11週連続のドル高リラ安、円安も頭打ちで右肩下がりの展開
〇トルコ円、2/14のドル円急伸時につけた高値4.91から右肩下がりの展開続く
〇2/20午後の4.85から戻り高値切り下がる、本日午前序盤は4.83から4.84近辺の水準
〇今週米PCEデフレーターの結果でドル円が大きく動く可能性も、トルコ円への影響に要注目
〇対ドル、2/22は概ね31.08から30.64の取引レンジ、週間ベースで11週連続の下落
〇トルコ中銀、9会合ぶりに政策金利据え置き、利上げ終了とインフレ鎮静化への楽観見通しをアピール
〇インフレ高進が収まらず追加利上げに追い込まれるか、利上げできずリラ安が一段と進むか市場は懸念
〇トルコ外貨準備高増強は頭打ち、新体制が増強姿勢を継続的に示せるかが重要課題
〇4.86を下回るうちは一段安警戒とし、4.81割れからは4.78前後への下落を想定
〇連続的な上昇で4.86を超える場合は4.88台への上昇を想定
【概況】
トルコリラ円の2月22日は概ね4.91円から4.83円の取引レンジ、23日早朝の終値は4.85円で前日終値の4.84円から0.01円の円安リラ高だった。23日は概ね4.90円から4.83円の取引レンジ、24日早朝の終値は4.84円で前日から0.01円の円高リラ安で、週間では2月16日終値4.87円から0.03円の円高リラ安だった。
60分足では2月16日の未明と早朝、20日早朝、23日早朝と24日早朝に飛び値となる4.95円強の高値が一時的に出現しているものの、全般的な流れは2月14日早朝にかけてドル円が急伸した時の高値4.91円から右肩下がりの展開を続けており、直近では2月22日未明安値4.81円から23日未明高値4.86円まで戻したものの20日午後の4.85円から戻り高値は切り下がっており、26日午前序盤も4.83円から4.84円近辺の水準にとどまっている。
ドル円は米国の早期利下げ期待後退によるドル高で2月14日早朝に150.88円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値とした後はドル買い材料を織り込んだとして149円台へ下げるところを買われつつ高値を更新できずに150.0円台中心の持ち合いを続けている。日銀のマイナス金利解除へ向けた動きについてもある程度織り込んでいるため方向感に欠けるところだが、今週の米PCEデフレーターの内容次第では持ち合い放れから大きく動くことも考えられるのでトルコリラ円としても注目したい。米国の利下げ時期についてはFRB高官や地区連銀総裁らの発言内容が従来よりも利下げ開始のタイミングへ傾斜するのか利下げ先送りを強調する姿勢を継続するのか注目される。
トルコリラ円は一時的な飛び値を除けば1月3日安値4.74円から2月13日高値4.99円まで戻したところで戻り一巡となり2月16日からは軟調な推移に入っている。ドル円が持ち合い上放れにより上昇が勢い付く場合には終値で4.90円を超えるところから5.00円を目指す上昇へ発展する可能性も考えられるが、ドル円が2022年10月23日高値151.94円と2023年11月13日高値151.90円によるダブル天井ラインを超えずに持ち合い下放れから下落に転じる場合は日足終値で2月1日終値4.81円を割り込み史上最安値更新を試しに向かう可能性が高まるのではないかと思われる。
【ドル/トルコリラは週間ベースで11週連続の下落】
ドル/トルコリラの2月22日は概ね31.08リラから30.64リラの取引レンジ、23日早朝の終値は30.88リラで前日終値の30.91リラからは0.03リラのドル高リラ安だった。2月23日は概ね31.09リラから30.69リラの取引レンジ、24日早朝の終値は30.97リラで前日から0.08リラのドル高リラ安だった。
2月21日に31.20リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新、その後は新たな安値更新には至らずにいるが23日は終値としての史上最安値を更新した。
週間では2月16日終値30.82リラから0.15リラのドル高リラ安で、週足としては12月15日の週から11週連続のドル高リラ安、5週連続で取引時間中の史上最安値更新となった。
【トルコ中銀、9会合ぶりに政策金利据え置き】
トルコ中銀は2月22日の金融政策委員会で政策金利の週間レポレートを45.0%で据え置いた。エルドアン大統領再選後に中銀総裁となったエルカン前総裁により2023年6月から2024年1月まで8会合連続の利上げを行い政策金利は就任前の8.5%から大幅に引き上げられてきたが、11月会合で利上げ終了期が近いと示唆し、12月と1月の利上げ幅を2.5%と縮小して利上げの終了を宣言した。
エルカン前総裁は2月2日に突然辞任したが、後任のカラハン新総裁は「現時点では追加の利上げは必要ない」「インフレ対策としての利上げは終了した」として今回の据え置きを決定した。新総裁は「インフレの下落基調が大幅かつ持続的になるまで現状の金利水準を維持する」とし、「インフレ見通しの顕著な悪化が予想される場合は金融引き締めを行う」と述べたが、市場はインフレ高進が収まらない状況が続いて追加利上げに追い込まれるか、利上げができずにリラ安が一段と進むのではないかと懸念している。
高金利が続けばトルコ経済へ打撃となるが、早まった利下げはインフレとリラ安を加速させかねない。これ以上の利上げに経済は耐えられないとして利上げ終了とインフレ鎮静化への楽観見通しをアピールしているわけだが、困難な状況は暫く続くと思われる。
【外貨準備高増強は頭打ち】
2月22日にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は2月16日時点のグロスで860.9億ドルとなり2月9日時点の863.7億ドルから若干減少し、ネットでは284.6億ドルとなり2月9日時点の288.0億ドルから減少した。
トルコ中銀はエルカン前総裁就任後に外貨準備高を取り崩してリラ防衛のための市場介入を繰り返して来たことを止めて海外からの信用を得るために必要として外貨準備高増加に励んできた。しかし、最近ではグロス及びネットでの減少傾向がみられ、増加基調が頭打ちとなっている。
グロスでは2023年6月の565.2億ドルから12月末には975.6億ドルまで大幅増加してから低下傾向に入っている。ネットではエルカン前総裁就任時の6月にマイナス57億ドルまで悪化したところから12月末に400.9億ドルまで改善したが、1月後半には236.5億ドルまで急減してから若干持ち直した後は横ばい程度にとどまっている。カラハン新総裁体制が結果としてどこまで外貨準備高の増強姿勢を継続的に示せるのか、重要な課題となってくると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月19日夕刻への下落で2月16日早朝安値を割り込んだために2月20日午前時点では2月16日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日早朝から23日早朝にかけての間への下落を想定した。
飛び値を除いて2月23日未明に4.86円までいったん戻してから4.83円近辺へ下げているため、2月22日未明安値を直近のサイクルボトムとし、底割れ回避のうちは26日の日中から27日にかけての間への上昇余地ありとするが、4.81円割れからが新たな弱気サイクル入りとして27日未明から29日未明にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では一時的な飛び値を除いて先行スパンを上抜けず、2月26日午前序盤は先行スパンから転落しているので遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。2月23日未明高値4.86円を連続的に超えるところからは継続的反騰とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は2月23日早朝の一時的高値で80ポイントを付け24日早朝にも70ポイント近辺を地けているが、それらを除けば60ポイント以下での推移に留まり26日午前序盤は50ポイント以下に付けている。連続的な上昇で60ポイントを超える場合は反騰期とみて70ポイント台への上昇を想定するが、概ね50ポイント以下での推移中は下向きとして30ポイント以下を試す下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.81円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.86円を下回るうちは一段安警戒とし、4.81円割れからは4.78円前後への下落を想定する。4.78円以下は反発注意とするが、4.83円を下回っての推移なら27日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.86円前後は戻り売り有利とし、その後に4.83円を割り込むところから下げ再開とするが、連続的な上昇で4.86円を超える場合は4.88円台への上昇を想定し、4.86円を上回っての推移なら27日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月28日
16:00 1月 トルコ貿易収支 (12月 -60.4億ドル)
16:00 2月 経済信頼感指数 (1月 99.4)
2月29日
16:00 10-12月期GDP 前期比 (7‐9月 0.3%)
16:00 10-12月期GDP 前年同期比 (7‐9月 5.9%)
20:30 週次 外貨準備高 2月23日時点 グロス (2月16日時点 860.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月23日時点 ネット (2月16日時点 284.6億ドル)
3月1日
16:00 2月 イスタンブール製造業PMI (1月 49.2)
3月4日
16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (1月 6.7%)
16:00 2月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (1月 64.86%)
16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (1月 4.14%)
16:00 2月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (1月 44.2%)
注:ポイント要約は編集部
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