トルコリラ円見通し ドル円は持ち合いから抜け出せずドル高リラ安続き、上値の重い展開(24/2/29)

トルコリラ円の2月28日は概ね4.84円から4.79円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.82円で前日と変わらなかった。

トルコリラ円見通し ドル円は持ち合いから抜け出せずドル高リラ安続き、上値の重い展開(24/2/29)

ドル円は持ち合いから抜け出せずドル高リラ安続き、上値の重い展開

〇トルコ円、本日未明ドル円上昇時は4.84までにとどまる、その後ドル円失速で4.82割り込む
〇対ドルでの史上最安値更新により、円安局面で底固さ見せても上値重い状況つづく
〇対ドル、2/28は概ね31.39から30.97の取引レンジ、3日連続で取引時間中の史上最安値更新
〇新総裁による政策金利現状維持を不服としたドル高リラ安の進行収まらず
〇本日16時トルコ10-12月期GDP発表、予想より低調な場合リラ売り圧力強まる可能性
〇今夜の米1月PCE統計をきっかけとしたドル円の動きに要注意
〇3/4トルコ2月CPI発表、前年比は65.74%へ上昇予想
〇4.84を下回るうちは一段安警戒とし、4.79割れからは4.77、4.75を順次試してゆく下落を想定
〇4.84前後は戻り売り有利とし、その後に4.82を割り込むところから下げ再開とする

【概況】

トルコリラ円の2月28日は概ね4.84円から4.79円の取引レンジ、29日早朝の終値は4.82円で前日と変わらなかった。対ドルでの史上最安値更新が続いていることでトルコリラ円は円安局面で底固さを見せても上値の重い状況が続いている。
ドル円は2月28日夜の米10-12月期GDP改定値が下方修正されたものの四半期ベースのコアPCEデフレーターが上方修正されたことやNY連銀及びボストン連銀総裁らの早期利下げけん制発言などにより2月27日夜安値150.08円からの反騰を続けて29日未明に150.84円まで上昇したが、2月14日早朝高値150.88円超えには至らずに29日午前には150.50円台へ失速している。
トルコリラ円は2月28日昼の一時的な下落で4.79円を付けたところから早々に元の水準へ戻したが、29日未明にかけてドル円が上昇したところでは4.84円までにとどまり、29日午前へドル円が失速気味の推移となったことで4.82円を割り込んでいる。

ドル円は2月13日夜の米CPI発表後の急伸で2月14日早朝高値150.88円を付けた後は149円台中盤へ下げたところを買われ、徐々に底上げをしつつ151円手前を抵抗とした持ち合いで底固い動きを見せているものの、トルコリラ円はドル高リラ安による圧迫で2月14日早朝以降は右肩下がりの展開で徐々に安値を切り下げている。
今夜の米1月PCE統計をきっかけとしてドル円が151円手前の壁を超えて一段高へ進めば、クロス円全般の上昇とともにトルコリラ円も大きく反騰する可能性があるが、逆にドル円が持ち合いから転落して下落感を強める場合にはドル高リラ安に加えて円高による圧迫も重なるため、トルコリラ円は年初の最安値水準を試しに向かう可能性が高まると思われる。
2月29日16時にはトルコの10-12月期GDPの発表があるが、事前予想では前年同期比が7‐9月期の5.9%から3.5%へ低下すると見込まれており、予想よりも低調な場合はリラ売り圧力が強まると警戒したい。

【ドル/トルコリラは3日連続で取引時間中の史上最安値更新】

ドル/トルコリラの2月28日は概ね31.39リラから30.97リラの取引レンジ、29日早朝の終値は31.17リラで前日終値の31.07リラから0.10リラのドル高リラ安だった。
高インフレが続く中でトルコ中銀が利上げを停止、8会合連続で利上げを進めてきたトルコ中銀のエルカン前総裁が2月2日に突然辞任し、後任のカラハン新総裁が2月23日に政策金利を現状維持としたことを不服としてドル高リラ安の進行が収まらない。
先週まで11週連続のドル高リラ安で推移してきたが、2月26日に31.27リラ、27日に31.30リラと取引時間中の史上最安値を更新、28日も31.39リラへ最安値を更新した。日足の終値ベースでは2月23日から28日まで4営業日連続で史上最安値を更新している。

2月28日に発表されたトルコの1月貿易統計確報では、貿易赤字は62.3億ドルとなり12月の60.7億ドルから拡大した。1月の輸出は199.91億ドルで12月の229.62億ドルから減少して2023年3月の235.48億ドルをピークに頭打ちの様相となっている。輸入は262.18億ドルで12月の290.35億ドルから減少しており、2023年3月の341.15億ドルをピークに減少傾向にある。

【2月のトルコCPI 65.74%へ上昇予想】

3月4日にトルコの2月CPI(消費者物価指数)の発表があるが、市場の事前予想では全体の前月比が3.7%となり1月の6.7%からは鈍化するものの12月の2.93%を上回る高水準となり、前年比は1月の64.86%から65.74%へさらに伸びると見込まれている。

トルコ中銀のカラハン新総裁は2月8日に四半期インフレ予想を公表し、今年前半に70%台でピークをつけ、2024年末のには36%へ、2025年末には14%へ、2026年末には9%まで低下するとの楽観的な見通しを示した。2月22日に政策金利を据え置いた際にはこれ以上の利上げは必要ないとし、インフレが予想以上に加速する場合には引き締めも検討するとの姿勢を示したが、エルカン前総裁時代に政策金利は8.5%から45.0%まで大幅に引き上げられてきたため、これ以上の利上げはトルコ経済への打撃となると懸念されるためにインフレ高進が続いても簡単には利上げ再開へ踏み込めないと思われる。中銀の期待通りにインフレ率が鈍化すればリラ安も落ち着いて通貨インフレ圧力も低下する好循環となる可能性も考えられるが、期待に反してインフレが収まらなければリラ安もさらに深刻化してゆくことになりかねない。
大手金融機関等は年末の為替レートについて1ドル32リラ、34リラ、36リラ等との予想を示しているが、当面はインフレの鈍化が顕著とならない限りリラの最安値更新も続くと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月26日午前に4.80円まで下げてその後の戻りも鈍かったため、27日午前時点では2月23日未明高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日の日中から29日未明にかけての間への下落を想定した。
2月28日昼に一段安してから戻したものの上値の重い状況にあるため、28日昼安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて28日昼安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは29日の日中から3月1日未明にかけての間への上昇を想定する。
2月28日昼安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとして3月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では一時的な飛び値を除いて先行スパンを上抜けずに右肩下がりの展開を続けているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。ただし、4.84円を超えるところからは戻りをさらに試す可能性があるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月28日昼の下落時に30ポイントを割り込んでから戻したが50ポイント台を維持できずにいる。60ポイント超えからは上昇継続で70ポイントを目指すとみるが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.79円を下値支持線、4.84円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.84円を下回るうちは一段安警戒とし、4.79円割れからは4.77円、4.75円を順次試してゆく下落を想定する。4.76円以下は反発注意とするが、4.82円を下回っての推移なら3月1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.84円前後は戻り売り有利とし、その後に4.82円を割り込むところから下げ再開とする。4.84円を上抜く場合は4.85円から4.86円手前への上昇を想定するが、4.85円以上は反落警戒とする。

【当面の主な予定】

2月29日
 16:00 10-12月期GDP 前期比 (7‐9月 0.3%)
 16:00 10-12月期GDP 前年同期比 (7‐9月 5.9%、予想 3.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 2月23日時点 グロス (2月16日時点 860.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月23日時点 ネット (2月16日時点 284.6億ドル)
3月1日
 16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 49.2)
3月4日
 16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 6.7%)
 16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 64.86%)
 16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 4.14%)
 16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 44.2%)


注:ポイント要約は編集部

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