ネガティブなフィッチレポートが下押し要因に
【先週の南アフリカ・ランド】
先週のランドは、経済指標がポジティブな材料、ネガティブな材料とまちまちの結果となったことから方向感に乏しい展開となった。
2月29日に発表された1月貿易収支は94億ランドの赤字と、市場予想の55億ランドの赤字比では大幅に赤字幅が上回る格好となった。一方、3月1日に発表された2月製造業PMIは51.7と市場予想46.5を大幅に上回るなどポジティブな材料に。
ランドは、2月23日の安値7.7601円近くまで下落したが、週末の2月製造業PMIを受けて下げ渋る恰好に。日足の一目均衡表の雲内の方向感には乏しい展開だが、50日移動平均線水準は回復した。
ランド・円(東京時間:2月26日―3月1日)
※Investing.comの日足を参照
始値:7.7905円
高値:7.8989円
安値:7.7607円
終値:7.8567円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
2月29日
15時00分、1月マネーサプライ(前年比)、前回:7.65%、市場予想:7.30%、結果:6.58%
18時30分、1月PPI(前年比)、前回:4.0%、市場予想:4.7%、結果:4.7%
21時00分、1月貿易収支、前回:156億ランド、市場予想:−55億ランド、結果:−94億ランド
3月1日
18時00分、2月製造業PMI、前回:43.6、市場予想:46.5、結果:51.7
3月5日
18時30分、第4四半期GDP(前年比)、前回:−0.7%、市場予想:0.9%
3月7日
18時00分、第4四半期経常収支(対GDP比)、前回:−0.3%、市場予想:−1.2%
18時00分、第4四半期経常収支、前回:−190億ランド、市場予想:−940億ランド
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のランドは、切り下がる雲上限突破を試す展開を迎えている。雲上限が強く意識されそうなため、週末にかけて値を下げる可能性もあり正念場と言えよう。
先週、フィッチ・レーティングスが「南アフリカの予算案は楽観的」といったタイトルのレポートを出している。レポート内では、「予算の債務予測には織り込まれていない国有企業の追加支援が必要」と指摘。レポート内で社名の記載はなかったが、この国有企業とは、国営電力会社のエスコムを指していると推測する。
過去最悪の計画停電を続けている同社の支援を含めた企業改革が、南アフリカ経済の大きなポイントとなっていることから、フィッチのレポートが指摘している点は非常に重要だ。ネガティブな指摘が盛り込まれていることから、ランド下押しの要因となりそうだ。
日足ベースのランドは、50日移動平均線と20日移動平均線に挟まれた狭いレンジで推移している。5月29日に実施される総選挙では、現政権のアフリカ民族会議が大幅に議席を失う恐れがあることから政治不安を材料に大きなトレンドは発生しにくい。
政治情勢、経済情勢をにらんだ方向感に乏しい小動き相場を想定しているが、昨年末を起点とした下値支持線が位置していた7.85円水準を割り込んでいることは警戒要因だ。今週は、日足の一目均衡表の雲が大きく変化するなか、移動平均線を意識した展開が続くかどうか注目したい。
南アランド円日足
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