反発傾向は一服、追加利上げ見送りを市場は疑問視
【先週のトルコリラ】
先週のトルコリラは、トルコ中央銀行が政策金利の据え置きを発表したことで、反発基調が一服した。
22日、トルコ中央銀行は、主要政策金利の1週間物レポレートを市場予想通り45.0%に据え置いた。インフレ見通しの大幅かつ持続的な悪化が見込まれる場合は、政策スタンスを引き締める方針も示した。
中銀は今回の声明で「月ごとのインフレ率の基調的なトレンドに大幅で持続的な低下が見られ、インフレ期待が予想範囲に収まるまで現在の政策金利水準を維持する」と表明したほか、「引き締まった金融スタンスは、ディスインフレの重要な要素であるリラの実質的な上昇プロセスに引き続き寄与するだろう」とコメントした。
市場では、インフレが継続しているにも関わらず、政策金利引き上げを実施しなかったことや、追加の利上げの可能性を強くにおわすような声明をださなかったカラハン新体制に失望。足元やや強まりつつあった反発傾向は一気に弱まり、日足の一目均衡表の雲下限での推移となった。
トルコ・円(東京時間:2月19日―2月23日)
※Investing.comの日足を参照
始値:4.8703円
高値:4.9116円
安値:4.8144円
終値:4.8880円
【先週と今週の重要指標】※時間は東京時間
2月21日
16時00分、2月消費者信頼感指数、前回:80.4、結果:79.3
2月22日
20時00分、トルコ中銀政策金利、前回:45.0%、市場予想:45.0%、結果:45.0%
2月23日
16時00分、2月設備稼働率、前回:76.2%、結果:76.4%
16時00分、2月製造業景況感指数(季節調整済)、前回:100.9、結果:101.5
17時00分、1月外国人観光客(前年比)、前回:3.5%、結果:2.1%
2月28日
16時00分、1月貿易収支、前回:−60.4億ドル、市場予想:−62億ドル
2月29日
16時00分、第4四半期GDP(前年比)、前回:5.9%、市場予想:3.5%
3月1日
16時00分、2月製造業PMI、前回:49.2
※予定は変更することがございます。
【今週の見通し】
今週のトルコリラは、カラハン新体制に対する「タカ派」への期待が剥落したことから、トルコリラ反発のストーリーはリセットとなった。良くて横ばい推移、悪ければ下向きの展開となりそうだ。
カラハン総裁は、エルカン前総裁の方針を踏襲したわけだが、じりじりと上昇するインフレ上昇率でも、昨年11月時点のインフレ見通し(2024年末に36.0%まで低下)をベースとしていることに市場は懐疑的な見方を強めている様子だ。
対ドルでは31.04台と史上最安値水準での推移が当たり前の状況となっており、下げ止まる気配はない。明確な反転のきっかけが見当たらない状況下、主要通貨に対するトルコリラ安は進む公算が大きい。
円建てでは、横ばい推移の50日移動平均線水準でのもみ合いとなっており、日足の一目均衡表の雲下限に沿った動きがみられる。転換線、基準線が狭いレンジで実線に収れんしており、明確な方向感は乏しい。
カラハン体制の「タカ派」姿勢が明確となることに伴う100日移動平均線や雲上限が位置する5.03円水準を意識したリバウンドを期待していたが、足元逆の動きだ。1月1日の史上最安値4.7503円を意識した下向きの展開に警戒したい。
トルコリラ円日足
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