ドル円見通し 151円手前の抵抗感抜けず、今夜の米PCE発表待ち(24/2/29)

ドル円は29日午前序盤には150.50円台へ下げている。

ドル円見通し 151円手前の抵抗感抜けず、今夜の米PCE発表待ち(24/2/29)

151円手前の抵抗感抜けず、今夜の米PCE発表待ち

〇ドル円、昨夜米GDP改定値発表後に150.84つけるも、2/13CPI発表後の150.88に至らず
〇米GDP改定値は下方修正、コアPCEデフレーターは上方修正
〇ボストン・NY連銀総裁の利下げ開始に慎重な発言、ドル高要因に
〇2/29朝、日銀神田財務官が151円手前でのけん制姿勢示す
〇今夜は米PCE統計発表、結果次第で大きく動くか
〇150.84超えからは151円前後への上昇を想定
〇150.08割れからは2/21未明安値149.68と2/15夜安値149.55を試す下落を想定

【概況】

ドル円は2月27日夜安値150.08円から買い戻されて28日夜の米GDP改定値発表後に150.84円を付けて2月27日未明高値150.83円をわずかに超えたが、2月13日夜の米CPI発表後の急伸で付けた2月14日早朝高値150.88円には至らず、29日午前序盤には150.50円台へ下げている。
米10-12月期GDP改定値は前期比3.2%増となり速報の3.3%から小幅下方修正される一方、コアPCEデフレーターが2.1%となり速報の2.0%から上方修正された。ボストン連銀のコリンズ総裁が利下げ判断にはもっと証拠が欲しいとし、NY連銀のウィリアムズ総裁もインフレの上振れリスクを指摘したことなど利下げ開始への慎重姿勢が示されたこともドル高要因だったが、29日夜に1月の米PCE統計の発表を控えていることと、早期利下げ期待の後退はすでに織り込み済としてドル高反応も限定的だった。
2月29日朝、神田財務官は「ファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが好ましい」、「過度な変動は経済に悪影響与える」、「行き過ぎた変動があるようであれば適切な対応、緊張感持ち監視する」と発言したが、2月14日早朝と同様に151円手前でのけん制姿勢を示した印象だ。

【米GDP改定値は下方修正、コアPCEデフレーターは上方修正】

2月28日夜に米商務省が発表した2023年10-12月期の実質GDP改定値は季節調整済み年率換算で前期比3.2%増となり速報値の3.3%増から下方修正された。2023年7-9月期確定値の4.9%増からは減速しているものの3%台を維持して堅調さを示したともいえる。同期の個人消費が速報の2.8%増から3.0%増へ、設備投資が速報の1.9%増から2.4%増へ、住宅投資が速報の1.1%増から2.9%増へ上方修正されたが民間在庫投資が下方修正されたことで全体も下方修正されたようだ。
インフレ指標である四半期ベースのPCE(個人消費支出)デフレーターは速報の1.7%から1.8%へ、コアPCEデフレーターは速報の2.0%から2.1%へ上方修正された。全体のPCEはすでにFRBの目標とする2%を割り込んでおり、コア指数も若干の上方修正だったものの目標近辺の水準にあり、今後の月次ベースでのコアPCEデフレーターが顕著に鈍化してゆけばFRBも利下げに踏み切ると思われる。
今夜は1月のPCE統計発表があり、市場の事前予想では全体のPCEデフレーター前年比が12月の2.6%から2.4%へ鈍化し、コア指数では12月の2.9%から2.8%へ鈍化すると見込まれている。

【米長期債利回りは総じて低下、ダウは続落】

2月28日の米長期債利回りは総じて小幅低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の4.27%だった。12月27日の3.78%を起点とした二段上昇で2月22日には一時4.35%をつけたが、その後は上昇が頭打ちとなっている。30年債利回りも前日比0.02%低下の4.41%となり、12月27日の3.94%を起点とした二段上昇で2月22日に4.51%をつけた後は上げ渋りの様相となっている。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.05%低下の4.64%となり、1月12日の4.12%と2月1日の4.14%をダブルボトムとした上昇で2月23日に4.76%をつけた後は上昇一服で下げている。
いずれも今夜の米PCE統計待ちであり、予想外の低下を見せるようだと5月利下げ開始期待が再燃して利回りが総じて大幅低下する可能性もあるが、予想以上に再加速しているようだと利下げ開始がさらに先延ばしされるとみて急伸することもあり得るところだ。

一方で米国株式市場は大上昇一服の様相だ。NYダウは2月23日に史上最高値を39282.28ドルまで伸ばしたが、翌日の2月26日から27日へ続落し、28日も前日比23.39ドル安と3営業日続落に終わった。ナスダック総合指数も2月23日に2022年10月以降の最高値をつけて27日は終値で16000ポイント台に到達したものの、2月28日は利益確定売りに圧されて前日比87.56ポイント安と下落した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は2月27日夜安値150.08円を起点とした上昇で2月27日未明高値150.83円を超えて29日未明に150.84円を付けたがその後は伸び悩みとなっている。今夜の米PCE統計次第で大きく動くと思われ、2月27日夜安値割れを回避して高値を更新する場合は29日深夜から3月5日未明にかけての間への上昇を想定するが、高値更新へ進めないうちはダブルトップ形成に終わる可能性もあるとみて150.30円以下での推移が続き始める場合は下向きとし、2月27日夜安値を割り込む場合は3月1日夜から5日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月29日未明への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いたが、その後の反落で両スパンともに悪化しやすい位置にある。先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とし、一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月28日夕刻から29日未明にかけての上昇時に指数のピークが切り下がる小規模な弱気逆行がみられるので、60ポイント台回復からは上昇再開とするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、45ポイント割れからは30ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月27日夜安値150.08円を下値支持線、2月29日未明高値150.84円を上値抵抗線とする。
(2)150.30円を上回るうちは一段高余地ありとし、150.84円超えからは151円前後への上昇を想定する。151円前後では売れやすいとみるが、150.30円以上を維持しての推移なら3月1日も高値試しへ向かいやすいとみる。米PCE統計から急伸の場合は上値目途を151円台前半(151.20円から151.50円)へへ引き上げる。
(3)150.30円以下での推移中は下向きとし、150.08円割れからは2月21日未明安値149.68円と2月15日夜安値149.55円を試す下落を想定する。149.70円以下は反騰注意とするが、150.08円を割り込んでの推移なら3月1日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

2/29(木)
10:30 (日) 高田日銀審議委員、滋賀県で講演、14:00 会見
14:00 (日) 1月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (12月 -4.0%、予想 -7.8%)
16:00 (独) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -1.6%、予想 0.5%)
16:00 (独) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 -4.4%、予想 -1.5%)
17:55 (独) 2月 失業者数 前月比 (1月 -0.20万人、予想 0.70万人)
17:55 (独) 2月 失業率 (1月 5.8%、予想 5.8%)
22:00 (独) 2月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (1月 0.2%、予想 0.5%)
22:00 (独) 2月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (1月 2.9%、予想 2.6%)

22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 PCE(個人消費支出) 前月比 (12月 0.7%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 2.6%、予想 2.4%)
22:30 (米) 1月 コアPCEデフレーター 前月比 (12月 0.2%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (12月 2.9%、予想 2.8%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.1万件、予想 21.0万人)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (週間 186.2万人、予想 187.4万人)
23:45 (米) 2月 シカゴ購買部協会景況指数 (1月 46.0、予想 48.0)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 8.3%、予想 1.0%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 -1.0%、予想 -4.4%)
24:50 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、座談会
25:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベント参加
27:15 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

3/1(金)
06:45 (NZ) 1月 住宅建設許可件数 前月比 (12月 3.7%)
08:30 (日) 1月 失業率 (12月 2.4%、予想 2.4%)
10:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会
10:30 (中) 2月 国家統計局製造業PMI (1月 49.2、予想 49.1)
10:45 (中) 2月 財新製造業PMI (1月 50.8、予想 50.7)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 38.0、予想 38.3)
17:55 (独) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 42.3)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 46.1)
18:30 (英) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 47.1)
19:00 (欧) 2月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (1月 2.8%、予想 2.5%)
19:00 (欧) 2月 コアHICP・速報値 前年同月比 (1月 3.3%、予想 2.9%)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 6.4%、予想 6.4%)
23:00 (英) ピル英中銀理事、講演

23:45 (米) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 51.5)
24:00 (米) 2月 ISM製造業景況指数 (1月 49.1、予想 49.5)
24:00 (米) 1月 建設支出 前月比 (12月 0.9%、予想 0.2%)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 79.6、予想 79.6)
24:15 (米) ウォラーFRB理事、講演
26:15(米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
27:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論会
29:30 (米) クーグラーFRB理事、講演


注:ポイント要約は編集部

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