ドル円 指標などに一喜一憂するもドル高基調は継続か(週報2月第4週)

先週のドル/円相場はドルが小高い。しかし、ザラ場ベースでは前週記録した高値150.88円にとどかないなど、151円を前に上げ渋りの様相も。

ドル円 指標などに一喜一憂するもドル高基調は継続か(週報2月第4週)

指標などに一喜一憂するもドル高基調は継続か

〇先週のドル円、ドルが小高いが前週記録した高値150.88に届かず、151円前に上げ渋りの様相
〇本邦通貨当局による円買い介入警戒もありドルの上値重く、今週も同様の値動きが予想される
〇最高値を更新した日本株、動静次第では海外勢によるヘッジの円売りがかさむと言う声も
〇長期休場明けの暴落が懸念されていた中国金融市場、地合いは依然として不安定
〇目先安値から次の高値のパターンでは2ヵ月で10円超上昇、ドル高に終わり近付きつつあると要注意
〇ドル高円安方向、2/13高値150.88の攻防に引き続き注目。抜ければ151.92が現実的メドとして意識
〇ドル安方向は2/15安値149.53が最初のサポート。週内149円台へ到達する21日MA維持できるか要注意
〇今週のドル円予想レンジ、149.00-152.00

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが小高い。しかし、ザラ場ベースでは前週記録した高値150.88円にとどかないなど、151円を前に上げ渋りの様相も。

前週末は、「ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が獄死した」ことを受け、暗殺などを取り沙汰する声が高まると同時に、ロシアを非難するコメントが相次いでいた。一方、ミュンヘン安全保障会議の場で、中国外相が積極的な外交を行っていたことも別途話題に。
そうした状況下、ドル/円は150.15円レベルで寄り付いたものの、週初にNY、週末に東京が休場となったことも影響したのか、週間を通して小動き。実際、週間のレンジは149.69-150.77円のわずか1.08円にとどまった。日本当局の円買い介入警戒感などもあり、ドルは上げ渋りの様相を呈している。週末NYは150円半ばにて越週となった。
なお、16日に38800円台を示現し史上最高値に迫るも、そののち上げ渋っていた日経平均株価だが、22日に初の39000円台を示現。つまり、1989年12月29日の38957.44円を上回り、34年ぶりに高値を更新してきたことになる。今週はいよいよ4万円台トライか。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「日米金融政策」と「中国情勢」について。
前者のうちまず米国は、21日に発表されたFOMC議事録要旨で、政策担当者の大半が尚早な利下げに対する懸念を示していたことが明らかにされたうえ、翌日発表された2月の製造業PMI速報も好数字に。さらに、ジェファーソンFRB副議長から「今年後半から金融引き締めを縮小していくのが適切」との発言も聞かれていたようだ。
一方、日本は清水日銀理事から「マイナス金利を解除しても緩和的環境が当面続く」とした発言が聞かれたものの、22日の衆院予算委で植田日銀総裁が「日本経済はデフレではなくインフレの状態にある」と述べたとして一部で思惑を呼ぶ。マイナス金利解除の条件が整いつつあることを示唆した、などとし円買い誘因として期待する声も聞かれていた。

それに対して後者は、先週19日に「春節」の長期休場が明けたが、一部で懸念されていた中国金融市場の暴落などは観測されず。しかし、地合いそのものは依然として不安定で、それもあり通信社などを通じ、「政策」に関する報道が相次ぎ観測されていた。一例を挙げると、人民日報は「共産党が金融機関に党の価値観に従うよう指示した」と報道。またロイターは、「中国の主要国有銀行が20日に国内市場でドル売りを実施しているもようだ」と伝えている。そのほか、「国家隊」と呼ばれる政府資金による中国株の買い支え観測や、「株式市場の取引開始直後と終了直前に株式を売り越すことがないよう指示した」とされる空売り規制などの株価対策も実施しているようだ。とは言え、いずれも抜本的な解決策ではないだけに、効果の持続性には疑問を抱く向きも少なくない。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、週間を通して底堅くドル高基調そのものは維持していたものの、151円を前に上げ渋り。日本の通貨当局による円買い介入警戒などもあり、週間を通してドルの上値は重かった。今週も基本的には同様の値動きが予想され、やはりドルの頭は重い展開か。ただし、当局のスタンス次第で、口先介入における円安懸念は弱そうなど参加者に心理を見透かされたりすれば、一気に昨年高値151.92円に迫るような展開があっても不思議はないだろう。しっかりと情勢を見極めたい。
市場は引き続き日米金融政策を注視するなか、短期的には発表される日米の経済指標や要人発言に一喜一憂する展開か。ちなみに、経済指標については米国だけでなく日本のもの、具体的には27日に発表される1月消費者物価指数を警戒している向きもあるようだ。弱い数字が発表され、金融修正思惑が後退すれば円売り材料となりかねないかもしれない。一方、それとは別に日本株の動きも注視されている。動静次第では海外勢によるヘッジの円売りがかさむと言った声も聞かれていた。

テクニカルに見た場合、ドル/円は151円を前に上げ渋っているものの、基本的なリスクはドル高方向にバイアスが掛かる。しかし、若干気掛かりなのは、昨年2度観測された目先安値から次の高値に向けたパターンからすると、ドル高もじりじりと終わりが近付きつつあるとみられること。たとえば、前回は7月15日安値137.25円から11月13日の151.92円まで4ヵ月、14円強の上昇だったが、今回は期間2ヵ月で10円を超える上昇だ。ドル買いにも、そろそろ慎重さを求めたい。
そうしたなか今週は、2月の消費者信頼感指数や10-12月期GDP改定値といった注目度の高い米経済指標が発表されるうえ、日本や中国などに経済指標発表も注視されているようだ。また、国会に当たる中国全人代の常務委員会も開催予定で、こちらを警戒する声も聞かれていた。

そんな今週のドル/円予想レンジは、149.00-152.00円。ドル高・円安については、13日高値150.88円の攻防に引き続き注目。抜ければ151.92円が現実的なメドとして意識されそうだ。
対してドル安・円高方向は、15日安値149.53円が最初のサポート。また、週内に149円台へと到達する移動平均の21日線を維持できるのかにも注意を要したい。

指標などに一喜一憂するもドル高基調は継続か

ドル円日足


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