トルコリラ円レポート月曜版
まず、先週の振り返り(ショートコメント)ですが、トルコリラ円は「上値の重たい展開を予想し、32.30レベルをサポートに、33.00レベルをレジスタンス」としました。実際のレンジは、安値が31.60レベル、高値が33.40レベルと、予想レンジよりも上下ともに大きく振れる値動きを見せ、特に下値は金曜の米国雇用統計を前に下振れる動きとなりました。
これはエルドアン大統領が、先月のトルコ中銀の利上げに対しての不満もあって「利下げをするしかない。高金利は金融機関にのみ利益をもたらす」と中銀の独立性を侵害する発言を行ったことによるものです。この発言の前にはトルコリラ円は32.60水準で取引が行われていましたが、安値の31.60まで1円ほどの急落を見せることとなりました。その後、NY後場には32.43まで戻したものの、上値の重たい地合いでの週末クローズとなりました。
今週は、週明けの早朝にイタリアの国民投票の結果を受けリスクオフの動きからドル円、クロス円が一段安となり、トルコリラ円もその動きに引っ張られて売りが強まりましたが、安値は31.65と底割れを回避し32円台前半へと戻す動きとなっています。
今週の材料として、本日のCPI程度で目立った材料はありませんので、まずはエルドアン発言の余波を見極めながら、次回トルコ中銀の政策金利決定会合12月20日に向けて、どのような思惑が出て来るのかが注目材料となりそうです。
12月14日の米国FOMCでは0.25%の利上げがほぼ織り込まれてはいますので、仮にトルコ中銀が大統領に屈して利下げするようなことがあれば、米国大統領選以降の新興国通貨から米ドルへの回帰がさらに強まることになります。おそらく中銀は現状維持を守るとは思いますが、前回の大幅利上げには今後の利下げ圧力に対してバッファを作ったのではないかと勘繰りたくもなります。
さて、今週もトルコリラ円の4時間足チャートをご覧ください。今回は一目均衡表を重ねてみました。
トルコリラ円四時間足
直近のところでは過去3週間ほどサポートとなっていた32.45レベルを明確に下抜け、次のターゲットとして米国大統領選開票日の安値30.73をも意識しなくてはならない展開となってきました。すぐに下げるという動きではないにせよ、ますます強まるエルドアン大統領の強権政治に対する不安がトルコからの資金逃避を強めています。
テクニカルにもサポートを抜けてきたことや、均衡表でも雲を下回る動きとなってきたことから戻り売りを考えることとなるでしょう。今週も上値が重たい展開を予想し、31.50レベルをサポートに、32.50レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。
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