『トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定。市場は利上げ催促のリラ売り開始へ』
○今週のトルコ円、早々に4.89まで上昇後、週央には4.81まで下落し、その後も上値の重い展開
○トルコ中銀の政策金利の据え置き決定や、不冴なトルコ2月景気動向指数などが重石
○日足ローソク足が主要テクニカルポイントの全てを下回り、売りシグナルも点灯、地合いは極めて弱い
○ファンダメンタルズもインフレ再燃リスクなど、トルコリラ円相場下落を連想させる材料揃う
○引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想
○来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー4.95
今週のレビュー(2/19−2/23)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.87円で寄り付いた後、早々に週間高値4.89円まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(1)トルコ2月消費者信頼感指数(結果79.3、前回80.4)の冴えない結果や、(2)トルコ中銀・金融政策決定会合を控えたポジション調整が重石となり、週央にかけて、週間安値4.81円まで下落しました。
その後も、(3)トルコ中銀による政策金利の据え置き決定(声明文の中にも「インフレ期待が予測結果の範囲に収束するまで、現在の政策金利水準が維持される」と記載→市場はインフレが続いているにも係わらずトルコ中銀が政策金利を据え置いたことに対して失望)や、(4)トルコ2月景気動向指数(結果102.0、前回102.9)の不冴な結果、(5)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米金利上昇・米ドル高はトルコリラをはじめ新興国通貨に下押し圧力)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/24午前3時00分現在)においても、4.84円前後での上値の重い展開が続いています。尚、対ドル相場は週末にかけて史上最安値を更新しました。
来週の見通し(2/26−3/1)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、2/13に記録した高値4.99円をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時4.81円まで下落しました。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の全てを下回っていることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が成立していること、来週中に「一目均衡表三役逆転」の点灯が見込まれていること、対ドル相場の史上最安値更新が続いていること(今週はUSDTRYの節目31.00を一気にブレイク)等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ消費者信頼感指数は6カ月ぶりとなる前月比悪化)や、(2)トルコ国内のインフレ再燃リスク(2/5に発表されたトルコ1月消費者物価指数は市場予想を上回る結果→実質金利低下に伴う構造的なリラ売り再開)、(3)上記2を背景とした利上げ催促のリラ売り圧力(上記2で述べた通り、トルコではインフレリスクが再燃しているにもかかわらず、トルコ中銀は政策金利の据え置きを決定→市場はトルコ中銀に対して「利上げ催促のリラ売り」を仕掛ける公算大)、(4)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(上半期中の利下げ観測が後退。利下げ開始は7月以降にずれ込むとの見方が増加→米金利上昇→対ドルでのトルコリラ急落→トルコリラ円連れ安)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週はトルコ1月貿易収支や、トルコ第4四半期GDP、トルコ2月製造業PMIに注目が集まります。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー4.95
注:ポイント要約は編集部
トルコリラ円日足
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