米CPI発表後に151円へ迫る急伸、すかさず神田財務官が円安けん制
〇ドル円、米CPI発表後のドル全面高により150円を突破、2/14早朝150.88まで急伸
〇神田財務官、市場介入ちらつかせ円安をけん制。150円突破に警戒感示す
〇米CPI全般的に高止まりの様相。コア指数が予想を上回る
〇米金利先物市場の利下げ開始期待度、5月利下げは発表前の6割台から3割台へ急低下、6月以降が優勢に
〇CPI発表後、米長期債利回り急上昇、12月以来の高水準に。NYダウ・ナスダックはともに急落
〇今夜の米PPI次第では揺れ返しの下落となる可能性もあると注意
〇150円以上での推移中は一段高余地ありとし、150.88超えからは151円台前半への上昇を想定
〇150円前後は買われやすいとみるが、150円割れから続落の場合は149.50前後への下落を想定
【概況】
ドル円は2月13日夕刻に149.69円を付けて2月9日高値149.57円を上抜き昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新し、米CPI(消費者物価指数)発表前に149.26円までいったん下げていたが、米CPI発表後のドル全面高により150円を突破して14日早朝には150.88円まで急伸した。
2月14日午前序盤には神田財務官による円安けん制発言もあり、急騰一巡により150.0円台中盤へ下げているものの、昨年11月13日高値151.90円や2022年10月21日高値151.94円等のある151円台後半を再び試す可能性も浮上した印象だ。
神田財務官は2月14日朝、ドル円の急上昇について「年初来約10円も円安になっている」、「こういった急速な変動は経済にとってよくない」とし、「ファンダメンタルズに沿った部分と明らかに投機的な動きと両方ある」、「高い緊張感を持って為替市場を注視する、必要があれば適切な対応を取る」と市場介入をちらつかせて円安をけん制した。介入水準については「なにか特定の数字を考えている訳ではない」とはぐらかしたが、150円を突破したことに対する警戒感を示した。
【米CPI高止まり感】
2月13日夜に米労働省が発表した1月CPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前年同月比が3.1%となり12月の3.4%から低下して2か月振りの伸び率縮小となったが市場予想の2.9%を上回った。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は3.9%となり12月と変わらずで市場予想の3.7%を上回った。
全体の前月比は0.3%で12月の0.2%(当初の0.3%から下方修正)および市場予想の0.2%を上回り、コア指数は0.4%となり12月の0.3%及び市場予想の0.3%を上回った。
前年同月比の内訳ではガソリンが6.4%低下、中古車・トラックが3.5%低下したが、エネルギーを除くサービス価格が5.4%上昇した。前月比では燃料油が4.5%低下、ガソリンが3.3%低下、中古車等が3.4%低下したが、帰属家賃が0.6%上昇、航空運賃が1.4%上昇した。
全般的に高止まりの様相であり、金利先物市場における利下げ開始への期待度では3月利下げがほぼなくなり、5月利下げについては発表前の6割台から3割台へ急低下し、利下げ開始は6月以降になるのではないかとの見方が優勢となったようだ。
【米10年債利回りは急上昇、NYダウは急落】
米1月CPI発表後に米長期債利回りは総じて急上昇した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.14%上昇の4.32%となり昨年12月27日につけた3.78%以降の高値を更新、昨年12月1日以来の水準に上昇した。
30年債利回りは前日比0.08%上昇の4.46%となり12月27日につけた3.94%以降の高値を更新し、政策金利動向により敏感な2年債利回りは前日比0.18%上昇の4.66%となり1月12日に付けた4.12%以降の高値を更新して昨年12月13日以来の高水準に達した。
一方、早期利下げ期待が後退したことを悲観してNYダウは前日比524.63ドル安と大幅下落し、一時下げ幅は700ドル安を超えた。ナスダック総合指数も前日比286.95ポント安と大幅下落した。いずれも前日までは5月利下げ開始期待と先行きの金融緩和期における株高期待で上昇してきたが、楽観し過ぎへの反動で急落商状に陥った。米銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)株が5%超下落しており、高金利状態が長引くことによる商業用不動産セクター及び地銀への懸念が強まっている。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は2月7日深夜安値147.62円を起点とした上昇で2月9日高値149.57円へ上昇したところで上昇一服に入ったが、2月7日深夜から3日目となる12日夜安値148.90円から戻したために2月13日午前時点ではすでに目先の底を付けて上昇期に入っている可能性があるとし、2月9日高値超えからはは新たな上昇期入りとして14日午後から16日夕にかけての間への上昇を想定するとした。
2月14日早朝へ急伸してからやや下げているものの、150円台を維持するうちは週末にかけての上昇余地ありとみる。ただし、神田財務官の円安けん制発言もあったことや、今夜の米PPI次第では揺れ返しの下落となる可能性もあると注意し、150円割れからはいったん下げに入るとみて15日夜から19日深夜にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では、遅行スパンが好転を維持し先行スパンを上回った状況から急伸しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。急騰後の反動安にも注意がいるところのため26本基準線割れからは下向きとするが、遅行スパンの好転を維持しつつ基準線を上抜き返すところからは上昇再開とみる。遅行スパン悪化からは先行スパンの上限試しとするが、先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開と考える。
60分足の相対力指数は2月14日早朝への急伸で80ポイントを超えてから70ポイント前後まで低下している。60ポイント以上を維持するうちは一段高余地ありとするが、相場が高値を更新する際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は反落警戒とし、60ポイント割れからは40ポイント台後半への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、150.00円を下値支持線、2月14日早朝高値150.88円を上値抵抗線とする。
(2)150円以上での推移中は一段高余地ありとし、150.88円超えからは151円台前半への上昇を想定する。151.50円前後は反落警戒とするが、150円以上を維持しての推移なら15日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)150円前後は買われやすいとみるが、150円割れから続落の場合は149.50円前後への下落を想定する。149.50円以下は反騰注意とするが、150円を割り込んでの推移なら15日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
2/14(水)
休場 中国、台湾、ベトナム
16:00 (英) 1月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (12月 0.4%、予想 -0.3%)
16:00 (英) 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 4.0%、予想 4.2%)
16:00 (英) 1月 コアCPI 前年同月比 (12月 5.1%、予想 5.2%))
16:00 (英) 1月 RPI(小売物価指数) 前年同月比 (12月 5.2%、予想 5.1%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP・改定値 前期比 (速報 0.0%、予想 0.0%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP・改定値 前年同期比 (速報 0.1%、予想 0.1%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -0.3%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -6.8%、予想 -4.1%)
23:30 (米) グールズビー・シカゴ連銀総裁、質疑応答
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
2/15(木)
休場 中国
06:00 (米) バーFRB副議長、講演
08:50 (日) 10-12月期 GDP・速報値 年率換算 (7-9月 -2.9%、予想 1.2%)
08:50 (日) 10-12月期 GDP・速報値 前期比 (7−9月 -0.7%、予想 0.3%)
09:30 (豪) 1月 新規雇用者数 (12月 -6.51万人、予想 3.00万人)
09:30 (豪) 1月 失業率 (12月 3.9%、予想 4.0%)
13:30 (日) 12月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 1.8%)
13:30 (日) 12月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 -0.7%)
13:30 (日) 12月 設備稼働率 前月比 (11月 0.3%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・速報値 前期比 (7−9月 -0.1%。予想 -0.1%)
16:00 (英) 10-12月期 GDP・速報値 前年同期比 (7−9月 0.3%、予想 0.1%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 0.3%、予想 -0.1%)
16:00 (英) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -0.1%、-0.4%)
16:00 (英) 12月 貿易収支・物品 (11月 -141.89億ポンド、予想 -147.50億ポンド)
16:00 (英) 12月 貿易収支 (11月 -14.08億ポンド、予想 -18.50億ポンド)
19:00 (欧) 12月 貿易収支・季調済 (11月 148億ユーロ)
19:00 (欧) 12月 貿易収支・季調前 (11月 203億ユーロ)
22:30 (米) 2月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (1月 -43.7、予想 -11.8)
22:30 (米) 1月 小売売上高 前月比 (12月 0.6%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 0.4%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 輸入物価指数 前月比 (12月 0.0%、予想 -0.1%)
22:30 (米) 1月 輸出物価指数 前月比 (12月 -0.9%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.8万件、予想 21.6万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 187.1万人)
23:15 (米) 1月 鉱工業生産 前月比 (12月 0.1%、予想 0.3%)
23:15 (米) 1月 設備稼働率 (12月 78.6%、予想 78.9%)
24:00 (米) 12月 企業在庫 前月比 (11月 -0.1%、予想 0.4%)
24:00 (米) 2月 NAHB住宅市場指数 (1月 44、予想 46)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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