ドル円の乱高下で下落後に戻すがドル高リラ安収まらず右肩下がりの展開続く
〇トルコリラ円、ドル円の急落により3/1未明4.77を付け、2/14早朝高値4.91以降の安値を更新
〇ドル円の反騰から3/1朝4.80まで戻すも、ドル高リラ安によりその後ドル円続伸の流れに付いてゆけず
〇対ドル、2/29は概ね31.31から31.00の取引レンジ、3/1午前31.46をつけ取引時間中の史上最安値更新
〇昨日発表の10-12月期トルコGDP、予想を上回る結果となるも市場の反応は鈍い
〇4.82を下回るうちは一段安警戒とし、4.77割れからは4.75、4.73を順次試してゆく下落を想定する
〇4.82を上抜く場合は4.83から4.84手前への上昇を想定するが、4.83以上は反落警戒とする
【概況】
トルコリラ円の2月29日は概ね4.83円から4.77円の取引レンジ、3月1日早朝の終値は4.80円で前日終値の4.82円から0.02円の円高リラ安だった。ドル円が日銀の高田審議委員発言をきっかけに急落したことで一段安となり、その後にドル円が反発したのを見て戻したものの、ドル高リラ安基調の継続で戻りは鈍く、3月1日午前序盤にはドル/トルコリラで史上最安値更新へとリラ安が進んだことで上値が抑えられている。
ドル円は日銀の高田審議委員がマイナス金利やYCCの解除へ向けた議論を始める必要があると述べたことをきっかけとして2月29日未明高値150.84円から急落し、29日夜の米1月PCEデフレーターが12月から鈍化したことによるドル安も加わり3月1日未明安値149.20円まで急落したが、149円割れを回避してからは急激に買い戻されている。日銀は3月ないし4月の金融政策決定会合でマイナス金利解除等に踏み込むと市場は予想しているが、2月以降の植田総裁、内田副総裁らの発言によりマイナス金利解除後も緩和状況が続き、連続的な利上げで引き締め感が強まることはないとの見方が優勢であり、昨年12月のような急激な円の独歩高商状には陥らないのではないかと思われる。しかし、米国の6月利下げ予想もあるため、151円手前での抵抗感払しょくには至らない印象だ。
トルコリラ円はドル円の急落により3月1日未明に4.77円を付けて2月14日早朝高値4.91円以降の安値を更新し、ドル円の反騰を見て1日朝には4.80円まで戻したものの、ドル高リラ安によりその後にドル円が続伸した流れには付いてゆけずにいる。2月14日早朝高値以降の右肩下がりの展開から抜け出せず、ドル円の上昇時に戻しても戻り高値が切り下がり、ドル円の下落時にはドル高リラ安も重なって一段安に陥る展開で推移している。
【ドル/トルコリラは3月1日午前に取引時間中の史上最安値更新】
ドル/トルコリラの2月29日は概ね31.31リラから31.00リラの取引レンジ、3月1日早朝の終値は31.19リラで前日終値の31.17リラからは0.02リラのドル高リラ安だった。
2月28日に31.39リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、29日は安値更新を回避したものの終値ベースでは2月23日から29日まで5営業日連続でドル高リラ安となり、3月1日午前には31.46リラまで取引時間中の史上最安値を更新しており、リラ安に歯止めがかからない状況が続いている。
【10-12月期トルコGDPは予想を上回るも市場の反応は鈍い】
2月29日に発表されたトルコの10-12月期GDPは前期比1.0%で7‐9月期の0.3%を上回り、前年同期比4.0%となり7-9月期の6.1%(当初の5.9%から上方修正)から鈍化したが、市場予想の3.5%を上回った。消費が前年同期比12.8%増となったことが支えとなったようだ。事前予想レンジは2.4%から4.7%だった。
市場予想を上回ったことはトルコ経済の底固さを示したといえるが、前年同期比の推移を見ると2022年の第2四半期の7.8%と第3四半期の7.6%とした高水準から鈍化し、2022年第4四半期以降は4.5%から3.3%までのレンジで低迷してきた。2023年7‐9月期に6.1%まで回復したものの10-12月期に4.0%へ鈍化したことは高成長への回復期待がやや後退した印象を与えている。
前期比の推移では2023年4‐6月期に3.6%増となったものの2023年1-3月期に0.2%減と悪化したトルコ・シリア大地震後の復興需要を反映したものであり、それを除けば2022年以降は1.5%に届かずいる。
トルコ中銀による昨年6月から今年1月までの8会合連続での利上げで政策金利は45%に達し、インフレが収まらないうちは利下げに踏み切れないため、高金利による景気への圧迫が徐々に影響してくると思われ、2024年第1、第2四半期の成長率鈍化への懸念がくすぶっている。
2月29日に発表されたトルコの1月サービス業PPI(サービス生産者物価指数I)は前月比15.25%上昇、前年同月比76.47%上昇、年率は80.68%と高水準となっている。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月23日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして27日の日中から29日未明にかけての間への下落を想定していたが、2月28日昼に一段安してからいったん戻したものの上値の重い状況だったため、29日午前時点では28日昼安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて28日昼安値を直近のサイクルボトムとした。
3月1日未明へ一段安したため、2月28日夕高値を直近のサイクルトップとした新たな弱気サイクル入りとして3月4日の日中から6日午後にかけての間への下落を想定する。強気転換には4.84円へ迫る反騰が必要と思われる。
60分足の一目均衡表では一時的な飛び値を除いて先行スパンを上抜けずに右肩下がりの展開を続けているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。ただし、連続的な上昇で先行スパンを上抜くところからは戻りをさらに試す可能性があるとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月29日夕刻への下落時に20ポイントを割り込んでから戻しているものお50ポイント手前が抵抗となり上値が重い印象だ。55ポイント超えからは反騰継続とみて60ポイント台前半への上昇を想定するが、40ポイント以下での推移が続く場合は20ポイント割れを再び試すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.77円を下値支持線、4.82円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.82円を下回るうちは一段安警戒とし、4.77円割れからは4.75円、4.73円を順次試してゆく下落を想定する。4.74円以下は反発注意とするが、4.82円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.82円手前は戻り売り有利とし、その後に4.79円を割り込むところから下げ再開とする。4.82円を上抜く場合は4.83円から4.84円手前への上昇を想定するが、4.83円以上は反落警戒とする。
【当面の主な予定】
3月1日
16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 49.2)
3月4日
16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 6.7%)
16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 64.86%)
16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 4.14%)
16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 44.2%)
3月7日
20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 グロス (2月23日時点 824.8億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 3月1日時点 ネット (2月23日時点 224.5億ドル)
注:ポイント要約は編集部
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