ドル円見通し 米長期債利回り連騰で149円に迫る(24/2/6)

2月6日未明には148.89円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新した。

ドル円見通し 米長期債利回り連騰で149円に迫る(24/2/6)

ドル円見通し 米長期債利回り連騰で149円に迫る

〇ドル円、2/5午前に148.81まで高値を伸ばしてからやや下げたものの、148円台前半でしっかり
〇2/6未明には148.89を付けて、昨年12/28安値140.24以降の高値を更新
〇昨日発表の米ISMサービス業景況指数は4か月振りの高水準、米サービス業PMIも上昇
〇米長期債利回りは大幅連騰、米株価は下落
〇148.20を上回るうちは上昇余地ありとし、148.89超えからは149円台序盤への上昇を想定する
〇148.20割れからは、148.00、147.75を順次試す下落を想定する

【概況】

2月2日夜発表の米1月雇用統計で非農業部門就業者数と平均時給伸び率が予想を大幅に上回り労働市場のひっ迫感を示したことで米国の早期利下げ期待が後退したとして米長期債利回りが急伸して為替市場はドル全面高となり、ドル円は発表前の146.50円台から2月3日未明高値148.58円へ急伸した。2月5日も午前に148.81円まで高値を伸ばしてからやや下げたものの148円台前半でしっかりし、S&Pグローバルによる1月サービス業PMIが速報から若干下方修正されたものの12月から上昇し、ISMの1月サービス業景況指数が予想を上回って前月から上昇したために米長期債利回りとドル指数が連騰気配となり、2月6日未明には148.89円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の高値を更新した。
パウエルFRB議長が4日のTVインタビューで利下げのためには「さらに幾分確信が欲しい」と述べ、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が5日公開のエッセーで「引き締め過ぎのリスクは少なく、利下げ開始前に経済指標を点検する時間がある」として利下げを急がない姿勢を強調したことも米長期債利回り上昇とドル高に寄与した。

【米ISMサービス業景況指数は4か月振り高水準】

ISM(米サプライ管理協会)が発表した1月の米サービス業景況指数は53.4となり12月の50.5から改善して市場予想の52.0を上回った。昨年9月以来4か月振りの高水準で50ポイントを上回る状況を続けている。内訳では事業活動が55.8で12月と変わらずだったが、新規受注は55.0で前月から2.2上昇、雇用は50.5で6.7上昇、価格は64.0で前月の56.7から上昇した。
S&Pグローバルによる1月の米サービス業PMI確報値は52.5となり速報値の52.9から下方修正されたが12月の51.4から上昇して10月から4か月連続上昇となり2023年6月以来7か月振り高水準となった。総合PMIも52.0となり12月の50.9から上昇して昨年7月以来の高水準となった。
2月2日の米雇用統計が強かったことに加え、米S&Pグローバルのサービス業PMIとISMのサービス業景況指数が揃って前月から上昇したことは米国の景気がしっかりしておりFRBに対して利下げを急がない口実を与えている。

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は2月5日に公開されたエッセイにおいて、現在の金融政策スタンスは想定されているほどは引き締め的になっていないとし、利下げ開始の決断前にはさらに指標を精査する時間があると指摘した。同総裁は「景気に中立的な政策スタンスが(従来よりも)上昇した可能性がある」とし、金融政策が引き締め過ぎとなって景気回復を損なうリスクは少ないとして利下げを急がない姿勢を強調した。
FRBのパウエル議長はCBSニュース番組において、3月19、20両日の次回会合までに利下げ開始を確信する可能性は小さいとし、FOMC参加者は2,3人を除けば年内利下げ開始が適切と確信し、正しいタイミングを捉えようと努めているところだと述べた。2月1日早朝のFOMC後会見での発言と大差ないが、改めて早期利下げへの過度な期待をけん制している。

【米10年債利回りは連騰、NYダウは反落】

2月5日の米長期債利回りは先週末からの大幅連騰となった。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.14%上昇の4.16%となり、2月2日の前日比0.14%上昇から連騰した。30年債利回りも前日比0.12%上昇の4.34%となり2月2日の前日比0.10%上昇から連騰した。
政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.11%上昇の4.48%で2月2日の前日比0.16%上昇から連騰し、1月5日以来の高水準に達した。
一方、NYダウは2月2日まで2日連続で史上最高値を更新していたが、2月5日は米長期金利の連騰を嫌って前日比274.30ドル安と下落、ナスダック総合指数も31.27ポイント安と下落した。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は2月2日未明に145.89円まで下げて1月19日高値148.80円以降の安値を更新したが、2日夜の米雇用統計をきっかけに急伸し、2月6日未明には148.89円まで高値を伸ばしている。149円手前には抵抗感もあり急騰後の反動安も警戒されるため、148.20円を上回るうちは上昇余地ありとするが、148.20円割れからはいったん下げに入るとみて6日深夜から9日未明にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月2日夜の急伸で遅行スパンが好転して先行スパンも上抜いた。2月6日未明へ高値を伸ばしたものの149円手前で上値が重いために遅行スパンは実線と交錯しつつあるが、先行スパンを上回るうちは遅行スパン好転中の高値試し優先とする。先行スパンを上回るうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところから上昇再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月3日未明から6日未明にかけて相場が高値を更新した際に指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられるため反落期入りを警戒し、65ポイント超えからは上昇再開とするが、50ポイント割れからは下落継続とみて30ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、148.20円を下値支持線、2月6日未明高値148.89円を上値抵抗線とする。
(2)148.20円を上回るうちは上昇余地ありとし、148.89円超えからは149円台序盤(149.00円から149.20円)への上昇を想定する。149円台到達後は反落警戒とするが、148.20円を上回っての推移なら7日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)148.20円割れからは148.00円、147.75円を順次試す下落を想定する。148円以下は買われやすいとみるが、148.20円を下回っての推移なら7日も安値試しが続きやすいとみる。また円高を助長する材用を伴って下げ足が速まる場合は147円台前半へ下値目途を引き下げる。

【当面の予定】

2/6(火)
休場 ニュージーランド
12:30 (豪) 豪中銀 政策金利 (現行 4.35%、予想 4.35%)
13:30 (豪) ブロック豪中銀総裁、記者会見
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 0.3%、予想 -0.2%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 -4.4%、予想 -5.3%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -0.3%、予想 -1.0%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 -1.1%、予想 -0.9%)
26:00 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、講演
27:00 (米) カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会
27:00 (米) 財務省3年債入札
28:00 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、会合挨拶

2/7(水)
06:45 (NZ) 10-12月期 失業率 (7-9月 3.9%、予想 4.3%)
06:45 (NZ) 10-12月期 就業者数増減 前期比 (7‐9月 -0.2%、予想 0.3%)
06:45 (NZ) 10-12月期 就業者数増減 前年同期比 (7-9月 2.4%、予想 2.1%)
09:00 (米) ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁、講演
14:00 (日) 12月 景気一致指数CI・速報値 (11月 114.6、予想 116.1)
14:00 (日) 12月 景気先行指数CI・速報値 (11月 107.6、予想 109.4)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -0.7%、予想 -0.5%)
16:00 (独) 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 -4.8%、予想 -2.3%)
17:40 (英) ブリーデン英中銀副総裁、講演

22:30 (米) 12月 貿易収支 (11月 -632億ドル、予想 -622億ドル)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
25:00 (米) クーグラーFRB理事、講演
25:30 (米) コリンズ・ボストン連銀総裁、講演
26:30 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、講演
27:00 (米) 財務省10年債入札
28:00 (米) ボウマンFRB理事、講演
29:00 (米) 12月 消費者信用残高 (11月 237.5億ドル、予想 165.0億ドル)


注:ポイント要約は編集部

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