トルコ円見通し ドル円反騰には反応薄く、ドル高リラ安継続で2月13日以降の安値を更新(24/3/4)

トルコリラ円の3月1日は概ね4.81円から4.77円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.78円で前日終値の4.80円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコ円見通し ドル円反騰には反応薄く、ドル高リラ安継続で2月13日以降の安値を更新(24/3/4)

ドル円反騰には反応薄く、ドル高リラ安継続で2月13日以降の安値を更新

〇先週のトルコ円、3/2早朝終値は4.78、2/13以降の下落基調から抜け出せず1/3の史上最安値4.74に迫る
〇対ドル、日足終値ベースで2/23から3/1まで6営業日連続で史上最安値更新。3/2早朝終値は31.31リラ
〇本日、2月トルコCPIとPPI発表予定。予想上回る上昇率だとドル高リラ安がさらに勢い増す可能性も
〇市場予想はCPI全体の上昇率は前月比3.70%、前年同月比で65.74%と高水準のまま
〇一時的な上昇除き4.82下回るうちは一段安警戒、4.76割れからは4.73、4.71を順次試す下落想定
〇4.82手前は戻り売り有利、その後4.79割り込むところから下げ再開とする
〇4.82上抜く場合は4.83から4.84手前への上昇を想定するが、4.83以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円の3月1日は概ね4.81円から4.77円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.78円で前日終値の4.80円からは0.02円の円高リラ安だった。
週間では2月23日終値4.84円から0.06円の円高リラ安となり、日足終値ベースでは2月13日にドル円が急伸したところで付けた高値4.91円以降の安値を更新し、1月3日に付けた史上最安値4.74円(ベンダーによっては1月12日の4.72円、12月29日安値4.70円等が史上最安値)へ徐々に迫っている。
ドル円は2月29日未明に150.84円を付けて2月14日早朝高値150.88円に迫った後、神田財務官による円安けん制発言で下落し、29日午前に日銀の高田審議委員がマイナス金利解除へ向けた議論を始める必要性を示したことで150円を割り込み、29日夜の米1月PCEデフレーターが12月から鈍化したことで3月1日未明安値149.20円まで大幅下落した。

当面の売り一巡とG20財務相・中央銀行総裁会議後の会見で植田日銀総裁が「物価の目標の達成は見通せる状況に至っていない」と述べたことで買い戻されて3月1日夜には150.71円まで切り返したが、3月1日夜のISM製造業景況指数やミシガン大消費者信頼感指数が予想以上に悪化したことによるドル売りで2日早朝に150.11円まで反落する乱調な展開となった。
トルコリラ円は3月1日未明にかけてドル円が急落した局面で4.77円へ下落し、ドル円の反騰を見て夕刻に4.81円まで戻したものの勢いは鈍く、深夜からのドル円反落により4.77円まで再び失速し、そのまま4.80円を割り込んで週を終えた。ドル/トルコリラが史上最安値を更新する中ではドル円の反騰時におけるトルコリラ円の戻りも鈍く、2月13日以降の下落基調から抜け出せずにいる。

今週は3月4日に2月のトルコCPIとPPIの発表があるが、高インフレはまだしばらく続くため予想を上回る上昇率だとドル高リラ安がさらに勢いを増す可能性もあり、ドル円が149円台から151円手前までのレンジ相場につかまるうちはドル円の下落時とドル高リラ安が交互にトルコリラ円を押し下げる展開で進みやすいと思われる。ドル円としてはパウエルFRB議長の議会証言、週末の米2月雇用統計等重要指標が相次ぐため乱調な展開となることも警戒される。

【ドル/トルコリラは6営業日続落、取引時間中及び終値の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの3月1日は概ね31.46リラから31.08リラの取引レンジ、2日早朝の終値は31.31リラで前日終値の31.19リラからは0.12リラのドル高リラ安だった。
2月28日に付けた31.39リラを超えて取引時間中の史上最安値を更新、日足終値ベースでは2月23日から3月1日まで6営業日連続で史上最安値を更新した。
週間では2月23日終値30.97リラから0.34リラのドル高リラ安となり、12月15日の週から12週連続のドル高リラ安、1月26日の終から6週連続で取引時間中の最安値を更新した。

エルドアン大統領が昨年5月末に三選を果たしてから正常な金融政策への転換を図りトルコ中銀にエルカン総裁を採用し、エルカン体制の中銀は昨年6月から今年1月まで8会合連続で利上げを行い政策金利を8.5%から45.0%まで大幅に引き上げ、海外投資家の信用回復のために為替市場における介入を止めて外貨準備高増強に努めてきたが、それでも高インフレと経済力低下によるリラ安は収まらなかった。
2月2日にトルコ中銀ではエルカン総裁が辞任、2月6日に就任したカラハン新総裁は2月23日に政策金利を据え置いて追加利上げを不要とし、年末から来年にかけてのインフレ低下へ楽観的見通しを示したものの市場の先安感は変わらず、逆にエルカン総裁辞任以降のリラ安は加速気味となっている。

【トルコの2月CPI上昇率に注目】

3月4日夕刻にトルコの2月インフレ指標の発表がある。市場の事前予想ではCPI(消費者物価指数)全体の上昇率は前月比で3.70%(1月は6.70%)、前年同月比で65.74%(1月は64.86%)とされており、前月比は1月の大幅上昇から鈍化するとはいえ高水準のままであり前年比も昨年6月の38.21%からの上昇を継続する見込みだ。
3月1日に発表されたイスタンブールの2月RPI(小売物価指数)上昇率は前月比4.07%(1月は6.72%)、前年同月比は76.58%(1月は76.17%)、WPI(卸売物価指数)は前月比4.64%(1月は4.69%)、前年同月比は65.06%(1月は61.48%)と高水準での推移が続いている。トルコの実勢におけるCPI上昇率は公式統計よりもはるかに高進しているとされ、トルコの物価調査を公表しているENAグループによる1月のE−CPIは前年比129.11%だった。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月28日昼に一段安してからいったん戻したものの上値の重い状況だったため、29日午前時点では28日昼安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて28日昼安値を直近のサイクルボトムとし、3月1日未明へ一段安したために3月1日午前時点では2月28日夕高値を直近のサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして3月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定した。
2月29日夜安値の後は下げ渋っているものの戻りも鈍く安値更新へ余裕が乏しいためまだ一段安余地ありとするが、4.82円を超える反騰からは強気サイクル入りとして4日午後から6日夕にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では3月1日夕刻に先行スパンを一時的に上抜いたもののその後の反落で先行スパンから転落している。連続的な上昇で先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、先行スパンを上抜いた状況を維持し始める場合は反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は3月1日夕刻へ戻したところでは60ポイントに届かず40ポイント前後まで失速しているのでまだ下落途中とし20ポイント前後を再び試す下落を想定する。ただし、60ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持して推移する場合は反騰継続とみて60ポイント台後半への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.76円を下値支持線、4.82円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.82円を下回るうちは一段安警戒とし、4.76円割れからは4.73円、4.71円を順次試してゆく下落を想定する。4.72円以下は反発注意とするが、4.80円を下回っての推移なら3月5日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.82円手前は戻り売り有利とし、その後に4.79円を割り込むところから下げ再開とする。4.82円を上抜く場合は4.83円から4.84円手前への上昇を想定するが、4.83円以上は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

3月4日
 16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 6.7%、予想 3.70%)
 16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 64.86%、予想 65.74%)
 16:00 2月 コアCPI 前月比 (1月 7.6%)
 16:00 2月 コアCPI 前年同月比 (1月 70.5%)
 16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 4.14%)
 16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 44.2%)
3月7日
 20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 グロス (2月23日時点 824.8億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 ネット (2月23日時点 224.5億ドル)

3月11日
 16:00 1月 失業率 (12月 8.8%)
 16:00 1月 小売売上高 前月比 (12月 1.7%)
 16:00 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 11.4%)
 3月12日
 16:00 1月 経常収支 (12月 -20.91億ドル)
 16:00 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 2.4%)
 16:00 1月 鉱工業生産 前年同月比 (12月 1.6%)


注:ポイント要約は編集部

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