4日のCPI、PPI発表で一段安か、史上最安値更新試す展開に
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、1月貿易収支など経済指標の悪化を受けて下落し、1月2日につけた史上最安値4.7448に迫る場面も見られた。
2月28日に発表された1月貿易収支は−62.3億ドルと、前回の−60.7億ドル、市場予想の−62.0億ドルをともに下回る結果となった。また、29日に発表された第4四半期GDPも前年比+4.0%と市場予想の+3.5%を上回ったものの、前回の+6.1%比では大幅に減速した。
3月1日の2月製造業PMIは50.2と前回の49.2および好不況の水準である50を上回ったが、トルコリラの買い材料とまではいかず。2月16日以降の11営業日で陽線(2月22日)がわずか1回と極めて弱いトレンドが継続。史上最安値更新が視野に入る展開となった。
トルコ・円(東京時間:2月26日―3月1日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.8478円
高値:4.8608円
安値:4.7695円
終値:4.7830円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
2月28日
16時00分、1月貿易収支、前回:−60.7億ドル、市場予想:−62億ドル、結果:−62.3億ドル
2月29日
16時00分、第4四半期GDP(前年比)、前回:6.1%、市場予想:3.5%、結果:4.0%
3月1日
16時00分、2月製造業PMI、前回:49.2、結果:50.2
3月4日
16時00分、2月CPI(前月比)、前回:6.70%、市場予想:3.85%
16時00分、2月CPI(前年比)、前回:64.86%、市場予想:66.00%
16時00分、2月CPI(コア)(前年比)、前回:70.48%、市場予想:71.90%
16時00分、2月PPI(前月比)、前回:4.14%
16時00分、2月PPI(前年比)、前回:44.20%
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、1月2日の史上最安値更新を意識した展開となろう。
横ばいで推移していた50日移動平均線は再び下向きで推移し始めており、上値抵抗線として意識されている。日足の一目均衡表でも雲下限を下放れており下値模索といった状況にある。転換線、基準線もともに下を向いているほか、遅行スパンも実線を下回っており、トレンドは非常に弱い。
3月4日に発表される2月消費者物価指数(CPI)、同生産者物価指数(PPI)でインフレ加速が確認された際、トルコ中央銀行(トルコ中銀)のカラハン新体制に対する不信感などがより高まることで、1月2日の史上最安値4.7448円を割り込む地合いに警戒したい。
ある意味、今のトルコリラの下げ基調は、トルコ中銀に対して「利上げ再開」を強く促すメッセージとも捉えられる。カラハン新総裁は、昨年11月時点のインフレ見通し(2024年末に+36.0%まで低下)を継続しているが、2月CPIの市場予想は前年比+66.00%と前回の同+64.86%まで上昇すると見込まれている。
2月CPIが前月比+3.85%と前回の同+6.70%を大幅に下回る予想のため、年末にはインフレはある程度収束するとトルコ中銀は見ているようだが、2月CPIの減速幅が市場予想よりも下回った場合、市場は、トルコ中銀のインフレ見通し及び政策金利に対する懐疑的な見方を強めるだろう。
もっとも、仮にインフレ加速一服という経済指標の内容だったとしても、足元のトルコリラ安はじりじりとした低下のため、反発のタイミングは難しいと考える。急落後であれば買戻し優勢による反発といった展開も期待できるのだが、これだけ小刻みに陰線が並ぶと、よほどのきっかけがないとトルコリラの再浮上は難しいだろう。
トルコリラ円日足
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