トルコリラ円見通し 対ドルで史上最安値更新、ドル円の下落にも圧されて上値重い(24/2/16)

トルコリラ円の2月15日は概ね4.96円から4.85円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.91円からは0.04円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 対ドルで史上最安値更新、ドル円の下落にも圧されて上値重い(24/2/16)

トルコリラ円見通し 対ドルで史上最安値更新、ドル円の下落にも圧されて上値重い

〇トルコリラ円、2/16未明の一時的なドル安リラ高で4.96を付けるも、それを除けば4.90以下での推移
〇対ドル、2/15は概ね30.96から30.41の取引レンジ、30.96を付け史上最安値更新、1ドル31リラに迫る
〇昨日発表のトルコの1月財政収支は1507.2億リラの赤字、構造的な赤字体質変わらず
〇4.90以下での推移中は一段安余地ありとし、4.85割れからは4.83、4.81を順次試す下落を想定する
〇4.90を超える場合は上昇期入りとみて、4.92前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の2月15日は概ね4.96円から4.85円の取引レンジ、16日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.91円からは0.04円の円高リラ安だった。2月16日未明の一時的なドル安リラ高を反映して4.96円を付ける場面も見られたが、それを除けば4.90円以下での推移しており2月14日早朝高値4.91円以降のジリ安基調が続き、2月16日午前は4.86円から4.87円近辺に付けている。
ドル/トルコリラにおけるリラ安は継続しており、2月15日は史上最安値を1ドル30.96リラとして31リラ台も迫っており、トルコリラ円にとってはリラ安による圧迫感が増している。

ドル円は2月13日夜の米CPIがインフレの根強さを示したことで発表前の149.26円から14日早朝高値150.88円へ急伸したものの、ドル買い円売り一巡と神田財務官による円安けん制発言で失速し、米長期債利回りが13日夜からの急伸一巡で低下したために15日夕刻に150円を割り込み、15日夜の米1月小売売上高が予想を大きく下回る悪化となったことで発表直後に149.55円まで下落し、その後は150円を挟んだ揉み合いとなっている。
トルコリラ円はリラ安に圧迫されつつ、ドル円の失速も重なって一時的な高値を除いて軟調推移となり4.90円台を維持しきれずにいる。2月2日以降の底上げ基調はまだ維持されているものの、4.85円割れからは徐々に安値を切り下げてゆくことも懸念される。
今夜も米経済指標の発表が相次ぐが、週明けの2月19日が米国市場休場となるため、内容次第ではドル円も上下に大きく動くところと注意したい。

【ドル/トルコリラは取引時間中の史上最安値を更新、1ドル31リラに迫る】

ドル/トルコリラの2月15日は概ね30.96リラから30.41リラの取引レンジ、16日早朝の終値は30.72リラで前日終値の30.73リラからは0.01リラのドル安リラ高だった。
1月25日のトルコ中銀による2.5%追加利上げとインフレ対策としての利上げ終了宣言を不服としてリラ売りが進行し、2月2日にトルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任したことによる金融政策正常化の継続性への懸念が生じたこと、2月5日に発表された1月のトルコCPI上昇率は前月比6.7%で12月の2.93%から大幅に加速して前年比も64.86%に達したこと、エルカン氏の後任としてトルコ中銀総裁に就任したカラハン新総裁が2月8日の会見で「現時点では追加の利上げが必要だとは考えていない」とし、今後のインフレ率が低下してゆくとの楽観見通しを示したこともリラ安の歯止めにはならないと市場は受け止めてきた。

2月15日は一時30.96リラを付けて史上最安値を更新し、1ドル31リラに迫る勢いを見せている。終値ベースでは早朝の一時的下落で若干のドル安リラ高となったものの2月16日午前は30.82リラから30.68リラのレンジで推移して史上最安値更新を伺う位置に付けている。

【トルコの財政収支、1月は1507.2億リラの赤字】

2月15日にトルコ財務省が発表したトルコの1月財政収支は1507億2000万リラの赤字で、利払いを除いた基礎的赤字は296億リラとなった。2023年通年では1兆3750億リラ(凡そ457億ドル)の赤字、基礎的財政赤字は7004億リラの赤字だった。
月次の財政収支はプラス月とマイナス月の変動が大きいが、昨年12月は842億5300リラの赤字で過去最大となった。12月を除けば概ね200億リラから100億リラ台の赤字レベルであり、5月、7月、8月、11月の4か月は若干の黒字だった。シムシェキ財務相就任後に財政再建のための増税が進められたが構造的な赤字体質は変わらない。

2月15日夜に発表されたトルコ中銀による週次の外貨準備高は2月9日時点のグロスで863.7億ドルとなり2月2日時点の865.4億ドルから若干減少し、ネットでは288.0億ドルとなり2月2日時点の280.4億ドルから若干増加した。ネットの外貨準備高はエルカン前総裁による為替市場介入を止めて外貨準備高を増加させる方針により一時マイナス57億ドルまで悪化したところから大きく改善してきたが、カラハン新総裁がその路線を継承できるか市場も注目している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして14日朝から16日朝にかけての間への上昇を想定していたが、2月14日早朝高値の後はジリ安推移となり2月15日午前には4.88円を割り込んだため、15日午前時点では14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定した。
2月16日未明の一時的高値を除けば下落基調が続いているのでまだ一段安余地ありとするが、連続的な上昇で4.90円を超える場合は強気サイクル入りとして17日早朝から21日早朝にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では2月15日午前への下落で遅行スパンが悪化して15日午後には先行スパンからも転落したが、その後も一時的高値を除いて両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。ただし、連続的な上昇で4.90円を超える場合は反騰期に入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2月14日早朝に80ポイントまで急伸してから低下に転じて15日午前には30ポイントを割り込んだが、その後は下げ渋っている。55ポイント以下での推移中は一段安余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰警戒とし、55ポイント超えからは上昇期入りとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.85円を下値支持線、4.90円を上値抵抗線とする。
(2)一時的高値を除き、4.90円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.85円割れからは4.83円、4.81円を順次試して行く下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.87円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.90円手前は戻り売り有利とするが、連続的な上昇で4.90円を超える場合は上昇期入りとみて4.92円前後への上昇を想定する。4.92円以上は反落注意とするが4.90円を超えた後も4.89円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月20日
 23:30 1月 中央政府債務残高 (12月 6兆7230億リラ)
2月21日
 16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 80.4)
2月22日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 グロス (2月9日時点 863.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 ネット (2月9日時点 288.0億ドル)
2月23日
 16:00 2月 製造業景況感 (1月 100.9)
 16:00 2月 設備稼働率 (1月 76.2%)
 17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 3.51%)


注:ポイント要約は編集部

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