ドル円見通し FOMC議事要旨にサプライズ無し、150円を挟んだ持ち合い続く(24/2/22)

ドル円は2月14日早朝に150.88円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値とした後は150円を挟んだ持ち合いで推移している。

ドル円見通し FOMC議事要旨にサプライズ無し、150円を挟んだ持ち合い続く(24/2/22)

FOMC議事要旨にサプライズ無し、150円を挟んだ持ち合い続く

〇ドル円、2/21日中はややジリ高推移、本日早朝の米FOMC議事要旨公開直後150.39へ上昇
〇議事要旨公開後は若干のドル高反応、市場の関心は来週の米GDP改定値や1月PCEデフレーターに
〇FOMC、参加者の大半が性急な利下げ開始によるリスクを警戒、利下げ判断に慎重な姿勢
〇6月会合での利下げ期待度、2/20の80%から70%台前半へ若干低下するも依然高い水準を維持
〇米10年債利回りは高止まり、ダウは戻したがナスダックは続落
〇150.43超えからは2/14早朝高値150.88及び151.00を試す上昇を想定
〇149.68割れからは149.26、148.90、148.90を順次試して行く下落を想定

【概況】

ドル円は2月13日夜の米CPI上昇率が予想を上回ったことによる急伸で2月14日早朝に150.88円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値とした後は150円を挟んだ持ち合いで推移している。急騰後の修正安で付けた2月15日夜安値149.55円に対して2月20日深夜の米景気先行指数発表直後に149.68円まで下げたものの安値更新を回避し、21日の日中はややジリ高の推移となり、22日早朝の米FOMC議事要旨公開直後に150.39円へ上昇したが2月20日午後高値150.43円に届かず、戻り高値は2月16日夜の米PPI発表後に付けた高値150.64円から切り下がり基調にある。
FOMC議事要旨では利下げ開始への慎重姿勢が示される一方で3月会合から資産売却ペースの縮小議論を開始するとしたが、当該FOMC後の声明文及びパウエル議長会見の内容以上のサプライズ感はなかった。米国の早期利下げ期待が後退したことは市場も織り込んでおり、来週の米GDP改定値や1月PCE(個人消費支出)デフレーターへ関心が向いているようだ。

【FOMC議事要旨、利下げへ慎重姿勢】

FRB(米連邦準備制度理事会)は2月22日早朝に1月30-31日に開催したFOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)の議事要旨を公表した。その中で会合参加者の大半が性急な利下げ開始によるリスクを警戒しており、利下げ判断に慎重な姿勢であることが示された。
議事要旨では政策金利の据え置きについて全員一致とし、引き締めの継続によりインフレ鈍化を促し、利下げへ向けてさらに指標を精査するとした。また大半はインフレ率が目標を依然として政策目標を上回っていることを踏まえて「景気抑制的な政策スタンスをどれくらい維持する必要があるのか不確か」とし、金融引き締めが長期化することによる景気の下振れリスクへの言及は少数だった。

一方では多数の参加者が3月会合においては総資産縮小ペースを緩やかにする議論を始めるのが適切としており、FOMCとしては引き締めを終了して利下げのタイミングを慎重に判断してゆくという印象を与えた。
FOMC議事要旨発表直後に若干のドル高反応がみられたものの市場全般の動きは緩やかだった。米国の金利先物市場における3月利下げ期待度はほぼ解消し、5月会合での利下げ期待度も3割を切り、6月会合での利下げ期待度は20日の80%から70%台前半へ若干低下したものの依然として高い水準を維持している。

【米10年債利回りは高止まり、ダウは戻したがナスダックは続落】

2月21日の米長期債利回りは総じて小幅上昇した。米財務省が2月21日に実施した20年債入札は応札倍率が2.39倍で前月の2.53倍及び平均の2.62倍を下回る低調さだったために米長期債利回り全般の押し上げ要因となったようだ。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.04%上昇の4.32%で終了した。2月1日に3.82%へ低下してから反騰入りし、2月13日の米CPI発表後の急伸で2月14日には4.332%をつけたが、その後は4.33%近辺が上値抵抗となり上げ渋りが続いている。2月21日は米20年債の入札が低調だったことで上昇したものの高止まりの範囲だった。

30年債利回りは前日比0.03%上昇の4.48%となり、一時4.49%をつけて2月1日の4.07%以降の高値を若干更新したが2月14日以降は4.49%前後に抵抗感がみられる。
2年債利回りは前日比0.05%上昇の4.67%となった。2月1日の4.13%から2月16日に4.72%まで上昇したが、その後は高止まりの様相だ。
一方でNYダウは前日比48.44ドル高と小幅ながら3日ぶりに反発したが、2月12日に史上最高値を38927.08ドルまで伸ばした後は頭打ちの様相だ。ナスダック総合指数は49.91ポイント安で2月16日から3営業日続落したが2月12日に16080.07を付けて2022年10月以降の最高値としてから反落しており、昨年10月以降の上昇一服感が出ているようだ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は2月13日夜の米CPI発表後の急伸で付けた2月14日早朝高値150.88円を当面のピークとして150円を挟んだ持ち合いに入っているが、持ち合い中の安値ラインはやや切り上がり、高値ラインは切り下がり基調にある。2月20日午後高値150.43円を超えれば切り下がり基調から抜け出して上昇再開から一段高を目指しやすくなるところと思われるため、2月20日午後高値を上抜く場合は2月21日未明安値149.68円を目先の底とした上昇期として22日の日中から23日深夜にかけての間への上昇を想定する。ただし、150円割れからは2月21日未明安値試しとし、底割れからは23日深夜から28日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月22日早朝への上昇で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いているため遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンから転落する場合は下落再開を疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2月21日未明に30ポイントまで低下してからの戻りを続けているので、50ポイント以上を維持するうちは70ポイント台への上昇余地ありとみるが、50ポイント割れからは戻り一巡による下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月21日未明安値149.68円を下値支持線、2月20日午後高値150.43円を上値抵抗線とする。
(2)150円を上回るか一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、150.43円超えからは2月14日早朝高値150.88円及び151.00円を試す上昇を想定する。150.80円以上は反落警戒とするが、150.35円を上回っての推移なら23日の日中も高値試しを続けやすいとみる。
(3)150円以下での推移が続き始める場合は下向きとし、149.68円割れからは2月13日夜安値149.26円、2月12日夜安値148.90円、2月12日夜安値148.90円を順次試して行く下落を想定する。149円台序盤ではいったん買われやすいとみるが、149.68円を割り込んだ後も150円以下での推移なら23日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

2/22(木)
17:30 (独) 2月 製造業PMI・速報値 (1月 45.5、予想 46.1)
17:30 (独) 2月 サービス業PMI・速報値 (1月 47.7、予想 48.0)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI・速報値 (1月 46.6、予想 47.0)
18:00 (欧) 2月 サービス業PMI・速報値 (1月 48.4、予想 48.8)
18:30 (英) 2月 製造業PMI・速報値 (1月 47.0、予想 47.5)
18:30 (英) 2月 サービス業PMI・速報値 (1月 54.3、予想 54.1)
19:00 (欧) 1月 HICP(消費者物価指数)・改定値 前年同月比 (速報 2.9%、予想 2.8%)
19:00 (欧) 1月 コアHICP・改定値 前年同月比 (速報 3.3% 、予想 3.3%)
21:30 (欧) 欧州中銀理事会議事要旨
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.2万件、予想 21.8万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 189.5万人、予想 188.5万人)
23:45 (米) 2月 製造業PMI・速報値 (1月 50.7、予想 50.4)
23:45 (米) 2月 サービス業PMI・速報値 (1月 52.5、予想 52.0)

24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数・年率換算 (12月 378万件、予想 397万件)
24:00 (米) 1月 中古住宅販売件数 前月比 (12月 -1.0%、予想 5.0%)
24:00 (米) ジェファーソンFRB副議長、講演
25:00 (米) EIA週間石油在庫統計
27:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
27:00 (米) 財務省30年インフレ連動債入札
28:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演

2/23(金)
休場 日本、ロシア
06:45 (NZ) 10-12月期 小売売上高 前期比 (7‐9月 0.0%、予想 -0.2%)
07:00 (米) クックFRB理事、講演
07:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、パネル討論会
09:01 (英) 2月 GFK消費者信頼感 (1月 -19、予想 -18)
09:35 (米) ウォラーFRB理事、講演
16:00 (独) 10-12月期 GDP(季調済)・改定値 前期比 (速報 -0.3%、予想 -0.3%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP(季調済)・改定値 前年同期比 (速報 -0.2%、予想 -0.2%)
16:00 (独) 10-12月期 GDP(季調前)・改定値 前年同期比 (速報 -0.4%、予想 -0.4%)
18:00 (独) 2月 IFO企業景況感指数 (1月 85.2、予想 85.5)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る