ドル円見通し 米小売売上高の悪化でドル安、米CPI後の上昇幅を大半解消
〇ドル円、2/15夜の米小売売上高の悪化で発表直後に149.55まで下落
〇早々に買い戻され2/16未明に150.24を付けるも、2/16朝にかけて再び軟調な推移
〇昨日発表の米小売売上高は予想以上に悪化、発表後は他の指標が強かったもののドル安反応招く
〇米長期債利回りは概ね低下、米株価はNYダウ・ナスダックともに連騰
〇150.24以下での推移中は下向きとし、149.55割れからは149円前後への下落を想定する
〇150.24超えを強気転換注意とし、150.50超えからは上昇再開とみて150.88試しを想定する
【概況】
ドル円は2月13日夜の米CPI発表後に直前安値149.26円から14日早朝高値150.88円へ急伸して昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新したが、米長期債利回りの急上昇とドル買いが一巡したことと14日朝の神田財務官による円安けん制から下落に転じて15日夕刻には150円を割り込んだ。
2月15日夜の米経済指標は強弱まちまちだったが、米1月小売売上高が予想以上に悪化したことで発表直後に149.55円まで下落し、他の指標が強かったことで早々に買い戻されて16日未明には150.24円を付けたものの150円台を維持しきれずに16日朝にかけて再び軟調な推移となっている。
米CPI後に急落したユーロドル、豪ドル等は下落幅を解消する反騰を見せており、米国の早期利下げ期待が大きく後退したものの6月FOMC以降の利下げ期待度は高いままであり、CPIショックも短時間で消化された印象だ。今夜は米1月PPI、ミシガン大の消費者信頼感指数や期待インフレ率等に注目が集まる。
【米小売売上高は予想以上の悪化】
1月の米小売売上高は前月比0.8%減となり12月の0.4%増(0.6%から下方修正)から悪化して市場予想の0.1%減を大きく下回り、昨年3月以来10か月振りの低下幅となった。自動車・同部品を除くと0.6%減で市場予想の0.2%増に反して大幅に悪化、ガソリンを除くと0.8%減、自動車・同部品・ガソリンを除くと0.5%減だった。寒波や年末商戦の反動という見方もあるが、消費の落ち込みは利下げを躊躇することによる景気悪化への懸念となるため、発表後は他の指標が強かったもののドル安反応を招いた。
米労働省によるが新規失業保険申請申請件数は2月10日までの週間で前週比8000件減の21万2000件となり2週連続で改善した。4週間平均では21万8500件となり前週から5750件増だった。失業保険受給者総数は2月3日までの週間で189万5000人となり前週から3万人増加した。
NY連銀による2月の製造業景況指数はマイナス2.4となり1月のマイナス43.7から改善して3か月振りの上昇となり市場予想のマイナス15.0を上回った。支払価格は1月の23.2から33.0へ、受取価格は9.5から17.0へ上昇し、雇用はマイナス6.9からマイナス0.2へ改善、6か月先見通しは18.8から21.5へ改善した。
フィラデルフィア連銀の2月製造業景況指数は5.2となり1月のマイナス10.6から改善して2か月連続で上昇し市場予想のマイナス8.0も上回った。支払価格は11.3から16.6へ上昇、受取価格は6.3から6.2へ若干低下、雇用はマイナス1.8からマイナス10.3へ悪化した。
米FRBによる1月の鉱工業生産指数は前月比0.1%低下して市場予想の0.3%上昇を下回り12月は当初の0.1%上昇から0.0%へ下方修正された。製造業は0.5%低下となり12月の0.1%上昇から悪化して3か月振りのマイナスとなった。設備稼働率は78.5%で12月の78.7から低下し、製造業は76.6%で12月から0.5%低下した。
【米10年債利回りは続落、米国株は高い】
2月15日の米長期債利回りは米CPI発表後の急上昇一巡と米小売売上高の悪化を見て概ね低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の4.23%となった。2月13日は米CPI発表後に急伸して前日比0.14%上昇となり、14日には一時4.33%をつけたものの上昇一巡で前日比0.06%低下の4.26%となり、15日は一時4.19%まで低下してから戻したもののマイナス圏で終了している。
30年債利回りは前日比0.03%低下の4.41%となったが、14日に4.49%まで上昇したところからの反落で一時4.39%まで低下してから戻したもののマイナス圏に留まった。
2年債利回りは前日比変わらずの4.58%となり、13日に前日比0.18%上昇して一時4.67%をつけたところをピークに低下へ転じ、14日は上昇一巡で前日比0.08%低下し、15日も一時4.52%まで低下してから戻したがプラス圏には至らなかった。
米金利先物市場では5月利下げ期待度は4割弱、6月利下げ期待度は8割強となっている。
一方、NYダウは前日比348.85ドル高と上昇、14日の151.52ドル高から連騰して2月12日に付けた史上最高値38927.08ドルに迫った。ナスダック総合指数は47.02ポイント高で14日の203.55ポイント高から連騰して2月12日に付けた22年10月以降の最高値に迫った。S&P500は前日比29.11ポイント高と連騰し、2月12日の取引時間中の史上最高値に迫り、終値ベースでは2月9日終値を超えて最高値を更新した。地銀経営不安等を抱えているものの利下げ開始が遅れてもいずれ利下げへ向かうとの楽観はまだ健在だ。
【60分足、サイクル・一目均衡表分析】
ドル円は2月7日深夜安値147.62円を起点とした上昇で2月9日高値149.57円へ上昇したところで上昇一巡となり下落期に入っている。2月12日夜安値を基準として目先の安値形成期は15日夜から19日夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地ありとするが、16日未明高値150.24円超えを強気転換注意とし、150.50円超えからは上昇期入りとみて16日深夜から21日早朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では、2月14日早朝高値からのジリ安推移で遅行スパンが悪化したが、15日夜の下落で先行スパンから転落し、その後の戻りが続かずに16日午前序盤も先行スパンから転落した状況にあるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下落再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は2月14日早朝への急伸で80ポイントを超えてから低下に転じ、15日夜には30ポイントを付けたが、その後は下げ渋っている。50ポイント以下での推移中は下向きとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、55ポイント超えからは上昇期入りとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月15日夜安値149.55円を下値支持線、2月15日未明高値150.24円を上値抵抗線とする。
(2)150.24円以下での推移中は下向きとし、149.55円割れからは149円前後への下落を想定する。149円以下は反騰注意とするが、150円を下回っての推移なら週明けも安値試しを続ける可能性があるとみる。
(3)150.24円超えを強気転換注意とし、150.50円超えからは上昇再開とみて2月14日早朝高値150.88円試しを想定する。150.80円以上は反落警戒とするが、150.24円を上回っての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の予定】
2/16(金)
休場 中国
13:30 (日) 12月 第三次産業活動指数 前月比 (11月 -0.7%、予想 0.2%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前月比 (12月 -3.2%、予想 1.5%)
16:00 (英) 1月 小売売上高 前年同月比 (12月 -2.4%、予想 -1.4%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前月比 (12月 -3.3%、予想 1.7%)
16:00 (英) 1月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (12月 -2.1%、予想 -1.6%)
22:30 (米) 1月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (12月 -0.1%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 1.0%、予想 0.6%)
22:30 (米) 1月 コアPPI 前月比 (12月 0.0%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 コアPPI 前年同月比 (12月 1.8%、予想 1.6%)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数・年率換算 (12月 146.0万件、予想 145.8万件)
22:30 (米) 1月 住宅着工件数 前月比 (12月 -4.3%、予想 -0.2%)
22:30 (米) 1月 建設許可件数・年率換算 (12月 149.5万件、予想 151.4万件)
22:30 (米) 1月 建設許可件数 前月比 (12月 1.9%、予想 1.4%)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値 (1月 79.0、予想 80.0)
26:10 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
2/19(月)
休場、米国(大統領記念日)、カナダ
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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