トルコリラ円見通し 円安継続で4.80円台を維持するもドル高リラ安で上値重い(24/2/6)

トルコリラ円の2月5日は概ね4.88円から4.84円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.86円で先週末終値の4.85円からは0.01円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 円安継続で4.80円台を維持するもドル高リラ安で上値重い(24/2/6)

トルコリラ円見通し 円安継続で4.80円台を維持するもドル高リラ安で上値重い

〇トルコ円、2/5日中は4.84まで下げてから持ち直し、2/6早朝には高値4.88を付ける
〇ドル円が上昇継続しているものの、ドル高リラ安からトルコリラ円は4.80台後半で上値が重い印象
〇対ドル、2/5は30.63から30.29の取引レンジ、2営業日連続で取引時間中及び終値ベースで最安値更新
〇昨日発表のトルコCPI、前月比は予想を大幅に超える加速、PPIも前月比で大幅加速
〇4.84を上回るうちは一段高余地ありとし、4.89超えからは4.90台序盤への上昇を想定する
〇4.84割れからは下落期入りとみて、4.82、4.80を順次試してゆく下落を想定する

【概況】

トルコリラ円の2月5日は概ね4.88円から4.84円の取引レンジ、6日早朝の終値は4.86円で先週末終値の4.85円からは0.01円の円安リラ高だった。
2月2日の米雇用統計が予想以上の堅調さを示し、非農業部門就業者増加数とインフレ指標の平均時給伸び率が予想を上回ったことで米国の早期利下げ期待が後退して米長期債利回りが急上昇となり、為替市場はドル全面高の様相でドル円は2月3日未明に148.58円へ急伸した。2月5日午前に148.81円を付けて1月19日高値148.80円を超え、5日夜の米S&PとISMによる1月サービス業景況指数の上昇により米長期債利回りが続伸してドル高継続となったために6日未明には148.89円まで高値を伸ばした。
トルコリラ円は2月2日午前の一時的下落で4.76円を付けたが、米雇用統計後にドル円が急伸したのを追いかけて3日未明に4.88円へ上昇し、3日早朝の取引終了前には一時4.89円を付ける場面も見られた。2月5日の日中は4.84円まで下げてからドル円のジリ高を見ながら持ち直し、6日早朝には高値で4.88円を付けたが、3日早朝高値には届かずに終わった。

ドル円が上昇を継続しているものの149円手前で勢いがやや鈍っていることと、ドル/トルコリラが2月2日に続いて2月5日も取引時間中及び日足終値ベースの史上最安値を更新したことによる圧迫感からトルコリラ円は4.80円台後半で上値が重くなっている印象だ。ドル高リラ安が収まらない状況の中で、149円手前からドル円が反落調整に入る場合にはトルコリラ円も下押しされやすくなると注意したい。

【ドル/トルコリラは2日連続で史上最安値更新】

ドル/トルコリラの2月5日は概ね30.63リラから30.29リラの取引レンジ、6日早朝の終値は30.53リラで先週末終値30.40リラから0.13リラのドル高リラ安だった。
2月2日に30.60リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新し、終値ベースでも最安値を更新していたが、週明けも2営業日連続で取引時間中及び終値ベースでの史上最安値更新となった。
2月2日にトルコ中銀のエルカン総裁が辞任したことにより金融政策正常化継続への懸念が生じたが、2月5日はトルコの1月消費者物価指数の上昇率が前月比で12月から伸びが加速して前年比も高止まりの様相となったことで追加利上げ催促的にリラ売りが進んだ。
2月6日午前は30.63リラから30.36リラのレンジで推移しており3営業日連続での最安値更新を試している。

【トルコCPI、前月比は予想を大幅に超える加速】

2月5日にトルコ統計局が発表した昨年12月のCPI(消費者物価指数)上昇率は全体の前月比が6.7%となり12月の2.93%を大幅に加速して市場予想の6.49%も上回り、前年同月比は64.86%で12月の64.77%を若干上回り市場予想の64.52%も上回った。コア指数の伸び率は前月比で7.6%となり12月の2.3%から大幅に加速し、前年同月比は70.5%で12月の70.6%からわずかに鈍化したものの高止まりの様相となった。
PPI(生産者物価指数)の上昇率は前月比で4.14%となり12月の1.14%から大幅に加速し、前年同月比は44.20%で12月の44.22%をわずかに下回ったものの高止まりの様相となった。
CPIに先立って2月1日に発表されたイスタンブールの1月RPI(小売物価指数)は前月比6.72%(12月は3.52%)、前年同月比76.17%(12月は74.88%)、WPI(卸売物価指数)は前月比4.69%(12月は2.31%)、前年同月比61.48%(12月は62.77%)だった。

トルコ中銀はエルカン総裁辞任前の12月21日に政策金利を2.5%追加利上げて45%とし、当面の利上げサイクルを終了したと表明した。中銀はこれまでに今年5月には70〜75%程度でインフレはピークを付けて2025年末には36%程度まで低下してゆくとの予想を示しているが、現況のインフレは高進が収まらずにいるため、インフレ高進とリラ安に歯止めをかけるにはさらなる追加利上げが必要と市場は受け止めており、リラ安がまだしばらくは収まらないと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月31日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして2月2日午前から6日午前にかけての間への下落を想定していたが、2月2日午前に一時的安値で4.76円を付けてから3日早朝へ急騰したため、5日午前時点では2日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、サイクルトップ形成期を2月3日早朝から7日未明にかけての間とした。
2月5日は4.84円以上を維持しているのでまだ上昇余地ありとするが、4.84円割れからは弱気サイクル入りとして7日午前から9日午前にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月3日早朝への急伸で遅行スパンが好転して先行スパンを上抜いたが、その後は高値更新へ進めずにいるため遅行スパンは実線と交錯している。先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落期入りを疑い遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月3日未明への上昇時に70ポイントを超えたがその後は相場の高値がほぼフラットなのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるので、65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.84円を下値支持線、4.89円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を上回るうちは一段高余地ありとし、4.89円超えからは4.90円台序盤(4.90円から4.92円手前)への上昇を想定する。4.91円以上は反落警戒とするが、4.84円を上回っての推移なら7日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.84円割れからは下落期入りとみて4.82円、4.80円を順次試してゆく下落を想定する。4.80円前後は反騰注意とするが、4.84円を下回っての推移なら7日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2月7日
 23:30 1月 財務省現金残 (12月1969.6億リラ)
2月8日
 20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 グロス (1月26日時点 891.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 ネット (1月26日時点 306.8億ドル)
2月9日
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.4%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 0.2%)


注:ポイント要約は編集部

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