落して史上最安値を更新してからいったん31リラ台序盤へ戻していたが、夕刻のトルコ2月CPI上昇率が予想を上回りインフレ過熱が収まらない印象を強めたことでリラ売りが勢い付いて3月5日早朝に31.70リラへ史上最安値を更新した。
【トルコ2月CPIは予想を上回る加速ぶり】
3月4日16時にトルコ統計局が発表した2月のトルコCPI(消費者物価指数)上昇率は前月比4.50%となり1月の6.7%を下回ったものの市場予想の3.70%を上回り、前年同月比は67.07%となり1月の64.86%から加速して市場予想の65.74%を上回った。食品やエネルギー等を除くコアCPIの上昇率は前月比3.6%で1月の7.6%から鈍化したものの高水準にとどまり、前年同月比は72.9%で1月の70.5%から伸びが加速した。
2月のPPI(生産者物価指数)上昇率は前月比3.74%で1月の4.14%から若干低下したものの高水準を維持し、前年同月比は47.29%で1月の44.2%を上回った。
トルコ中銀は2月22日に政策金利を9会合ぶりに据えおいて45%のままとし、インフレ対策としての利上げは終了したと表明した。シムシェキ財務相は3月4日のCPI等の発表前に利上げの影響の遅れやベース効果で高止まりするものの今後12か月で低下すると述べていた。
しかし、インフレが収まる兆候をしめしていないことで市場は追加利上げの必要性を意識してリラ売りの勢いを増している。財務相や中銀の思惑通りに今年前半にインフレがピークアウトして年末にかけて鈍化傾向を顕著とすればよいのだが、中銀の対策を不十分としてリラ売りが続けば通貨インフレ効果でインフレ高進が収まらない可能性も懸念される。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、3月1日未明へ一段安したために3月1日午前時点では2月28日夕高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして3月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定した。
3月4日午前に一段安してからいったん戻して再び軟調な推移に入っているため、3月4日午前安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは5日の日中から6日午前にかけての間への上昇余地ありとするが、4.75円割れからは下げ再開とみて4日午前安値試しとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとして7日午前から11日午前にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では一時的な高値時を除いて先行スパンを下回る状況が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。戻り高値を切り下げて一段安を繰り返しているため、3月4日午後高値4.79円を超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とし、4.79円超えからは戻りをさらに試す可能性があるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は3月4日午後に50ポイントまで戻してから軟調な推移に入っているので、次に50ポイントを超えるところからは60ポイント前後への上昇を想定するが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.75円を下値支持線、4.79円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.79円を下回るうちは一段安警戒とし、4.75円割れからは4.70円前後への下落を想定する。4.70円以下は反発注意とするが、4.77円を下回っての推移なら3月6日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.78円から4.79円手前は戻り売り有利とし、その後に4.75円を割り込むところから下げ再開とする。4.79円を上抜く場合は4.81円前後へ上昇を想定するがその後の反落警戒とする。
【当面の主な予定】
3月7日
20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 グロス (2月23日時点 824.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 ネット (2月23日時点 224.5億ドル)
3月11日
16:00 1月 失業率 (12月 8.8%)
16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 1.7%)
16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 11.4%)
3月12日
16:00 1月 経常収支 (12月 -20.91億ドル)
16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.4%)
16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)
注:ポイント要約は編集部
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