ドル円見通し FOMC後の反騰を解消して一時146円を割る(24/2/2)

米週間新規失業保険申請件数が悪化したことで米長期債利回りが低下したことも重なってドル安感が優勢となったためにドル円は2日未明安値で145.89円を付けた。

ドル円見通し FOMC後の反騰を解消して一時146円を割る(24/2/2)

ドル円見通し FOMC後の反騰を解消して一時146円を割る

〇ドル円、2/1日中は146円台後半中心の揉み合い、その後ドル安感優勢で2/2未明安値145.89を付ける
〇2/2早朝には146.47まで戻す、しかし1/19高値148.80を当面のピークとした下落継続感強まる
〇今夜は1月米雇用統計発表、予想よりも低調な場合はドル円が一段安へ向かう可能性も
〇英中銀は金利を据え置き早期利下げ期待をけん制、ポンド上昇、ユーロもつれ高でドル安感が優勢に
〇米10年債・30年債利回りは4営業日連続低下、NYダウは連騰で史上最高値を更新、ナスダックも上昇
〇146.75を下回るうちは一段安警戒とし、145.89割れからは145円台前半への下落を想定する
〇146.75超えからは147.11試しとし、147.11超えからは147円台中盤への上昇を想定する

【概況】

ドル円は2月1日早朝の米FOMC通過後に146.00円から147.44円へ反騰したが、勢いは続かずに1日の日中は146円台後半中心の揉み合いとなり147円台を付けるところを売られて上値が重くなっていた。2月1日夜に英中銀が政策金利を据え置いた上で早期利下げ期待をけん制したことでポンドが上昇してユーロもつれ高となり、米週間新規失業保険申請件数が悪化したことで米長期債利回りが低下したことも重なってドル安感が優勢となったためにドル円は2日未明安値で145.89円を付けた。
米ISMの1月製造業景況指数が予想を上回ったことにより米長期債利回りが大幅低下後の上昇を続けたためにドル円は146円割れを買い戻されて2日早朝には146.47円まで戻した。しかしFOMC通過後に一段安したことにより1月19日高値148.80円を当面のピークとした下落継続感が強まりつつある。
今夜は1月米雇用統計の発表があるが、予想よりも低調な数字となる場合はドル円が一段安へ向かうことも警戒される。

【英中銀 金利据え置き、一部に利上げ主張も】

2月1日に英中銀は政策金利を4会合連続で5.25%に据え置いた。市場予想通りだったが、会合出席の委員9人中2人が0.25%の追加利上げを主張し1人が0.25%利下げを主張した。中銀はこれまでの声明文にあった追加利上げの可能性を示す文言を削除し、据え置き期間については「検討中」としたが、ベイリー総裁は「インフレ率が目標の2%まで完全に下がり、そこにとどまるさらなる証拠を見るまでは金利を引き下げることはできない」と述べて市場の早期利下げ期待をけん制した。英国の12月CPIは前年比4.0%で2022年10月の11.1%からは大幅に低下しているもののまだ水準は高い。
英中銀の早期利下げ期待後退によりポンドが上昇、米国の新規失業保険申請件数が悪化したことでユーロ等も上昇してドル安感が優勢となった印象だ。

【米新規失業保険申請件数は2週連続悪化】

2月1日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は1月27日までの週間で前週比9000件増の22万4000件となり2週連続で悪化して市場予想の21万2000件を上回った。失業保険受給者総数は1月20日までの週間で189万8000人となり前週から7万人増加して市場予想の184万人を大幅に上回った。
1月31日の米ADP民間雇用者数が低調だったこともあり、2月2日夜の米労働省雇用統計も冴えない数字となるのではないかとの思惑を助長し、米長期債利回り低下要因となった。
S&Pグローバルによる1月の米製造業PMI確報値は50.7となり速報の50.3から上方修正され、12月確報の47.9から改善した。また米サプライ管理協会(ISM)による1月の米製造業景況指数は49.1となり12月の47.1(47.4から下方修正)から上昇して市場予想の47.0を上回った。これらの改善は米長期債利回り低下にブレーキを掛けた。

【米10年債利回りは4営業日連続低下、NYダウは連騰で史上最高値を更新】

2月1日の米長期債利回りは概ね低下した。
長期金利指標の10年債利回りは前日比0.03%低下の3.88%となった。1月29日から4営業日連続の低下となり、一時は3.82%まで大幅低下したが終盤は低下し過ぎとして修正的な上昇を見せた。FOMCを通過して米国の3月利下げ期待度は大幅に低下したもの、利下げ開始への準備が整いつつあり後は時間の問題として5月利下げ開始への期待度は高く、米10年債利回りも5月利下げを見込んで低下している印象だ。
30年債利回りも前日比0.05%低下の4.12%となり4営業日連続で低下、2年債利回りは1月31日に前日比0.13%低下し、1日は一時4.15%まで続落したが終盤へ戻して前日と変わらずの4.21%で終了した。
ニューヨーク州の地銀ニューヨーク・コミュニティ・バンコープが赤字決算により1月31日に大幅下落して2月1日も続落したことで地銀へのリスクが意識されていることも米国債への安全資産買いとして利回り低下要因となったようだ。

しかしNYダウは地銀リスクを警戒しつつも前日比369.54ドル高と大幅上昇して2日ぶりに史上最高値を更新、ナスダック総合指数も197.63ポイント高と上昇しており、株式市場は先行きの利下げ想定による先高期待が続いている。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は2月1日早朝に146.00円まで一段安してから147.44円へ急伸したが、2月2日未明に145.89円まで下げて1月19日高値148.80円以降の安値を更新した。146円割れから戻しているものの勢いに欠けるためまだ一段安余地ありとみる。
1月30日深夜安値を基準とすれば目先の安値形成期は2月2日夜から6日深夜にかけての間と想定されるが、2月1日早朝安値を基準とすれば6日早朝から8日早朝にかけての間へと安値形成期が延びる可能性もある。ただし、FOMC通過後は乱調な展開のため、今夜の米雇用統計から大きく反騰する場合は上昇期入りとみて2日深夜から6日深夜にかけての間への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では、2月1日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落したが、2日未明へ一段安したために両スパンともに悪化状態にある。先行スパンからの転落中は一段安警戒として遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、乱調な展開が続いているので先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月2日未明の40ポイント割れからやや戻しているが2月1日早朝以降は50ポイント前後が抵抗となっている。次に40ポイントを割り込むところからは下落再開とし、一段安へ進む場合は20ポイント前後への低下を想定するが、55ポイントを超えてからも50ポイント以上を維持し始める場合は反騰入りの可能性ありとし、60ポイント超えからは70ポイント台への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、2月2日未明安値145.89円を下値支持線、2月1日夜高値147.11円を上値抵抗線とする。
(2)146.75円を下回るうちは一段安警戒とし、145.89円割れからは145円台前半への下落を想定する。145.30円以下は反騰注意とするが、146円以下での推移か直前安値から1円を超える反騰がみられない場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)146.75円超えからは147.11円試しとし、147.11円超えからは147円台中盤(147.35円から147.65円)への上昇を想定する。147.50円以上は反落警戒とするが、米雇用統計をきっかけに急騰する場合は148円に迫る可能性もあると考える。

【当面の予定】

2/2(金)
22:30 (米) 1月 非農業部門雇用者数 前月比 (12月 21.6万人、予想 18.0万人)
22:30 (米) 1月 失業率 (12月 3.7%、予想 3.8%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前月比 (12月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前年同月比 (12月 4.1%、予想 4.1%)
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 2.6%、予想 0.2%)
24:00 (米) 1月 ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値 (速報 78.8、予想 78.9)


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