ドル高リラ安続き、ドル円も持ち合い範囲で円安による支援乏しい
〇トルコ円、2/14ドル円急伸時につけた4.91から右肩下がりの展開、2/22未明4.81まで安値切り下げる
〇ドル円は持ち合い範囲内での円安で支援効果に欠け、対ドルではリラ安基調に圧迫される
〇対ドル、2/21は概ね31.20から30.73の取引レンジ、取引時間中・終値の史上最安値を2日連続更新
〇本日のトルコ中銀政策会合、金利据え置きの見通し、追加利上げ催促的なリラ売りが勢いを増す可能性
〇カラハン新総裁、インフレ抑制のための利上げ終了との見解表明、市場は金融政策正常化継続に懸念
〇トルコ2月消費者信頼感指数、6か月振りに悪化、消費者心理の改善も頭打ちか
〇4.86を下回るうちは一段安警戒とし、4.81割れからは4.78前後への下落を想定
〇4.86から4.87手前の水準は戻り売り有利、その後4.83を割り込むところから下げ再開とみる
【概況】
トルコリラ円の2月21日は概ね4.85円から4.81円の取引レンジ、22日早朝の終値は4.84円で前日終値の4.85円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル円は150円を挟んだ持ち合いが続いているが、2月21日未明安値149.68円から持ち直しており、22日早朝の米FOMC議事要旨公開後に150.39円へ上昇、22日午前には150.40円台まで高値を伸ばしている。持ち合い中の2月16日深夜高値150.64円や2月13日の米CPI発表後の急伸で付けた14日早朝高値150.88円を試す可能性もあるが、日銀によるマイナス金利解除への地ならし的な動きや米国の早期利下げ期待後退を織り込んだことで151円手前の上値抵抗感を払拭するのはまだ難しいのではないかと思われる。
トルコリラ円はドル円が持ち合い範囲の小動きにとどまっているために持ち合い範囲内での円安では支えとしての効果にかけ、ドル/トルコリラが史上最安値を更新するリラ安基調での推移を続けていることに圧迫されており、2月14日早朝にかけてのドル円の急伸時に4.91円を付けた後は、一時的なリラ買いを反映した飛び値を除いて右肩下がりの展開を続けており、2月22日未明には4.81円まで安値を切り下げている。
2月22日夜にトルコ中銀金融政策委員会があるがインフレ高進が収まらない中で政策金利が据え置かれる見通しのため、追加利上げ催促的なリラ売りが一段と勢いを増す可能性もあり、トルコリラ円としてはドル円が持ち合い上放れへ進めないうちは戻り売り有利の展開で安値試しを続けやすい局面と思われる。
【ドル/トルコリラは取引時間中及び終値での史上最安値を2日連続で更新】
ドル/トルコリラの2月21日は概ね31.20リラから30.73リラの取引レンジ、22日早朝の終値は30.91リラで前日終値の30.90リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
2月22日はトルコ中銀金融政策委員会があり、市場の事前予想は政策金利の週間レポレートが現行の45%で据え置かれるとの見方で一致しているが、高インフレが続く中ではさらなる追加利上げが必要として市場は利上げ催促的なリラ売り基調を続けており、2月21日は前日に付けた取引時間中の史上最安値31.04リラを超えて31.20リラをつけ、終値も前日から2営業日連続で史上最安値とした。
【トルコ中銀、政策金利据え置きの見込み】
トルコ中銀は1月25日に政策金利の週間レポレートを2.5%引き上げて45.0%としてインフレ抑制のための利上げを終了するとした。2月2日にトルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任し、2月5日発表の1月トルコCPI上昇率が前月比6.70%と12月の2.93%から加速したことでインフレ高進が続く懸念が強まったものの、後任のカラハン新総裁は2月8日の会見でインフレ抑制のための利上げは終了したとの見解を改めて表明し、2024年末にかけてのインフレ低下見通しを楽観的に示した。しかし市場はエルカン総裁時代に正常化した金融政策が継続できるのか不透明とし、インフレ抑制もまだ足りないとしてリラ売りを続けている。
【トルコ2月消費者信頼感指数は6か月振りに悪化】
2月21日に発表されたトルコの2月消費者信頼感指数は79.3となり1月の80.4から低下した。昨年5月に91.06を付けたところをピークとして8月の68.01まで大幅に悪化し、その後は今年1月まで5か月連続で持ち直してきたが、消費者心理の改善も頭打ちの様相がみられる。
内訳では家計が1月に67.2から67.1へ悪化、家計の向こう12か月見通しは1月の79.5から78.2へ悪化、景気全般の向こう12か月見通しについては1月の77.2から74.6へ悪化、耐久財消費の向こう12か月見通しは1月の97.9から97.5へと悪化している。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月16日早朝安値をサイクルボトムとして底割れから新たな弱気サイクル入りとしていたが、2月19日夕刻への下落で16日早朝安値を割り込んだために2月20日午前時点では2月16日夜高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして21日早朝から23日早朝にかけての間への下落を想定した。
2月22日未明へ続落したため引き続きボトム形成中とみるが、2月19日夕安値を直近のサイクルボトムとしてボトム形成期が週明けまで延びる可能性もあると注意する。強気転換は4.87円を超える反騰からとする。
60分足の一目均衡表では一時的な飛び値を除いて先行スパンからの転落状態が続いているため遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とする。4.87円を超えるところからは反騰継続とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン上限のある4.88円近辺では戻り売りにつかまりやすいとみる。
60分足の相対力指数は2月22日未明へ安値を更新したものの指数のボトムは30ポイント前後でほぼフラットのため、55ポイント超えからは反騰継続とみて60ポイント台前半への上昇を想定するが、その後に45ポイントを割り込むところからは下落再開として30ポイント割れを再び試すとみる。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.81円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)一時的な上昇を除いて4.86円を下回るうちは一段安警戒とし、4.81円割れからは4.78円前後への下落を想定する。4.78円以下は反発注意とするが、4.83円を下回っての推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.86円から4.87円手前の水準は戻り売り有利とみてその後に4.83円を割り込むところから下げ再開とみる。
【当面の主な予定】
2月22日
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 45.0%)
20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 グロス (2月9日時点 863.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 ネット (2月9日時点 288.0億ドル)
2月23日
16:00 2月 製造業景況感 (1月 100.9)
16:00 2月 設備稼働率 (1月 76.2%)
17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 3.51%)
注:ポイント要約は編集部
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