トルコリラ円見通し ドル円の反落を追い4.90円手前から失速(24/2/7)

トルコリラ円の2月6日は概ね4.88円から4.83円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.85円で前日終値の4.86円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の反落を追い4.90円手前から失速(24/2/7)

ドル円の反落を追い4.90円手前から失速

〇トルコリラ円、2/6夜のドル円下落に合わせ2/7早朝4.83まで失速
〇午前序盤4.87つけるも反落し、早々に4.84割り込む
〇対ドル、金融政策への不安や1月CPI上昇率の大幅加速で、2/6に30.83リラへ史上最安値更新
〇2/7早朝に一時的に下げるも、午前に30.55リラへ上昇、最安値更新を試す流れ継続
〇政策金利の現状維持を続けられるのか、カラハン新中銀総裁の姿勢を確認するまで市場の不安解消せず
〇4.85を下回って推移中は一段安警戒、4.82割れからは4.80、4.78を順次試す下落想定
〇4.85から4.87手前の水準は戻り売り有利、4.87超えからは上昇が勢い付くとみて4.89前後への上昇想定

【概況】

トルコリラ円の2月6日は概ね4.88円から4.83円の取引レンジ、7日早朝の終値は4.85円で前日終値の4.86円からは0.01円の円高リラ安だった。
ドル円は2月2日の米雇用統計が予想以上の堅調さを示したことによる米長期債利回りの急上昇により発表前の146.50円台から2月3日未明高値148.58円へ急伸し、5日午前に148.81円を付けて1月19日高値148.80円を超えた後も5日夜の米ISMサービス業景況指数上昇による米長期債利回りの連騰を見て6日未明には148.89円まで高値を伸ばした。しかし149円手前での抵抗感も厚く、米長期債利回りが連騰一巡感や米地銀経営不安問題に対する債券への安全資産買いにより低下に転じたため、7日未明には148円を割り込んだ。連騰一巡により149円到達へ向かうのは時期尚早としていったん仕切り直しに入った印象だ。

トルコリラ円は2月2日午前の一時的下落で4.76円を付けてから持ち直し、2日夜にドル円が急伸したのを追って3日未明に4.88円へ上昇し、3日早朝には一時4.89円を付けた。

しかしドル円が6日未明に一段高した際にはドル高リラ安による圧迫感があって4.88円までの上昇にとどまって戻り高値は切り下がりとなり、6日夜からドル円が下落したために7日早朝には4.83円まで失速した。7日午前序盤の一時的な買いで4.87円を付けたものの早々に反落して4.84円を割り込んでいる。
米国の早期利下げ期待が後退したことで為替市場は先週末からドル高へ進んだが、米国の年内3回利下げ想定そのものは変わらないためドル高にも限界があるのではないかと思われる。ドル円としては日銀のマイナス金利解除へ向けた動向も気になるところであり、明日午後に予定されている内田副総裁の会見内容に関心が集まっている。
トルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任し、1月のトルコ消費者物価上昇率も前月比で大きく伸びたためにトルコリラは対ドルで史上最安値更新を続けており、ドル円の上昇が149円手前で頭打ちとなると円高とリラ安の両面から圧迫されやすくなると注意したい。

【ドル/トルコリラは3日連続で取引時間中の史上最安値を更新】

ドル/トルコリラの2月6日は概ね30.83リラから30.21リラの取引レンジ、7日早朝の終値は30.33リラで前日終値の30.53リラからは0.20リラのドル安リラ高だった。
2月2日にトルコ中銀のエルカン総裁が突然辞任したことによる正常化した金融政策継続への不安や2月5日のトルコ1月消費者物価上昇率が前月比で大幅に加速したことにより2月5日には30.63リラへ取引時間中の史上最安値を更新し、終値も史上最安値としたが、2月6日もこの流れを継続して30.83リラへ史上最安値を更新した。7日早朝の取引終盤に一時的に下げたために前日比ではドル安リラ高となったが、7日午前には30.55リラへ上昇しており最安値更新を試す流れは継続している印象だ。

【中銀総裁辞任、インフレ高進収まらずリラの先行き不透明感高まる】

2月2日にトルコ中銀のエルカン総裁が辞任した。本人及び家族への誹謗中傷等がメディアでキャンペーンされたことが辞任理由とされているが、大統領の強権性を踏まえれば、就任以降に8会合連続利上げにより政策金利を就任前の8.5%から45.0%まで大幅に引き上げてきたことでエルカン氏の役割終了として陰陽の圧力がかかり辞任に追い込まれた可能性も否定できないと思う。
エルカン氏の後任にはファティ・カラハン氏が任命されており、カラハン氏はニューヨーク連銀のエコノミストや米オンライン小売大手アマゾンにおけるシニアエコノミスト等の経歴がある。

エルカン氏とともにトルコ金融政策正常化に尽力してきたシムシェキ財務相は金融政策の継続性を強調しており、大手金融機関のエコノミスト等は政策の継続性に対して安心しているとの報道もあるが、対ドルでリラの史上最安値が更新されていることを踏まえると、市場はカラハン新総裁の政策姿勢を確認しないことには不安が解消しないということだろう。
トルコ中銀は1月会合で2.5%利上げを実施した際に利上げサイクルの終了としたが、今後のインフレ高進次第では市場から追加利上げを要求されることとなるため、政策金利の現状維持を続けられるのか試されてゆくと思われる。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、2月2日午前に一時的安値で4.76円を付けてから3日早朝へ急騰したため、5日午前時点では2日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、サイクルトップ形成期を2月3日早朝から7日未明にかけての間とした。
2月6日午前時点では4.84円割れから弱気サイクル入りとしたが、2月7日午前に4.84円を割り込んだため2月3日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとする。ボトム形成期は7日午前から9日午前にかけての間とし、強気転換は4.87円超えから続伸する上昇を確認してからとする。

60分足の一目均衡表では2月6日夜の下落時に遅行スパンが悪化して先行スパンへ潜り込んでいるため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とし、先行スパンから転落する場合は下げ足が速まる可能性があると注意する。強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとし、その際は遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月3日未明への上昇時に70ポイントを超えたがその後は相場の高値がほぼフラットなのに対して指数のピークが切り下がる弱気逆行気配がみられ、6日夜の下落時には30ポイント台へ低下した。7日朝の一時的な上昇で50ポイントを超えたものの失速しているので20ポイント前後への一段安余地ありとみる。強気転換は55ポイントを超えてその後も50ポイント台を維持して指数の高値を切り上げるような上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.82円を下値支持線、4.87円を上値抵抗線とする。
(2)4.85円を下回るか一時的に超えても維持できないうちは一段安警戒とし、4.82円割れからは4.80円、4.78円を順次試して行く下落を想定する。4.80円以下ではいったん買われやすいとみるが、4.84円を下回っての推移なら8日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.85円から4.87円手前にかけての水準は戻り売り有利とみるが、4.87円を超えるところからは上昇がさらに勢い付くとみて4.89円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

2月7日
 23:30 1月 財務省現金残 (12月1969.6億リラ)
2月8日
 20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 グロス (1月26日時点 891.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 ネット (1月26日時点 306.8億ドル)
2月9日
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.4%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 0.2%)



注:ポイント要約は編集部

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