ドル円が148円手前から失速、トルコリラ円も上値重い
〇トルコリラ円、短期的にはドル円の騰落を見ながら推移、1/30は概ね4.87から4.84の取引レンジ
〇日銀1月会合主な意見で「マイナス金利解除の判断が遅れると急激な引き締め必要となるリスク」指摘
〇1/31午前序盤ドル円が147.10台へ失速。トルコ円も4.85割り込む
〇対ドル、終値ベースで5営業日連続史上最安値を更新。市場は追加利上げ催促のリラ売り継続
〇2/5に1月トルコCPIなどインフレ指標発表予定。高止まりが予想され中銀は難しい判断を強いられる
〇4.88を下回るうちは一段安警戒とし、4.84割れからは4.82、4.80前後を順次試す下落を想定
〇4.88超えからは4.90前後試しを想定する。4.90前後では戻り売りにつかまりやすいと注意
【概況】
トルコリラ円の1月30日は概ね4.87円から4.84円の取引レンジ、31日早朝の終値は4.86円で前日終値と変わらなかった。
ドル/トルコリラでは取引時間中の史上最安値更新が回避されているものの終値ベースでは1月30日も5営業日連続で史上最安値を更新していることでトルコリラ円にはリラ安圧力が続いている。短期的にはドル円の騰落を見ながら推移しているもののドル円も148円台に繰り返し到達したところを売られて上値が重く、トルコリラ円も4.90円台を維持できずにいる。
ドル円は日銀会合を挟んだ乱高下が落ち着いて1月24日深夜安値146.65円から29日午前高値148.33円まで戻したものの米長期債利回り低下を見て失速して30日深夜に147.09円まで下げた。24時発表の米求人件数が予想外に増加して消費者信頼感指数も前月から改善したことで31日未明に147.92円まで反発したが、米長期債利回りが一時的上昇後に低下して29日から続落となったために31日午前には147.10円台へ失速している。
日銀の1月会合における主な意見において「マイナス金利解除の判断が遅れた場合、急激な引き締めが必要となるリスク」が指摘されていたことが31日午前序盤の円高要因となったようだ。
トルコリラ円は1月27日早朝の一時的上昇で4.94円を付けたところから下落に転じており、29日午前からドル円が軟調推移に入ったのを見て30日早朝にかけてジリ安の推移となり、30日午前に一時的な安値で4.81円を付けてから下げ渋り、31日未明にドル円が反騰したところで4.87円まで戻したものの、31日午前序盤にドル円が失速したのを見て4.85円を割り込んでいる。
1月中盤からは一時的な高値を除いて徐々に戻り高値が切り下がり、その後の安値も切り下がり基調にある。2月1日早朝の米FOMCや週末の米雇用統計等によりドル円が急伸すればトルコリラ円もドル円を追いかけて4.90円台前半へ戻す可能性があるが、FOMC等を通過してドル円が下げるようだと、ドル高リラ安に加えて円高も重なることでトルコリラ円の下げ足が速まる可能性もあると注意したい。
【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値更新続く】
ドル/トルコリラの1月30日は概ね30.43リラから30.15リラの取引レンジ、31日早朝の終値は30.32リラで前日終値の30.31リラから0.01リラのドル高リラ安だった。
1月25日にトルコ中銀が2.5%利上げを決定して政策金利を45.0%へ引き上げたもののインフレ対策としての利上げサイクル終了の見通しを示したため、市場は追加利上げがまだ必要とみてリラ売りを継続し、1月26日に30.57リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した。その後は新たな安値更新には至らずにいるが、終値ベースでは1月24日から30日まで5営業日連続で史上最安値を更新した
1月30日に発表されたトルコの1月経済信頼感指数は99.4となり12月の96.4から改善した。2か月連続の改善で昨年8月の94.2をボトムとして持ち直し傾向にあるものの7か月連続で100の大台を割り込んでおり、景気の強さを示すには至らずにいる。
【1月のトルコCPIは高止まり予想】
2月5日に1月のトルコCPI(消費者物価指数)などインフレ指標の発表がある。1月30日にロイター社がまとめた事前予想中央値では全体のCPI上昇率は前月比6.49%で12月の2.93%から伸びが加速し、前年同月比は64.52%で12月の64.77%からわずかに鈍化すると見込まれているが、予想レンジは62.70%から66.20%と広く伸びがさらに加速するとの見方もある。
コア指数の上昇率についての事前予想はないが、12月は前月比2.3%、前年比70.6%と高く、これまでのトルコ中銀による連続利上げではまだインフレが抑え込めずに高水準を維持するかさらに上昇する可能性があることを示唆している。
1月のコア指数上昇率が加速するようだと市場は追加利上げを催促したリラ売りの勢いが増すことも懸念されるが、2024年末にかけてのドル/トルコリラ水準に対する市場予想は1ドル34リラから36リラとされており、利上げ継続による景気後退リスクとインフレ高進リスクを天秤にかけながら中銀は難しい判断を強いられることになる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月26日午前の一時的な安値から持ち直して27日早朝に一時4.94円まで上昇したために1月26日午前安値をサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、4.86円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、1月30日早朝への下落で4.86円を割り込んだため、30日午前時点では27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして31日朝から2月2日朝にかけての間への下落を想定した。
1月31日未明へ小反発してから失速気味のためまだ一段安余地ありとするが、4.89円超えからは直前安値をボトムとした強気サイクル入りと改めて2月1日未明から3日早朝にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では31日未明への反騰時に遅行スパンが好転しかけたものの失速し、先行スパン下限には届かずに転落状態を続けているため、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月31日未明への上昇時に60ポイントに迫ったもののその後の反落で50ポイントを割り込んでいるので30ポイント以下への低下余地ありとみるが、55ポイント超えからは上昇再開と仮定して60ポイント台への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.84円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を下回るうちは一段安警戒とし、4.84円割れからは4.82円、4.80円前後を順次試す下落を想定する。4.80円以下は反騰注意とするが、4.87円を下回っての推移なら2月1日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.88円超えからは4.90円前後試しを想定する。4.90円前後では戻り売りにつかまりやすいと注意するが4.88円を上回っての推移なら2月1日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
1月31日
16:00 12月 貿易収支 (11月 -59.2億ドル)
16:00 10-12月 海外観光収入 (7−9月 202.3億ドル)
17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 -1.0%)
2月1日
16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 47.4)
20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 グロス (1月19日時点 903.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 ネット (1月19日時点 236.5億ドル)
2月5日
16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (12月 2.93%、予想 6.49%)
16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 64.77%、予想 64.52%)
16:00 1月 コアCPI 前月比 (12月 2.3%)
16:00 1月 コアCPI 前年同月比 (12月 70.6%)
16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (12月 1.14%)
16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 44.22%)
注:ポイント要約は編集部
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