ドル円週間見通し 米利下げ先延ばしは織り込み済、151円手前を抵抗とした持ち合い放れを試す

今週は2月27日の日本全国CPI(消費者物価指数)と2月29日の米1月PCE(個人消費支出)デフレーターの内容に注目が集まる。

ドル円週間見通し 米利下げ先延ばしは織り込み済、151円手前を抵抗とした持ち合い放れを試す

米利下げ先延ばしは織り込み済、151円手前を抵抗とした持ち合い放れを試す

〇先週のドル円、手掛かり難の中149円台後半から150円台での推移
〇米3月、5月の利下げ開始期待はほぼ解消するもFOMCで示された24年3回利下げ見通しは変わらず
〇今週は日本全国CPIと米1月PCE(個人消費支出)デフレーターの内容に注目が集まる。
〇ドル円も日経平均も、概ね8年周期(7年から9年)間隔で天井を付けており、円安も限界期を要警戒
〇150.88超えからは151円を試すと思われるが、151円到達後はいったん大きめの修正安も入りやすいか
〇149.55を割り込んで一段安へ進む場合は、下落期入りと考え、148円、147円、146円を試す展開を想定

【概況】

2月23日は日本市場が休場で欧米の主要経済指標の発表もなく手掛かり難だったが、ドル円は2月21日未明安値149.68円からのジリ高歩調を維持して23日19時台高値で150.76円を付けたものの2月14日早朝に付けた昨年12月28日安値140.24円以降の高値である150.88円には届かなかった。深夜にかけて150.31円まで下げてからは下げ渋りのまま150.48円で先週を終えた。
米国の早期利下げ開始期待が後退する中、ドル円は2月2日夜の米雇用統計が予想以上の堅調さだったことで148円台へ切り返し、2月13日夜の米1月CPI上昇率が予想を上回ったことで14日早朝に150.88円まで高値を伸ばした。しかし米国の3月及び5月の利下げ開始期待はほぼ解消したものの昨年12月FOMCで示された2024年3回利下げ見通しは変わらないとして金利先物市場では6月FOMCからの利下げ期待度が高いままとなっている。

ECBや英中銀等も早期利下げ期待をけん制しており、米国の利下げ開始が先延ばしされていることによるドル高は一巡し、2月22日早朝に公開されたFOMC議事要旨(1月30-31日開催分)における利下げ判断への慎重さに対する市場の反応も鈍かった。
一方で日銀によるマイナス金利解除については植田総裁、内田副総裁らによる地ならし的な発言が続いているものの、マイナス金利解除後に急激な引き締めへ進むものではないとの見方により円高圧力も限定的となっているため、ドル円は149円台へ下げたところは買われつつ、151円手前の上値抵抗感を払拭できずにレンジ相場につかまっているところだ。

今週は2月27日の日本全国CPI(消費者物価指数)と2月29日の米1月PCE(個人消費支出)デフレーターの内容に注目が集まる。日本CPIが予想通りに12月から鈍化するようなら日銀のマイナス金利解除を急がせず円安基調を継続する可能性があり、米PCEデフレーターが予想を上回ってインフレ高止まり感を示すならドル円が一段高へ進むきっかけとなるかもしれないが、逆に予想より鈍化する場合にはドル安優勢となってレンジ相場から転落して円高傾向を示す可能性もあるだろう。

【米10年債利回りは週末に反落、ダウは史上最高値更新】

米10年債利回りは2月22日に一時4.35%をつけて12月27日に付けた3.78%以降の高値としたが、23日は特に材料はなかったものの前日比0.07%低下の4.25%で終了した。週間では2月16日の4.28%から0.03%低下だったが、4.30%台では抵抗感もあり、米国の早期利下げ期待後退による上昇も頭打ちとなってきている印象だ。
30年債利回りは2月23日に前日比0.09%低下の4.37%で終了した。2月22日に一時4.51%をつけて12月27日の3.94%以降の高値としたところから失速し、週間では2月16日終値4.44%から0.07%低下となり、4.50%近辺で上値が重くなった印象だ。

政策金利動向に敏感な2年債利回りは2月23日に前日比0.03%低下の4.69%で終了した。一時4.76%をつけて1月12日に付けた4.12%以降の高値としたところから失速している。上昇基調は継続しているものの6月の利下げ想定を踏まればそろそろ頭打ちとなってもよい水準と思われる。
米財務省は2月26日に2年債630億ドルと5年債640億ドル、2月27日に7年債420億ドルの入札を予定しているが2年債と5年債の入札規模は過去最大という。入札不調なら利回り上昇となりドル円にはプラスだが、現状の利回り水準を確保したいとして旺盛な落札となれば利回り低下反応でドル円は下落しやすくなると注目したい。

一方でNYダウの2月22日は前日比456.87ドル高の大幅上昇して取引時間中及び終値ベースの史上最高値を更新したが、23日も62.42ドル高と小幅ながら続伸して終値としての最高値を2日連続で更新、39282.28ドルまで取引時間中の史上最高値を伸ばした。ナスダック総合指数は22日に前日比460.75ドル高と急伸し、23日は一時16134.22ポイントを付けて2022年10月以降の最高値を更新したものの利益確定売りに圧されて44.80ポイント安の下落に終わった。

【凡そ8年周期の天井形成期にあるドル円と日経平均】

米国株式市場の楽観的な上昇が続いていることと円安によるかさ上げで日経平均は史上最高値を更新しており、株高によるリスクオン優勢の市場心理が為替のクロス円投資に波及して円安を助長しやすい反面、史上最高値更新による株式市場の市場心理の総強気状態は高所恐怖症も内在していると注意したい。
日経平均は2008年10月28日安値6994.90円でバブル崩壊後の最安値をつけ、2012年まで低迷していたところから日銀の異次元金融緩和政策による円安を背景に歴史的大上昇期に入った。ドル円は2011年10月31日安値75.57円を起点として2015年6月5日高値125.84円へ急伸し、日経平均は2015年6月24日高値20952.71円へ急伸した。いずれもいったんそこでピークを付けたが、日経平均は2020年3月のパンデミック発生により急落したところを起点として世界的な金融緩和により上昇を再開し、ドル円が2021年1月6日から大上昇の第二段階に入ったことと米国株高を追いかけて3万円台を回復してからさらに勢い付いた。

ドル円の価値が2011年当時と比べて半減していることを踏まえれば、日経平均がバブル崩壊前高値を超えて史上最高値を更新したことの内実は薄れるものの、リスクオン優勢の投資家心理が株高と円安=クロス円のスパイラル的な上昇を加速させてきたということもできるだろう。
ただし、ドル円も日経平均もともに、概ね8年周期(7年から9年)間隔で天井を付けており、ドル円の天井が2007年6月22日、8年後の2015年6月5日と続き、そこから2022年10月21日高値が7年目、ダブル天井となった2023年11月13日高値が8年目、今年6月で9年目となるタイムスパンを考えると、歴史的な円安もそろそろ限界期に来ている可能性もあるのではないかと警戒したい。

日経平均は2007年2月26日天井から8年目の2015年6月24日に天井をつけ、2016年から上昇を再開して一段高へ進んできたが、ドル円と同じく今年6月で9年目となる。相場は万人総強気の中で天井を付けるものであり、天井はその後の暴落によってようやく確認できるものであるため、現時点がもう天井期なのか、まだ数か月ないしそれ以上の上昇期が残っているのかを語るのは時期尚早だが、重要なことは利食い千人力という格言通り、着実な利益の確定だろうと考える。

【当面のポイント】

【当面のポイント】

(1)2月14日早朝高値150.88円以降は高値更新へ進めず、2月15日夜安値149.55円の後は安値更新を回避して持ち合い相場を形成しているため、当面は持ち合い上下限での逆張り有利と考えるが、特に米1月PCEデフレーターが持ち合い放れのきっかけとなりやすいと注意する。
(2)150.88円超えからは151円を試すと思われるが、151円到達後はいったん大きめの修正安も入りやすいとみる、さらに151円台中盤へ続伸するには米PCEやFRB高官らのタカ派発言や日銀のハト派発言等により円安が勢い付くような情勢変化が必要と思われる。それらが揃えば2022年10月23日高値151.94円と2023年11月13日高値150.90円等のある151円手前のダブル天井ラインへの挑戦を想定するが、ダブル天井を突破してゆくにはさらなる市場心理の強気シフトが進む必要があると考える。

(3)2月15日安値149.55円を割り込んでから続落し、150円前後が戻り抵抗となってさらに一段安へ進む場合は、今年第1四半期のピークを付けての下落期入りと考え、148円、147円、146円等を順次試して行く展開を想定する。その際は下落規模は昨年3月や7月の下落時並みとして直前高値から凡そ8円規模に拡大する可能性もあると注意する。

【当面の予定】

2/26(月)
中国全国人民代表大会([全人代)常務委員会会議 2月27日まで
08:50 (日) 1月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (12月 2.4%、予想 2.4%)
20:00 (英) ピル英中銀理事、講演
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 年率換算 (12月 66.4万件、予想 68.0万件)
24:00 (米) 1月 新築住宅販売件数 前月比 (12月 8.0%、予想 2.4%)

2/27(火)
08:30 (日) 1月 全国CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 2.6%、予想 1.9%)
08:30 (日) 1月 全国CPI・生鮮食料品除く 前年同月比 (12月 2.3%、予想 1.8%)
08:30 (日) 1月 全国CPI・生鮮食料品・エネルギー除く 前年同月比 (12月 3.7%、予想 3.3%)
09:40 (米) シュミッド・カンザスシティ連銀総裁、講演
16:00 (独) 3月 GFK消費者信頼感 (2月 -29.7、予想 -29.0)

22:30 (米) 1月 耐久財受注 前月比 (12月 0.0%、予想 -4.8%)
22:30 (米) 1月 耐久財受注・輸送用機器除く 前月比 (12月 0.6%、予想 0.2%)
23:00 (米) 12月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (11月 0.3%)
23:00 (米) 12月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前年同月比 (11月 6.6%)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 前月比 (11月 -0.2%)
23:00 (米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (11月 5.4%、予想 6.0%))
23:05 バーFRB副議長、講演
24:00 (米) 2月 リッチモンド連銀製造業指数 (1月 -15)
24:00 (米) 2月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (1月 114.8、予想  114.8)
27:00 (米) 財務省7年債入札

2/28(水)
09:30 (豪) 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 3.4%、予想 3.5%)
10:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 5.50%、予想 5.50%)
14:00 (日) 12月 景気一致指数CI・改定値 (速報 116.2)
14:00 (日) 12月 景気先行指数CI・改定値 (速報 110.0)
19:00 (欧) 2月 消費者信頼感・確定値 (速報 -15.5)
19:00 (欧) 2月 経済信頼感 (1月 96.2)
22:30 (米) 1月 卸売在庫 前月比 (12月 0.4%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP・改定値 前期比年率 (速報 3.3%、予想 3.3%)
22:30 (米) 10-12月期 GDP個人消費・改定値 前期比年率 (速報 2.8%、予想 2.7%)
22:30 (米) 10-12月期コアPCE・改定値 前期比年率 (速報 2.0%)
24:30 (米) EIA間石油在庫統計
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、座談会
26:15 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、座談会
26:45 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、講演

2/29(木)
08:50 (日) 1月 小売業販売額 前年同月比 (12月 2.1%、予想 2.2%)
08:50 (日) 1月 鉱工業生産・速報値 前月比 (12月 1.4%、予想 -7.0%)
08:50 (日) 1月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (12月 -1.0%、予想 -1.8%)
09:00 (NZ) 2月 ANZ企業信頼感 (1月 36.6)
09:30 (豪) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -2.7%、予想 1.8%)
09:30 (豪) 10-12月期 民間設備投資 前期比 (7‐9月 0.6%、予想 0.6%)
10:30 (日) 高田日銀審議委員、滋賀県で講演、14:00 会見
14:00 (日) 1月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (12月 -4.0%、予想 -7.9%)
17:55 (独) 2月 失業者数 前月比 (1月 -0.20万人)
17:55 (独) 2月 失業率 (1月 5.8%、予想 5.9%)

22:00 (独) 2月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (1月 0.2%)
22:00 (独) 2月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (1月 2.9%、予想 2.7%)
22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.3%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 PCE(個人消費支出) 前月比 (12月 0.7%、予想 0.2%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 2.6%、予想 2.4%)
22:30 (米) 1月 コアPCEデフレーター 前月比 (12月 0.2%、予想 0.4%)
22:30 (米) 1月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (12月 2.9%、予想 2.8%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 20.1万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (週間 186.2万人)
23:45 (米) 2月 シカゴ購買部協会景況指数 (1月 46.0)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前月比 (12月 8.3%)
24:00 (米) 1月 住宅販売保留指数 前年同月比 (12月 -1.0%)
24:50 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、座談会
25:00 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、イベント参加
27:15 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演

3/1(金)
06:45 (NZ) 1月 住宅建設許可件数 前月比 (12月 3.7%)
08:30 (日) 1月 失業率 (12月 2.4%、予想 2.4%)
10:10 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、討論会
10:30 (中) 2月 国家統計局製造業PMI (1月 49.2、予想 49.5)
10:45 (中) 2月 財新製造業PMI (1月 50.8、予想 50.7)
14:00 (日) 2月 消費者態度指数・一般世帯 (1月 38.0、予想 38.3)
17:55 (独) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 42.3)
18:00 (欧) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 46.1)
18:30 (英) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 47.1)

19:00 (欧) 2月 HICP(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (1月 2.8%)
19:00 (欧) 2月 コアHICP・速報値 前年同月比 (1月 3.3%)
19:00 (欧) 1月 失業率 (12月 6.4%、予想 6.4%)
23:00 (英) ピル英中銀理事、講演
23:45 (米) 2月 製造業PMI・改定値 (速報 51.5)
24:00 (米) 2月 ISM製造業景況指数 (1月 49.1、予想 49.2)
24:00 (米) 1月 建設支出 前月比 (12月 0.9%、予想 0.1%)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 79.6)
24:15 (米) ウォラーFRB理事、講演
26:15 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
27:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論会
29:30 (米) クーグラーFRB理事、講演

注:ポイント要約は編集部

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