トルコリラ円見通し 対ドルでの最安値更新続き、トルコリラ円も右肩下がりの展開続く(24/2/27)

トルコリラ円の2月26日は概ね4.85円から4.80円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.83円で先週末終値の4.84円から0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 対ドルでの最安値更新続き、トルコリラ円も右肩下がりの展開続く(24/2/27)

トルコリラ円見通し 対ドルでの最安値更新続き、トルコリラ円も右肩下がりの展開続く

〇トルコリラ円、2/26午前に4.80まで下げてから戻すも、4.85手前で上値が抑えられる
〇対ドル、2/26は概ね31.27から30.89の取引レンジ、31.27をつけ史上最安値を更新
〇2/27早朝の終値は31.04で、終値でも初めて31リラ台に到達
〇トルコ中銀は2/22に政策金利を据え置いたが、市場はインフレが収まらないとみてリラ売り継続
〇4.86を下回るうちは一段安警戒とし、4.80割れからは4.78前後への下落を想定する
〇連続的な上昇で4.86を超える場合は、4.88台への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の2月26日は概ね4.85円から4.80円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.83円で先週末終値の4.84円から0.01円の円高リラ安だった。
トルコリラ円はドル円の上昇に支えられてきたが、ドル円は2月14日早朝高値150.88円の後は高値更新へ進めずに149円台中盤で買われて151円に届かない範囲の持ち合いにつかまっているため、トルコリラ円への円安による支援が効かなくなってきている。一方でドル高リラ安は収まらずに2月26日も対ドルでのリラ最安値更新が続き終値ベースで初めて1ドル31リラ台に到達したことでトルコリラ円に対する売り圧力も強まっている。

ドル円は2月14日早朝高値の後はほぼ横ばいのボックス型持ち合いで推移しているが、トルコリラ円は2月14日早朝高値4.91円の後は、飛び値として一時的な高値提示が繰り返されているところを除けば右肩下がりの展開であり、2月26日は午前に4.80円まで下げてから戻したものの4.85円手前で上値が抑えられている。
2月29日の米1月PCEデフレーターをきっかけとしてドル円が一段高へ進めばトルコリラ円も反騰入りしうるだろうが、逆にドル円がPCEデフレーターをきっかけに持ち合いから下放れる場合にはドル高リラ安と円高が重なってトルコリラ円の下げ足が速まる可能性もあると注意したい。

【ドル/トルコリラは週明けも取引時間中及び終値での史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの2月26日は概ね31.27リラから30.89リラの取引レンジ、27日早朝の終値は31.04リラで先週末終値の30.97リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
2月21日に31.20リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した後は新たな安値更新に至らずにいたが、26日は31.27リラへ最安値を伸ばし、終値でも初めて31リラ台に到達した。
先週時点で週間ベースでは12月15日の週から11週連続のドル高リラ安、5週連続で取引時間中の史上最安値更新だったが、週明け早々に再安値を更新したことで6週連続での取引時間中最安値更新となった。

【リラ売り収まらず】

トルコ中銀は昨年11月にインフレ対策としての利上げサイクルの終了が近いとし、12月と1月の追加利上げ幅を2.5%ずつにペースダウンし、エルカン前総裁は1月25日の利上げ後に利上げ終了を宣言した。しかしインフレ高進が続く中、2月2日にエルカン氏が突然辞任して市場の不安心理が増し、後任のカラハン新総裁は2月22日に政策金利を据え置き、追加利上げの必要はないとしてインフレ鈍化への楽観見通しを示したが、市場は現状の金利水準を維持してもインフレは収まらないとしてリラ売りを続けている。

2月29日にはトルコの10-12月GDPの発表があるが、前年同期比に対する市場の事前予想は7‐9月期の5.9%増から3.5%増へ鈍化すると見込まれており、最も低い予想では2.4%まで鈍化する見方も出ている。3月1日には2月のイスタンブール製造業PMIの発表があるが、昨年7月から今年1月まで7か月連続で強弱分岐点の50を割り込んでおり、2月も50割れが続くとみられている。また3月4日には2月のトルコCPIとPPIの発表があり、市場の事前予想はまだまとまっていないものの、1月の前年比64.86%から65%台へ伸びる可能性も指摘されている。
トルコ中銀としては高金利による景気への悪影響を懸念して現行の金利水準を維持することでインフレ鎮静化を期待したいところだが、インフレが収まらず利下げもできずに景気への打撃が顕著になれば歴史的なリラ安が簡単には収まらないとして1ドル31リラ台に留まらず32リラ、34リラ、36リラへと最安値を更新してゆくのではないかと懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月16日夜高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日早朝から23日早朝にかけての間への下落を想定していたが、飛び値を除いて2月23日未明に4.86円までいったん戻してから4.83円近辺へ下げたため、2月26日午前時点では2月22日未明安値を直近のサイクルボトムとし、底割れからは新たな弱気サイクル入りとした。
2月26日午前に一時的な安値ではあるが4.80円まで下げてその後の戻りも鈍いため、2月23日未明高値を直近のサイクルトップとしてすでに新たな弱気サイクル入りしていると仮定して27日の日中から29日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では一時的な飛び値を除いて先行スパンを上抜けずにいるため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。2月23日未明高値4.86円を連続的に超えるところからは継続的反騰とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2月23日早朝の一時的高値で80ポイントを付け24日早朝にも70ポイント近辺をつけたがその後は失速しており27日午前には50ポイントを割り込んでいるのでまだ下落余地ありとし、40ポイント割れからは30ポイント弱への低下を想定する。強気転換には連続的な上昇で60ポイントを超える必要があるとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.80円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.86円を下回るうちは一段安警戒とし、4.80円割れからは4.78円前後への下落を想定する。4.78円以下は反発注意とするが、4.82円を下回っての推移なら28日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.86円前後は戻り売り有利とし、その後に4.83円を割り込むところから下げ再開とするが、連続的な上昇で4.86円を超える場合は4.88円台への上昇を想定し、4.86円を上回っての推移なら28日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月28日
 16:00 1月 トルコ貿易収支 (12月 -60.4億ドル)
 16:00 2月 経済信頼感指数 (1月 99.4)
2月29日
 16:00 10-12月期GDP 前期比 (7‐9月 0.3%)
 16:00 10-12月期GDP 前年同期比 (7‐9月 5.9%、予想 3.5%)
 20:30 週次 外貨準備高 2月23日時点 グロス (2月16日時点 860.9億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月23日時点 ネット (2月16日時点 284.6億ドル)
3月1日
 16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 49.2)
3月4日
 16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 6.7%)
 16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 64.86%)
 16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 4.14%)
 16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 44.2%)


注:ポイント要約は編集部

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