ドル円 ドル高基調継続するも、円安けん制が上値抑制(週報2月第3週)

先週のドル/円相場はドルが続伸。昨年11月半ば以来の150円台を回復し、週末もそのまま150円台を維持していた。

ドル円 ドル高基調継続するも、円安けん制が上値抑制(週報2月第3週)

ドル高基調継続するも、円安けん制が上値抑制

〇先週のドル円、150円を前に上げ渋るも、上抜けると一気に週間高値150.88を示現
〇米早期利下げ期待の急速低下に加え、2/13発表の米1月CPI好調がドル一段高の原動力に
〇米1月小売売上高悪化は早期利下げ観測後退ムードに影響せず、米金利情勢は強気に傾斜か
〇150.88まで1円を超える上昇達成に、日本当局から円安けん制発言相次ぐ
〇リスクはドル高方向だが、円安けん制発言により149-150円台を中心としたドルの強保ち合い続くか
〇春節休暇明けの中国金融市場の動きにも要警戒
〇今週は米2月製造業PMI速報値、FOMC議事要旨の公開に要注目
〇ドル高・円安方向は先週高値150.88の攻防にまずは注目
〇ドル安・円高方向は、先週安値149.53が最初のサポート
〇予想レンジ:148.50-151.50

<< 先週の回顧 >>

先週のドル/円相場はドルが続伸。昨年11月半ば以来の150円台を回復し、週末もそのまま150円台を維持していた。

前週末は、ロシア選管が大統領選の候補者登録が終了し、「プーチン氏など4氏の争いになる」と表明していた。一方、それとは別に、トランプ米大統領候補が発した「NATO防衛義務不履行」に言及したコメントが波紋を広げていたようだ。
そうした状況下、ドル/円は149.25円レベルで寄り付いたのち、しばらくは揉み合い。ドルの上値は重く、150円を前に上げ渋る展開だったが、上抜けるとそのまま一気に1円程度上伸。週間高値の150.88円を示現している。しかし、日本当局の円安けん制発言などもあり以降週末にかけてはドルの上値も重い。150円台を中心としたドル強保ち合いながら、150円半ば以上の滞空時間は短かった。週末NYは150.15-20円で越週している。
なお、日経平均株価は大幅に続伸し、週末にはザラ場ベースで一時38800円台。史上最高値を視野に入れた値動きをたどっていた。

一方、週間を通して注視されていた材料は、「米金融政策」と「円安けん制発言」について。
前者は、今月に入ってから発表された雇用統計や消費者物価といった米経済指標がこぞって良好。また米要人の強気発言も相次ぎ、米早期利下げ期待が急速に萎むなか、先週発表された1月の消費者物価が予想を上回る伸びを示し、早期利下げ観測はさらに遠のいたようだ。そして為替市場においてはドル一段高、対円では前述した150円台乗せの原動力となっていたことは間違いないところだ。ところが、そののち発表された1月の小売売上高は逆に大幅な悪化。市場に冷や水を浴びせる格好となったものの、市場で広がる「早期利下げ観測」後退ムードを転換させるまでには至らなかった。むしろ、ブルームバーグが欧州金融大手ソシエテジェネラルの見解として「米経済が再び加速した場合は金融当局の次の動きが利上げになり得る」と報じるなど、依然として米金利情勢は強気に傾斜している感がある。

それに対して後者は、13日の欧米時間にドル/円は150円を超え150.88円まで1円を超える上昇を達成したこともあり、翌14日は早朝から「ドル/円相場の変動が急激すぎる」として神田財務官による「強め」の円安けん制発言が相次いでいた。一例を挙げると、「投機的な動きはいかがなものか」、「特定の為替水準を考えて行動していない」、「24時間365日対応できる準備を整えている」などとなる。また、そののちも為替市場の情勢をみながら、鈴木財務相から「強い緊張感をもって相場を注視している」といったコメントが発せられるなど、週末にかけても口先介入が連日のように伝えられていた。

<< 今週の見通し >>

先週のドル/円相場は、一時150.88円まで上昇し、昨年高値151.92円まであと1円強へと迫った。現実的なメドとして視界内に捉えられており、場合によっては週内に到達あるいは超えていく展開があっても不思議はない。しかし、そうしたなか気になるのは日本の通貨当局の対応か。実際、前述したように神田財務官は先週、「24時間365日対応できる準備を整えている」と発言。これは昨年9月に介入前に聞かれた「スタンバイの状態と考えていい。いつまでもやる用意がある」とニュアンス的に通じるところがあるところがやや気掛かり。

引き続き発表される米経済指標や要人発言に一喜一憂する展開ながら、マーケットでは「早期の日米金利差縮小はない」との見方がやはり優勢ではあるようだ。しかし、先週末にはサンフランシスコ連銀総裁が「年内数回の利下げ予想を維持している」との考えを明らかにするなど、弱気派のなかからは、たとえ時期が後ずれしても、利下げそのものは1回でなく複数回行われる公算が大きいといった声も聞かれていた。まだまだ予断を許さない。一方、それとは別に本19日、長い春節休暇がようやく明ける中国金融市場の動きが警戒されており、動静をしっかりと見極めたいところだ。

テクニカルに見た場合、ドル/円は高値150.88円を示現後、149.53円まで1円以上下落したが基調そのものに変化はみられない。今週も基本的にはドル高リスクの高い展開が続く見込みだ。しかし、何度も指摘している当局の円安けん制発言などが上値を抑制しそうで、結局のところ149-150円台を中心としたドルの強保ち合いが続く可能性がある。
ただし、現在148円半ばに位置する移動平均の21日線をしっかり下回るとトレンド転換を警戒する必要がありそうだ。

今週は、2月の製造業PMI速報値といった米経済指標が発表されるうえ、2月1日に結果を公表した米FOMCの議事要旨が公開される見込みだ。米利下げ開始時期の後ずれを予想する向きが多くなりつつあるだけに、それを裏付けるような内容なるのか注目だ。

そんな今週のドル/円予想レンジは、148.50-151.50円。ドル高・円安方向については、先週高値150.88円の攻防にまずは注目。抜ければ151.92円がさらに身近なものとなり、現実的な目標として意識されそうだ。
対してドル安・円高方向は、先週安値149.53円が最初のサポート。割り込むと現状148円半ば、月末には149円台へと到達する見込みの21日線がターゲットに。

ドル高基調継続するも、円安けん制が上値抑制

ドル円日足



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