米CPI高止まりによる円安で4.90円台を回復
〇トルコリラ円、ドル円の急伸を追いかけCPI発表前の4.86近辺から2/14早朝4.91へ急伸
〇ドル円の急上昇一服後にもう一段高へ進むか、仕切り直しの下落期に入るか、見極め必要
〇対ドル、終値ベースで史上最安値更新。リラ安に加えドルストレートでのドル高による圧迫感も強まる
〇トルコの12月経常収支は20.91億ドルの赤字。赤字幅は11月から縮小するも2か月連続の赤字
〇4.88上回るうちは一段高余地あり、4.92超えからは4.94前後への上昇を想定
〇4.87割れからは下落期入りとして4.85から4.84に欠けての水準を試す下落を想定
【概況】
トルコリラ円の2月13日は概ね4.91円から4.84円の取引レンジ、14日早朝の終値は4.91円で前日終値の4.85円から0.06円の円安リラ高だった。
2月13日夜の米1月CPI上昇率が予想を上回ったことで米国の5月利下げ開始期待度が大幅に低下して米長期債利回りが急伸し、為替市場はドル全面高となりドル円は発表前の149.26円から14日早朝高値150.88円へ急伸した。
トルコリラ円はドル円の急伸を追いかけて発表前の4.86円近辺から14日早朝には4.91円へ急伸して2月3日早朝高値4.89円を超える一段高となり、1月27日朝の一時的急伸でつけた4.94円以来の高値水準に達した。
【ドル円は151円台後半へ再挑戦するか】
2月14日朝に神田財務官は「最近の動きはかなり急速」、「急速な変動は経済にとって良くない」、「ファンダメンタルズに沿っている部分と明らかに投機的な動きと両方ある」とし、「高い緊張感を持って為替市場を注視するとともに、必要があれば適切な対応をしていく」と投機的な円売りをけん制して市場介入をちらつかせた。ドル円は151円手前まで上昇した後は買い一巡と介入警戒でやや下げているが、150円台を維持してしっかりしつつ、昨年11月13日高値151.90円や2022年10月21日高値151.94円等を再び目指す可能性も出てきたと思われる。
トルコリラ円としてはドル円の急上昇一服後にもう一段高へ進むのか、介入警戒感やマイナス金利解除への動向を意識していったん仕切り直しの下落期に入るのか見極めが必要だ。
クロス円全般は概ね円安優勢でありユーロ円やポンド円の上昇が目立ったが、豪ドル円やNZドル円の上昇反応は鈍く、ランド円は下落するなど必ずしも円の全面安ではないため、トルコリラ円としてはドル/トルコリラ動向にも注意がいる。
【ドル/トルコリラは終値ベースで史上最安値を連日更新中】
ドル/トルコリラの2月13日は概ね30.73リラから30.52リラの取引レンジ、14日早朝の終値は30.71リラで前日終値の30.64リラからは0.07リラのドル高リラ安だった。
週間ベースでは12月中盤から先週まで9週連続のドル高リラ安となり、2月6日に30.83リラを付けて3週連続で取引時間中の史上最安値を更新した。週明けの12日は終値で30.64リラを付けて終値ベースで史上最安値を更新したが、13日も取引時間中の史上最安値更新には至らなったものの2営業日連続で終値の最安値を更新した。
2月13日夜の米CPI発表後にドル高が進んだことに対するトルコリラの反応は鈍かったものの、ドル指数は昨年12月28日安値を起点とした上昇を継続して2月13日も高値を更新しており、リラ安に加えてドルストレートでのドル高による圧迫感も強まっている印象だ。
【トルコ経常赤字続く】
2月13日に発表されたトルコの12月経常収支は20.91億ドルの赤字となり赤字幅は11月の27.74億ドルから縮小したものの2か月連続の赤字となった。2022年12月の59.1億ドルだった赤字幅と比較すれば半減しているが、2023年は6月と9月、10月に黒字を計上したがそれ以外は赤字であり、2023年通年では451億ドルの赤字となり2022年通年の490.9億ドルから減少したものの高水準の構造的赤字が続いている。
12月のトルコ小売売上高は前月比1.7%増となり11月の0.4%増を上回ったが、前年同月比は11.4%増で11月の12.6%増を下回った。前年同月比は昨年7月をピークとして5か月連続で鈍化している。
1月の自動車生産は前年同月比3.0%減となり12月の16.2%減を上回ったものの2か月連続のマイナスだった。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月8日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとしていたが、2月9日朝高値の後はジリ安の推移が続いたために13日午前時点では9日朝高値を上抜く場合は新たな強気サイクル入りとするのを妥当とみて9日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとした。
2月13日夜からの急伸で9日朝高値を上抜いたため、2月12日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。サイクルトップ形成期は14日朝から16日朝にかけての間と想定されるのですでに反落注意期とし、4.88円を上回るうちは一段高余地ありとするが、4.87円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では遅行スパンの好転を維持しつつ先行スパンからの転落を回避して2月14日早朝へ急伸したため遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、急騰後の反動安にも注意がいるところとし、遅行スパン悪化からはいったん下げに入るとみて安値試し優先とする。ただし、先行スパンからの転落を回避する場合はその後に遅行スパンが好転するところから上昇再開とする。
60分足の相対力指数は2月14日早朝に80ポイントまで急伸してから60ポイント台へ低下している。55ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、55ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.88円を下値支持線、4.92円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.92円超えからは4.94円前後への上昇を想定する。4.94円以上は反落警戒とするが、4.88円を上回っての推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.87円割れからは下落期入りとして4.85円から4.84円に欠けての水準を試す下落を想定する。4.85円以下は反騰注意とするが、4.87円を下回っての推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2月15日
17:00 1月 財政収支 (12月 -8425.3億リラ)
20:30 週次 外貨準備高 2月9日時点 グロス (2月2日時点 865.4億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 2月9日時点 ネット (2月2日時点 280.4億ドル)
2月20日
23:30 1月 中央政府債務残高 (12月 6兆7230億リラ)
2月21日
16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 80.4)
注:ポイント要約は編集部
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