『上下しつつも方向感を見出しづらい展開。来週はトルコ中銀会合に注目』
〇今週のトルコ円、トルコ経済指標の好調、ドル円での円安進行に週前半4.99まで上昇
〇週後半にかけては、円安一服とトルコ中銀に対する利上げ催促のリラ売り圧力に安値4.82まで反落
〇トルコリラ円乱高下しつつも方向感を見出すには至らず
〇主要テクニカルポイントの下側に位置し、強い売りシグナルも継続、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済先行き不透明感、インフレ昂進懸念、米利下げ後ずれ観測等が重石
〇トルコ中銀エルカン総裁が2/2付けで辞任したことも、トルコリラの下押し要因
〇引き続き、トルコリラ円相場の一巡後の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
今週のレビュー(2/12−2/16)
今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.86円で寄り付いた後、(1)トルコ12月失業率(結果8.8%、前回8.9%)の前回比改善や、(2)トルコ12月経常収支(21.9億ドル赤字、予想32.5億ドル赤字、前回27.2億ドル赤字)の赤字額縮小、(3)ドル円相場の力強い動き(ドル円上昇→トルコリラ円連れ高)が支援材料となり、翌2/13にかけて、週間高値4.99円(昨年12/29以来の高値圏)まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)日本政府・当局による介入警戒感(ドル円反落→トルコリラ円連れ安)や、(5)トルコ中銀に対する利上げ催促のリラ売り圧力、(6)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売り(一目均衡表雲下限を再び下方ブレイク→仕掛け的なトルコリラ売り)が重石となり、週後半にかけて、週間安値4.82円まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間2/17午前3時00分現在)では、4.87円前後で推移しております。
来週の見通し(2/19−2/23)
トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、乱高下しつつも方向感を見出すには至りませんでした。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、50日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の下側に位置していることや、強い売りシグナルを示唆する「弱気のパーフェクトオーダー」「ダウ理論の下落トレンド」が継続していること、対ドル相場の年初来安値更新の流れに歯止めがかからないこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「弱い」と判断できます。
また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感や、(2)トルコ国内のインフレ高進リスク(先週発表されたトルコ1月消費者物価指数、同コア指数は市場予想を上回る結果→実質金利低下に伴う構造的なリラ売り圧力)、(3)利上げ催促のリラ売り圧力(トルコ中銀は利上げサイクルの終了を示唆するも、上記2で述べた通り、トルコ国内のインフレ抑制には至っておらず、市場では利下げ催促のリラ売りが続くとの見方がコンセンサス)、(4)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(今週発表された米1月消費者物価指数は市場予想を大幅に上回る結果→米FRBによる上半期の利下げ観測後退→米金利上昇・米ドル高はトルコリラの下押し要因)など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。
市場参加者の信任を得ていたトルコ中銀エルカン総裁が2/2付けで辞任したこと等も、トルコリラの下押しに繋がると見られることから、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(来週2/22に予定されているトルコ中銀会合では政策金利の据え置きが見込まれているものの、カラハン新総裁がエルカン前総裁の正常化路線を踏襲するか否か、同氏の一挙手一投足に要注目)。尚、来週はトルコ中銀会合以外に、トルコ2月消費者信頼感指数や、トルコ2月製造業景況感指数、トルコ2月設備稼働率なども予定されております。
来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00
注:ポイント要約は編集部
トルコ円日足
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