正念場の豪ドル、RBAが早期利下げ検討ならば一段安に
【今週の豪ドル】
今週の豪ドルは、第4四半期CPI鈍化を受けて、利下げ観測が高まり、豪ドル売り優勢の地合いとなった。
1月31日、オーストラリア統計局が発表した2023年第4四半期のCPIの上昇率は2年ぶりの低水準となった。コアインフレ率も大幅に鈍化し、オーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)の利下げ観測が強まる格好となった。
前年比の伸びは4.1%と市場予想4.3%の伸びを下回ったほか、前期の5.4%からは縮小。2022年第4四半期の7.8%を大きく下回った。また、コアインフレ率の指標として注目されるCPIの中銀トリム平均値は前期比0.8%上昇とこちらも市場予想(同0.9%上昇)を下回った。前年比の上昇率は前期の5.2%から4.2%に減速した。
先物市場では、5月の豪中銀会合で最初の利下げが行われる確率は50%前後と、統計発表前の30%から上昇。2024年に予想される利下げ幅は計42ベーシスポイント(bp)から52bpに拡大した。
発表前97円50銭水準で推移していた豪ドルは、CPI発表後から下落を開始。米1月ADP雇用統計などが市場予想を下回ったため、米国も早期の利下げ観測が強まったことでドル売りが加速し豪ドルもつれ安の展開に。2月1日には95円55銭まで下落。12月19日以来の水準まで下落した。
豪ドル・円(東京時間:1月29日―2月2日(終値は9時台終値を参照))※Investing.comの日足を参照
始値:97円51銭
高値:97円72銭
安値:95円50銭
終値:96円31銭
【来週の重要指標】
※時間は東京時間
2月5日
9時30分、12月貿易収支、前回:114.37億豪ドル 市場予想:110.00億豪ドル
2月6日
9時30分、第4四半期小売売上高(インフレ調整前)、前回:0.2%
☆12時30分、RBA政策金利、前回:4.35%、市場予想:4.35%
※予定は変更することがございます。
【来週の見通し】
来週の豪ドルは、2月6日のRBA会合が注目ポイントとなる。
第4四半期CPIの鈍化で、市場は早期の利下げを織り込み始めている。さすがに2月会合での利下げは想定されていないが、豪中銀会合の声明およびブロックRBA総裁の発言で、利下げに関するスタンスがどの程度含まれるか注目だ。
昨年12月会合において、ブロックRBA総裁は4.35%据え置きの背景について、「国内経済は概して予想どおりで、10月のCPI上昇率が前年比4.9%と、9月の同5.6%から鈍化したことを挙げた。
今後の経済の見通しについて、RBAは、オーストラリアでも海外と同様、財価格のインフレ率は緩やかになりつつある一方、サービス価格の上昇が高い状態が続いていることを踏まえて、「依然として大きな不確定性がある」とコメント。
雇用については、労働市場は徐々に緩和されているが、引き続き逼迫状態は続いているとした。また、RBAは12月会合にて政策金利を据え置くことで、需要、インフレ、労働市場の3点について、これまでの利上げの影響を評価する時間ができると説明した。
この発言を考慮すると、今回のCPIはインフレ抑制を想定させる数値に近づいていると言えよう。また、12月雇用統計も市場予想を下振れていたことから、市場が早期の利下げを織り込み始めるのも仕方ない。RBA会合の結果、3月会合利下げを織り込む動きは強まれば、豪ドルはもう一段下落する可能性があろう。
短期的なテクニカル面では、一目均衡表では雲を下抜けたほか、遅行スパンも実線を割り込んでおりトレンドは悪化。また、100日移動平均線を明確に下抜けており、下値を探る格好と言えよう。
ただ、中期的には7月28日の安値91円79銭、10月3日の安値92円99銭、12月安値の93円77銭を結んだ下値支持線がなんとか意識されており、長い下影(下ヒゲ)を2月1日に残している。このサポートが効いている限りは下値切り上げのトレンドは継続と考えられるが、ギリギリの状況か。豪ドルは正念場を迎えている。
豪ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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