ドル円150円台前半、当局関係者のけん制発言に上値重い
14日午前の東京市場でドル円は高値圏をじり安推移。昨晩米1月消費者物価指数(CPI)の予想比上振れに、海外時間に急速に円安が進んだ流れを受け、朝方150.78の高値圏で取引の始まったドル円は、早朝から財務省の神田財務官が「為替の動きはかなり急速であり、必要であれば適切に対応する。」「高い緊張感をもって為替相場を注視している。」等のけん制発言を行ったこと、鈴木財務相も「急激な変動は望ましくない」等同様に牽制したことで上値の重い展開となり、序盤の150.83を高値にじり安推移。一時150.51の安値をつけ、東京時間正午現在は150.63で取引されています。
日経平均株価は、米主要株価指数の大幅安を受けて売りが先行しましたが、円安の進行を好感する部分もあってか、昨日1,000円超上げた割には、下げ幅は限られました。情報技術系やエネルギーなどプラス圏を維持する分野もあり、317円安で午前の取引を終了しています。
昨晩発表された1月の米CPIはヘッドラインが前年比+3.1%と前回+3.4%からは低下したものの事前予想+2.9%を上回り、除く食品・エネルギーベースでは+3.9%とこちらも事前予想+3.7%を上回り、前月と同様の数値となりました。この数字は予想以上にインフレが粘着質であるとの印象を市場に与え、3月、5月の利下げの可能性が著しく低下したと受け止められ、米長期金利が急騰。発表前に4.12%台だった米10年債利回りは本日午前中までに一時4.33%に急上昇しています。ドル円も149円台前半から一気に150円台半ばに上げて、150.89の高値をつけた後150.80の高値圏で米国時間の取引を終えています。
テクニカルにはドル円は、昨晩の急上昇で当面の節目と見られていた150円を突破してドル買い地合いが強まり、昨年11月の高値151.91が視野に入りつつあります。本日午前中は当局の牽制発言にやや上値が重くなったものの、150.50を割り込まず、底堅い動きです。
今回のCPIの結果を受け、一部では米国の利下げ開始時期を7月以降とみる見方も出てきています。ただ、今回のCPIが思ったほど下がらなかった要因としては、住居関連費用の高止まりの影響が大きく、FRBが最も重視するPCEコアデフレーターでは、データソースや計算手法の違い等から、住居関連費用の影響度がより弱まることから、月末の1月PCEコアの数値をきちんと確認したいところです。尚、今回のCPIの「除く食品、エネルギー、住居ベース」は前年比+2.2%(12月と変わらず)となっています。
市場の反応は反応として受け入れざるをえませんが、元々パウエル議長が利下げを急がないとしている中で、金利先物市場でなぜか維持されていた3月利下げの可能性が消滅したに過ぎず、上記の住居費のCPIへの影響も考えれば、市場の反応はやや過剰とも取れます。
しばらくは今週の小売売上高や生産者物価指数等の米指標も踏まえた上での、FRB関係者の発言を注意深く見守る必要がありそうです。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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