トルコリラ円見通し ドル円の一段安で4.80円割れを試す(24/2/2)

トルコリラ円の2月1日は概ね4.85円から4.81円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.81円で前日終値の4.84円から0.03円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の一段安で4.80円割れを試す(24/2/2)

トルコリラ円見通し ドル円の一段安で4.80円割れを試す

〇トルコ円、2/2未明ドル円が146円を割り込んだ際に4.81まで下げ、午前序盤に4.81を割り込み始める
〇対ドル、2/1は概ね30.39から30.14の取引レンジ、下げ渋るも最安値近辺
〇昨日発表のトルコの週次外貨準備高、グロスは減少するもネットは再び増加
〇4.84を下回るうちは一段安警戒とし、4.80割れからは4.78、4.76前後を順次試す下落を想定する
〇4.84から4.86手前にかけての水準は、戻り売りにつかまりやすいとみる

【概況】

トルコリラ円の2月1日は概ね4.85円から4.81円の取引レンジ、2日早朝の終値は4.81円で前日終値の4.84円から0.03円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラは1月26日に取引時間中の史上最安値を更新してから下げ渋っているものの最安値近辺の動きを続けてトルコリラ円に対する圧迫感も継続している。トルコリラ円は短期的にはドル円の騰落を見ながらの展開だが、米FOMCを通過してからドル円が乱調な展開となり2月2日未明へ安値を切り下げたことでトルコリラ円も1月24日以降の安値を更新している。

ドル円は2月1日早朝の米FOMCが3月利下げ期待を後退させる内容だったために146円から147.44円へ急伸したが勢いが続かず、2月1日の日中は146円台後半を中心とした持ち合いに留まり、1日夜の米新規失業保険申請件数の2週連続悪化や英中銀の早期利下げ期待けん制姿勢等によるドル安で2日未明には145.89円を付けて1月19日高値158.80円以降の安値を更新した。その後は146円台前半へ戻しているものの、右肩下がりの展開につかまっている印象だ。春闘明けの日銀によるマイナス金利解除への警戒感と米国の5月利下げ開始予想がドル円を押し下げている。
トルコリラ円は1月31日夜の4.87円近辺から1日早朝にかけてドル円が急落した局面で4.81円へ下落し、FOMC後にドル円が反騰したところで4.86円まで戻したが、2月2日未明にドル円が146円を割り込んだ際には4.81円まで下げ、2日午前序盤には4.81円を割り込み始めている。
トルコリラ円にとっては1月24日まで続いてきた円安による下支えが効かなくなり、逆に円高による圧迫感が優勢となりつつある印象だ。

【ドル/トルコリラは下げ渋るも最安値近辺】

ドル/トルコリラの2月1日は概ね30.39リラから30.14リラの取引レンジ、2日早朝の終値は30.27リラで前日終値の30.32リラからは0.05リラのドル安リラ高だった。
1月25日にトルコ中銀が2.5%の追加利上げで政策金利を45.0%とし、インフレ対策としての利上げ終了を示唆したことを市場は不服として追加利上げ催促のリラ売りとなり、1月26日には30.57リラへ取引時間中の史上最安値を更新したが、その後は新たな最安値更新を回避している。終値ベースでは1月24日から30日まで5営業日連続で史上最安値を更新し、1月31日終値も1月30日と同値水準だったが、2月1日は若干上昇した。しかし2月2日午前は30.45リラから30.27リラのレンジで推移しており再び最安値更新を伺う動きを見せている。

2月1日に発表された1月のイスタンブール製造業PMIは49.2となり12月の47.4から上昇したものの昨年7月以降は7か月連続で強弱分岐点の50を割り込んでいる。
来週は2月5日に1月のトルコインフレ指標の発表があり、CPI(消費者物価指数)の上昇率については全体の前月比が12月の2.93%から6.49%へと伸びが加速し、前年比は64.52%で12月の64.77%からわずかに低下するも高止まりすると見込まれている。予想を上回る上昇率なら中銀への利上げ催促によるリラ売りが勢い付く可能性がある。

【外貨準備高 ネットは再び増加】

2月1日夜にトルコ中銀が発表した週次の外貨準備高は1月26日時点のグロスで891.5億ドルとなり1月19日時点の903.7億ドルから減少したが、ネットでは306.8億ドルとなり1月19日時点の236.5億ドルから大幅に増加した。増加要因の詳細は不明なものの、ここ数週続いていたネットの外貨準備高減少に歯止めがかかった印象だ。
エルドアン大統領再選後にエルカン氏がトルコ中銀総裁となり、シムシェク氏が財務相となって両名を中心として金融政策の正常化が推進されてきたが、その中でもエルカン総裁が外貨準備高を取り崩してリラ買いの市場介入を繰り返してきた旧来の手法を取りやめて信用構築のために外貨準備高増加政策を進めてきたことが大手格付け機関の評価を上げて、ネガティブだった格付け見通しが安定的とされ、さらにポジティブへと変わり始めた背景となってきた。外貨準備高の減少が再び顕著となる場合には格付け機関による評価も再び悪化してリラ安が加速するきっかけとなりかねないため、今週のネットでの増加は一安心を与えている印象だ。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月30日早朝への下落で弱気転換目安とした4.86円を割り込んだため、30日午前時点では27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして31日朝から2月2日朝にかけての間への下落を想定したが、2月1日早朝へ急落後にいったん戻してから再び失速したため、2月1日午前時点では1月31日未明高値をサイクルトップとした弱気サイクル入りとして2月2日午前から6日午前にかけての間への下落を想定した。
2月2日午前へ続落しているので引き続きボトム形成中とし、強気転換は4.86円を超える反騰からとする。

60分足の一目均衡表では2月1日早朝への急落時に遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月1日早朝の30ポイント割れから戻したものの50ポイント前後が抵抗となり2月2日午前には40ポイントを割り込んでいるのでまだ下落余地ありとし、下げ足が速まる場合は20ポイント以下への低下を想定する。強気転換は55ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持して指数の高値を切り上げてゆくような上昇が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.80円を下値支持線、4.84円を上値抵抗線とする。
(2)4.84円を下回るうちは一段安警戒とし、4.80円割れからは4.78円、4.76円前後を順次試す下落を想定する。4.77円以下は反騰注意とするが、4.84円を下回っての推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.84円から4.86円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいと注意し、その後に4.82円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

2月5日
 16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (12月 2.93%、予想 6.49%)
 16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 64.77%、予想 64.52%)
 16:00 1月 コアCPI 前月比 (12月 2.3%)
 16:00 1月 コアCPI 前年同月比 (12月 70.6%)
 16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (12月 1.14%)
 16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 44.22%)
2月8日
 20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 グロス (1月26日時点 891.5億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 2月2日時点 ネット (1月26日時点 306.8億ドル)
2月9日
 16:00 12月 鉱工業生産 前月比 (11月 -1.4%)
 16:00 12月 鉱工業生産 前年同月比 (11月 0.2%)


注:ポイント要約は編集部

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