トルコリラ円見通し ドル円の上昇一服で円安による押し上げ後退し4.90円台維持できず(24/2/15)

トルコリラ円の2月14日は概ね4.91円から4.89円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.89円で前日終値の4.91円から0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の上昇一服で円安による押し上げ後退し4.90円台維持できず(24/2/15)

ドル円の上昇一服で円安による押し上げ後退し4.90円台維持できず

〇トルコ円、CPIを受けたドル円上昇が一巡後にジリ安推移に入ったため、本日早朝4.89まで下落
〇目先上値の重いドル円合わせ、トルコ円も戻り一巡感で圧迫されやすい状況
〇対ドル、2/14は概ね30.86から30.54の取引レンジ、取引時間中と終値ベースで史上最安値を更新
〇インフレ懸念やエルカン総裁辞任等を受け、1月後半からリラ安に歯止めのかからない状況
〇カラハン新総裁の発言や四半期インフレ見通しを市場は楽観過ぎと受け止め、リラ売り基調継続か
〇4.90以下での推移中は一段安余地ありとし、4.87割れからは4.85前後への下落を想定
〇4.90前後は戻り売り有利とするが、4.91を超える場合は4.93、4.94を順次試して行く上昇を想定

【概況】

トルコリラ円の2月14日は概ね4.91円から4.89円の取引レンジ、15日早朝の終値は4.89円で前日終値の4.91円から0.02円の円高リラ安だった。
トルコリラ円はドル高リラ安の継続に圧迫されつつも目先はドル円の騰落を追いかけているが、2月13日夜の米1月CPIがインフレの根強さを示したことで米国の5月利下げ期待が大幅に後退したとして米長期債利回りが急伸したためにドル円が米CPI発表前の149.26円から14日早朝高値150.88円へ急伸したため、トルコリラ円はドル円の急伸を追いかけて発表前の4.86円近辺から14日早朝に4.91円へ急伸して2月3日早朝高値4.89円を超えた。しかし1月27日朝の一時的急伸でつけた4.94円には届かず、神田財務官の円安けん制発言もあってドル円が上昇一巡でジリ安推移に入ったために15日早朝には4.89円まで下げた。
2月15日午前序盤には4.88円を一時割り込む等上値の重さがみられている。

【ドル円は151円手前で足踏み、円安によるトルコリラ円への押し上げが鈍る】

ドル円は151円に迫ったものの、151円乗せから2022年10月21日高値151.94円と2023年11月13日高値151.90円によるダブルトップラインへ挑戦する勢いに欠けている。日銀のマイナス金利解除へ向けた動きも気になり、シカゴ連銀総裁が利下げを躊躇することに対するリスクへの警鐘を示したこともあってドル高一服感も見られるため、ドル円の目先は上値が重くなり、それに合わせてトルコリラ円も戻り一巡感で圧迫されやすいところと思われる。
ドル円は2022年10月21日に151.94円を付けたところで政府・日銀による大規模市場介入が実施されて下落に転じ、その後の米CPI上昇率大幅鈍化による「逆CPIショック」がトリガーとなって2023年1月16日安値127.22円まで大幅下落した経緯がある。2023年11月13日高値も2022年10月21日高値を超えられずに下落に転じており、両高値によるダブルトップを打ち破るにはかなりの勢いと根拠が必要と思われる。

【ドル/トルコリラは取引時間中と終値ベースで史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの2月14日は概ね30.86リラから30.54リラの取引レンジ、15日早朝の終値は30.73リラで前日終値の30.71リラから0.02リラのドル高リラ安だった。
2月6日に30.83リラを付けた後は取引時間中の最安値更新に至らずに推移しつつ終値ベースの史上最安値更新を続けてきたが、14日は取引時間中及び終値ベースの史上最安値を揃って更新した。
リラ安基調は継続しており、年後半には1ドル34リラや36リラ、最悪の場合は40リラとの予想も出ているが、1月後半からはリラ安に歯止めのかかる状況がみられない。

(1)1月25日にトルコ中銀が2.5%追加利上げを決定して政策金利を45.0%へ引き上げたもののインフレ対策としての利上げ終了を宣言したことを市場は不服として追加利上げ催促でのリラ売りを継続した。
(2)2月2日に8会合連続で利上げを推進して金融政策正常化に貢献してきたトルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任したことで正常化している金融政策の継続性への懸念が生じた。
(3)2月5日に発表された1月のトルコCPI上昇率は前月比6.7%で12月の2.93%から大幅に加速して前年比は64.86%に達したことでインフレ高進が収まらないことへの懸念が強まった。
(4)2月3日にエルカン氏の後任としてトルコ中銀総裁に就任したカラハン新総裁は2月8日の会見で「現時点では追加の利上げが必要だとは考えていない」と述べ、中銀は四半期インフレ見通しにおいては2024年前半に70%台でピークを付けて2024年末に36%へ、2025年末に14%へ、2026年末には9%まで低下するとの楽観的見通しを示したが、これも市場にとっては楽観過ぎでありリラ売り基調にブレーキを掛けるものではないと受け止められている。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月9日朝高値をサイクルトップとして高値更新からは新たな強気サイクル入りとし、2月13日夜からの急伸で9日朝高値を上抜いたために14日午前時点では2月12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとしたが、サイクルトップ形成期を14日朝から16日朝にかけての間としてすでに反落注意期とした。
2月14日早朝高値の後はジリ安推移となり2月15日午前には4.88円を割り込んでいるため14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。強気転換は14日早朝高値超えからとする。

60分足の一目均衡表では2月15日午前への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しつつあるため遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。2月14日早朝高値を超えないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、14日早朝高値を超える場合は新たな上昇期入りとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月14日早朝に80ポイントまで急伸してから低下に転じて15日午前には50ポイントを割り込んでいるので60ポイント以下での推移中は下向きとし30ポイント前後への低下余地ありとみる。60ポイント前後は戻り売りにつかまりやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.87円を下値支持線、4.91円を上値抵抗線とする。
(2)4.90円以下での推移中は一段安余地ありとし、4.87円割れからは4.85円前後への下落を想定する。4.85円以下は反騰注意とするが、下げ足が速まる場合は4.84円や4.83円w尾試す可能性もあると注意する。
(3)4.90円前後は戻り売り有利とするが、4.91円を超える場合は4.93円、4.94円を順次試して行く上昇を想定し、16日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月15日
 17:00 1月 財政収支 (12月 -8425.3億リラ)
 20:30 週次 外貨準備高 2月9日時点 グロス (2月2日時点 865.4億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月9日時点 ネット (2月2日時点 280.4億ドル)
2月20日
 23:30 1月 中央政府債務残高 (12月 6兆7230億リラ)
2月21日
 16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 80.4)


注:ポイント要約は編集部

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