トルコ円見通し ドル円は151円手前で足踏み、ドル高リラ安継続でトルコ円の上値重い(24/2/19)

トルコリラ円の2月16日は概ね4.92円から4.85円の取引レンジ、17日早朝の終値は4.87円で前日終値と変わらなかった。

トルコ円見通し ドル円は151円手前で足踏み、ドル高リラ安継続でトルコ円の上値重い(24/2/19)

ドル円は151円手前で足踏み、ドル高リラ安継続でトルコ円の上値重い

〇トルコ円、1/3安値4.74起点にややジリ高推移するも、2/14早朝の4.91から右肩下がりの展開続く
〇対ドル、10週連続のドル高リラ安、4週連続で取引時間中の史上最安値も更新
〇シムシェク財務相「従来の金融政策適用され引締め政策機能する」と年後半のインフレ低下見通し示す
〇2/22トルコ中銀金融政策委、政策金利週間レポレートは現行の45.0%据え置きでエコノミスト予想一致
〇4.89超えからは4.90、4.91を順次試す上昇を想定。4.91手前は反落警戒
〇4.85割れからは4.83、4.82を順次試す下落を想定。4.82以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の2月16日は概ね4.92円から4.85円の取引レンジ、17日早朝の終値は4.87円で前日終値と変わらなかった。週間では2月9日終値4.86円から0.01円の円安リラ高だった。
ドル円は2月16日夜の米1月PPI(生産者物価指数)が予想を上回ったことで150.64円へ上昇したものの勢いは続かずに17日早朝には150.07円まで下げた。2月13日夜の米1月CPI上昇率が予想を上回ったことでドル円は直前安値149.26円から14日早朝高値15.88円まで急伸して昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新したが、米国のインフレ高止まりにより3月と5月の利下げ開始期待が後退したことをほぼ織り込んだため、16日の米PPI発表後のドル高反応は限定的だった。

トルコリラ円は2月16日夜のドル円が上昇した局面で直前安値4.87円から4.89円へ上昇したものの17日早朝には4.87円まで失速して上げ幅を解消し、19日午前序盤には4.86円まで下げている。2月16日未明から朝にかけてはドル/トルコリラでの一時的なリラ高を反映して飛び値となる高値を付ける場面もあったものの、それらを除けば2月14日早朝に4.91円を付けたところから右肩下がりの展開が続いている。
トルコリラ円の中勢としては1月3日安値4.74円を起点にややジリ高の推移ではあるが、史上最安値更新後の動きとしては下げ渋り程度にとどまっており、昨年8月24日へ上昇した時と比較すれば勢いは鈍く、ドル円の上昇による押し上げが外れればドル高リラ安と円高の両面から圧されて再び史上最安値更新を試しに向かうことも懸念される。

【ドル/トルコリラは取引時間中の史上最安値を更新、1ドル31リラに迫る】

ドル/トルコリラの2月16日は概ね30.86リラから30.57リラの取引レンジ、17日早朝の終値は30.82リラで前日終値の30.72リラから0.10リラのドル高リラ安だった。取引時間中の史上最安値更新には至らなかったものの日足終値としては2月14日終値30.73リラを超えて最安値更新となった。
週間では2月9日終値30.56リラから0.26リラのドル高リラ安で、昨年12月15日の週から10週連続のドル高リラ安で週末値ベースの最安値を更新したが、2月15日に30.96リラを付けて取引時間中の最安値を更新したため4週連続で取引時間中の史上最安値更新となった。

【中銀総裁交代による信頼感継続への懸念】

ドル/トルコリラは2021年12月20日に18.36リラへ下落して当時の史上最安値を更新した後、リラ預金の為替差損を補填するKKM制度導入により同年12月23日高値10.06リラまで一時的に反騰したが、その後も歴史的なリラ安は続いており、2022年9月に史上最安値を更新してからほぼ毎月のように最安値更新が続いてきた。
ドイツのコメルツ銀行は2月16日にドル/トルコリラの2024年末見通しを1ドル35リラとし、トルコ中銀の新総裁がインフレ抑制のための金融引き締め状態を継続すると述べたもののそれはエルドアン大統領次第と指摘し、インフレ抑制が進まなければドル高リラ安は続くとした。

2月16日にトルコのシムシェク財務相はイスタンブールにおける会合で「インフレ抑制に向けて異常なことは何も行わない、従来の金融政策が適用され金融引き締め政策は機能するだろう」と述べて今年後半のインフレ低下見通しを示した。エルカン前総裁の後任となったカラハン中銀新総裁も2月8日の四半期インフレ予想において2024年末を36%、2025年末を14%、2026年末を9%と見込み、インフレは劇的に改善してゆく楽観的な見通しを示したが、インフレ抑制のための利上げは終了しているとして追加利上げに否定的姿勢を示した。
財務相や中銀新総裁による楽観的な見通し通りに事が進めばよいが市場はそうならないと悲観している。今週は2月22日にトルコ中銀の金融政策委員会があるが、政策金利の週間レポレートは現行の45.0%で据え置かれるとエコノミスト予想は一致している。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月14日早朝高値の後はジリ安推移となり2月15日午前に4.88円を割り込んだため、15日午前時点では14日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして15日夜から19日夜にかけての間への下落を想定した。
2月16日夜に戻してから失速して2月12日夜安値からすでに4日を経過しているため、2月16日早朝安値を割り込む場合は新たな弱気サイクル入りとするのを妥当とみて16日早朝安値を直近のサイクルボトムとする。底割れを回避して2月16日夜高値4.89円を上抜く場合は19日の日中から21日早朝にかけての間への上昇余地ありとするが、すでに弱気サイクル入りしている可能性ありとし、16日早朝安値4.85円割れからは新たな弱気サイクル入りとして21日早朝から23日早朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月14日朝から遅行スパンが悪化した状況を続け先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とするが、16日夜高値4.89円を上抜く場合は上昇再開とみて遅行スパン好転中の高値試し優先へ切り替える。

60分足の相対力指数は2月14日早朝に80ポイントへ急伸してから15日午前に30ポイントを割り込んだが、その後は50ポイント台を維持できずに上値が重くなっている。60ポイント超えからは上昇再開として70ポイント台を目指す上昇を想定するが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.85円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.89円超えからは4.90円、4.91円を順次試す上昇を想定するが、4.91円手前は反落警戒とする。
(3)4.85円割れからは4.83円、4.82円を順次試す下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.85円を割り込んでの推移なら20日の日中にかけても安値試しを続けやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月20日
 23:30 1月 中央政府債務残高 (12月 6兆7230億リラ)
2月21日
 16:00 2月 消費者信頼感指数 (1月 80.4)
2月22日
 20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 45.0%)
 20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 グロス (2月9日時点 863.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月16日時点 ネット (2月9日時点 288.0億ドル)
2月23日
 16:00 2月 製造業景況感 (1月 100.9)
 16:00 2月 設備稼働率 (1月 76.2%)
 17:00 1月 海外観光客数 前年同月比 (12月 3.51%)



注:ポイント要約は編集部

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