トルコリラ円見通し ドル円の乱高下を追いかけるも1日早朝への下落幅解消に至らず(24/2/1)

トルコリラ円の1月31日は概ね4.87円から4.81円の取引レンジ、2月1日早朝の終値は4.84円で前日終値の4.86円からは0.02円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し ドル円の乱高下を追いかけるも1日早朝への下落幅解消に至らず(24/2/1)

ドル円の乱高下を追いかけるも1日早朝への下落幅解消に至らず

〇トルコ円、ドル円急落を追いかけ2/1早朝4.81へ下落、ドル円反騰で4.86まで戻した後に4.82へ下げる
〇今後はドル円の下落への警戒感をやや強める状況か
〇対ドル、1/31は概ね30.38から29.96の取引レンジ、史上最安値近辺での推移続く
〇2/5発表予定のトルコインフレ指標、予想以上の上昇となる場合、リラ売り攻勢強まる可能性
〇1/31発表の貿易収支、前月から若干赤字拡大、昨年1月以降徐々に縮小傾向だが黒字転換へ進めず
〇4.86を下回るうちは一段安警戒とし、4.81割れからは4.79、4.77前後を順次試す下落を想定
〇4.86から4.88手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいところとする

【ドル/トルコリラは史上最安値近辺での推移続く】

ドル/トルコリラの1月31日は概ね30.38リラから29.96リラの取引レンジ、2月1日早朝の終値は30.32リラで前日と変わらずだった。
トルコ中銀が1月25日に8会合連続の利上げで政策金利を2.5%利上げて45.0%としたものの、インフレ対策としての利上げ終了を示唆したことを市場は不服として追加利上げ催促のリラ売りとなり、1月26日には30.57リラへと取引時間中の史上最安値を更新した。その後は新たな最安値更新を回避しているものの、終値ベースでは1月24日から30日まで5営業日連続で史上最安値を更新し、1月31日終値も前日と同値水準としている。
市場の関心は2月5日発表予定の1月トルコ消費者物価指数等のインフレ指標へ向いているが、1月30日にロイター社が集計した事前予想では消費者物価指数の前月比は12月の2.93%から6.49%へと伸びが加速し、前年比も12月の64.77%に対して64.52%で高止まりすると見込まれており、予想以上の上昇となる場合には追加利上げ催促によるリラ売り攻勢が強まりかねないと懸念される。

1月19日に発表されたトルコ中銀調査における企業トップやエコノミストによる2024年末の消費者物価上昇率は42.04%で今後は徐々にインフレが鎮静化してゆき、政策金利は45.0%をピークとして1年後には36.54%まで引き下げられると見込んでいるが、2024年末の為替予想は1ドル39.9958リラであり、見込み通りにインフレが低下したとしてもリラ安基調は変わらないと予想されている。

【貿易赤字は若干拡大】

1月31日に発表されたトルコの12月貿易統計確報では、貿易収支が60.4億ドルの赤字となり赤字額は11月の59.2億ドルから若干拡大した。貿易赤字は2023年1月に142.77億ドルまで膨れ上がったが、その後は徐々に縮小傾向にあるものの、2023年9月以降は50億ドル台から60億ドル台のレンジで安定しており、貿易黒字への転換へ進めずにいる。
12月の輸出は230億ドルで11月とかわらず2023年7月以降は徐々に拡大しているものの230億ドル前後では頭打ち感も見られる。一方の輸入は291.1億ドルで11月の289.3億ドルから若干増だったが2023年10月以降は290億ドル前後で頭打ちとなっている。リラ安が輸出促進とはなるもののリラ安による輸入インフレが悪影響を招く状況も続いている。

1月31日に発表された昨年10−12月期の観光収入は122.7億ドルで観光シーズン最盛期である7−9月期の202.3億ドルからは減少したが、2022年10-12月期の114.95億ドルを上回った。リラ安が海外観光客の購買意欲を高めているため、トルコの経常収支改善には貢献しているものの、パレスチナ・イスラエル戦争の長期化、周辺での軍事衝突の拡大や紅海航路の危険度が増していること等は海外観光客の足を鈍らせかねないと懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月26日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、4.86円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、1月30日早朝への下落で4.86円を割り込んだため、30日午前時点では27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして31日朝から2月2日朝にかけての間への下落を想定した。
2月1日早朝へ急落後にいったん戻したものの再び失速気配のため、1月30日午前安値を直近のサイクルボトム、31日未明高値を同サイクルトップとした弱気サイクル入りと改めて2月2日午前から6日午前にかけての間への下落を想定する。強気転換は4.88円超えからとする。

60分足の一目均衡表では2月1日早朝への急落時に遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落した。2月1日早朝の反騰時には遅行スパンが好転できず、先行スパンへ潜り込んでから再び転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月1日早朝への下落時に30ポイントを割り込み、その後の反発時に50ポイントまで戻したものの再び失速気味となっている。55ポイント超えからは上昇継続とみて60ポイント台前半への上昇を想定するが、40ポイント以下での推移が続く場合は20ポイント前後への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.81円を下値支持線、4.86円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を下回るうちは一段安警戒とし、4.81円割れからは4.79円、4.77円前後を順次試す下落を想定する。4.78円以下は反騰注意とするが、4.86円を下回っての推移なら2月2日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.86円から4.88円手前にかけての水準は戻り売りにつかまりやすいところとし、その後に4.84円を割り込むところからは下げ再開とみる。

【当面の主な予定】

2月1日
 16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 47.4)
 20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 グロス (1月19日時点 903.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 ネット (1月19日時点 236.5億ドル)
2月5日
 16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (12月 2.93%、予想 6.49%)
 16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 64.77%、予想 64.52%)
 16:00 1月 コアCPI 前月比 (12月 2.3%)
 16:00 1月 コアCPI 前年同月比 (12月 70.6%)
 16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (12月 1.14%)
 16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 44.22%)

注:ポイント要約は編集部

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