ドル円、高田審議委員発言と不冴な米経済指標で急落するも月末ロンドンフィキシングで急反発(3/1朝)

月末29日(木)のドル円相場は大幅下落。

ドル円、高田審議委員発言と不冴な米経済指標で急落するも月末ロンドンフィキシングで急反発(3/1朝)

高田審議委員発言と不冴な米経済指標で急落するも月末ロンドンフィキシングで急反発

〇ドル円、日銀高田審議委員発言、米1月PCEコアデフレータの鈍化等に米国時間に149.21まで急落
〇売り一巡後は月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いに150円前後に持ち直す
〇ユーロドル、欧州指標不冴えと欧州債利回り低下に1.08前後での冴えない動き
〇ドル円、主要テクニカルポイントの上側の位置を死守、買いシグナルも維持、地合い崩れず
〇ファンダメンタルズも円キャリートレードの継続期待がドル円をサポート
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:149.25ー150.75

海外時間のレビュー

月末29日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間早朝に、高値150.71まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)2/13に記録した年初来高値150.88を背にした戻り売り圧力(上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り)や、(2)高田日銀審議委員による「2%物価目標の実現がようやく見通せる状況になってきた」とのタカ派的な発言、(3)上記2を背景とした日銀による金融政策正常化期待、(4)円金利上昇に伴う円買い圧力、(5)米新規失業保険申請件数(結果21.5万件、予想21.0万件)の冴えない結果、(6)米1月PCEデフレータ(結果+2.4%、予想+2.4%、前回+2.6%)および、米1月PCEコアデフレータ(結果+2.8%、予想+2.8%、前回+2.9%)の前月比鈍化、(7)米2月シカゴ購買部協会景気指数(結果44.0、予想48.0)の市場予想を下回る結果、(8)米1月中古住宅販売成約指数(結果▲6.8%、予想▲4.4%)の市場予想を下回る結果、(9)米2月カンザスシティ連銀製造業活動指数(結果▲4、予想▲2)の市場予想を下回る結果が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値149.21まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(10)月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフローが支えとなり、本稿執筆時点(日本時間3/1午前3時00分現在)では、150.01前後まで持ち直す動きとなっております。尚、昨日はアトランタ連銀ボスティック総裁による「インフレは予想よりもはるかに早く低下」「FEDの利下げ開始は夏頃が適切」との発言や、シカゴ連銀グールズビー総裁による「サプライチェーンの正常化を受けてディスインフレがさらに強まる可能性」との発言が見られましたが、市場の反応は限られました。

月末29日(木)のユーロドル相場は冴えない動き。(1)ドイツ1月小売売上高(結果▲0.4%、予想+0.5%)の市場予想を下回る結果や、(2)ドイツ2月失業率(結果5.9%、予想5.8%)の予想比悪化、(3)ドイツ2月HICP速報値(結果+2.7%、予想+2.7%、前回+3.1%)の前月比鈍化が重石となり、米国時間朝方にかけて、一時1.0822まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)米経済指標の冴えない結果や、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、日本時間0時過ぎに、高値1.0856まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(6)月末ロンドンフィキシングに絡むドル買いフローや、(7)ドイツ債利回り低下に伴うユーロ売り圧力が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0795まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/1午前3時00分現在)では、1.0799前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は年初来高値トライに失敗する形で一時149.21まで急落しましたが、長い下髭を残して結果的に150円台を回復していることや、日足ローソク足が主要テクニカルポイントの上側の位置を死守していること、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続点灯していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは崩れていない(昨日の下落は上昇トレンドの過程で見られる一時的なポジション調整)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による金融緩和の長期化観測(先般発表された本邦CPIの上振れや、昨日の高田日銀審議委員によるタカ派的な発言を受けて、金融政策正常化期待が高まっているが、植田日銀総裁や内田日銀副総裁は「マイナス金利解除後も金融緩和を続ける方針」を示しているため、円金利の上昇速度は予想以上に遅いものに留まる公算大)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(昨日発表された米PCEデフレータは前月比鈍化が確認されたものの、米当局者の発言を見る限り、上半期中の利下げ着手は無いとの見方が市場コンセンサス)、(3)上記1、2を背景とした円キャリートレードの継続期待(日米金利差は当面縮小しない可能性大→ドル買い・円売り安心感)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米2月ISM製造業景況指数や、投票権を有する米当局者(ウォラーFRB理事、アトランタ連銀ボスティック総裁、サンフランシスコ連銀デーリー総裁、クーグラーFRB理事)の発言など、重要イベント目白押しの1日となるため、昨日同様、ボラティリティの高い相場展開に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:149.25ー150.75

注:ポイント要約は編集部

高田審議委員発言と不冴な米経済指標で急落するも月末ロンドンフィキシングで急反発

ドル円日足

オーダー/ポジション状況

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