トルコリラ円見通し 4.90円台を維持できず、ドル円の下落を見て失速
〇トルコ円、ドル円軟調推移を見て1/30早朝にかけてジリ安の推移となり、1/30午前に4.85を割り込む
〇今週は米FOMC、雇用統計と重要イベントが続く、トルコリラ円もドル円の騰落に振り回される可能性
〇対ドル、1/29は概ね30.37から30.12の取引レンジ、終値ベースで4営業日連続で史上最安値更新
〇トルコ中銀、リラ保護預金の準備率引き下げを発表、外貨預金の準備率引き上げが思惑か
〇4.88を下回るうちは一段安警戒とし、4.83割れからは4.80前後への下落を想定する
〇4.88超えからは、4.90前後試しを想定する
【概況】
トルコリラ円の1月29日は概ね4.90円から4.85円の取引レンジ、30日早朝の終値は4.86円で先週末終値4.89円からは0.03円の円高リラ安だった。
ドル/トルコリラにおけるドル高リラ安が続く中、昨年末からのトルコリラ円はドル円の上昇を見ながら戻してきたが、4.90円台前半に抵抗感がみられて上値が重くなり、1月24日に4.95円を付けた後は高値更新へ進めずにいる。
ドル円は1月29日午前に148.33円を付けて日銀金融政策決定会合を挟んだ乱高下で付けた1月24日深夜安値146.65円以降の高値を更新したものの148円台を維持できず、米長期債利回り低下によるドル安を見て30日早朝には147.23円へ失速し、30日午前序盤も軟調な推移となっている。
トルコリラ円は1月27日早朝の一時的上昇で4.94円を付けたところから下落に転じており、29日午前からドル円が軟調推移に入ったのを見て30日早朝にかけてジリ安の推移となり、30日午前には4.85円を割り込んでいる。
今週はFOMC(2月1日早朝に声明発表、議長会見)が最大の焦点になるが、今夜の米JOLTS求人件数や2月1日の米ISM製造業景況指数、2月2日の米1月雇用統計と重要イベントが続くため、米国の利下げ開始時期への思惑が交錯してドル円も波乱含みとなりやすく、トルコリラ円もドル円の騰落に振り回される可能性があると注意したい。
【ドル/トルコリラは終値ベースの史上最安値を連日更新】
ドル/トルコリラの1月29日は概ね30.37リラから30.12リラの取引レンジ、30日早朝の終値は30.31リラで先週末終値30.27リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
1月25日にトルコ中銀が2.5%利上げを決定して政策金利の週間レポレートを45.0%としたが、インフレ対策としての利上げサイクルが終了との見通しを示したことを不服として市場は追加利上げ催促のリラ売りを継続しており、1月26日には30.57リラを付けて取引時間中の史上最安値を更新した。その後は新たな安値更新を回避しているものの、終値ベースでは1月24日から29日まで4営業日連続で史上最安値を更新している。
【リラ保護預金の準備率引き下げ、外貨預金の準備率を引き上げ】
トルコ中銀は1月30日以降、為替差損を補填するリラ保護預金制度=KKM預金について、金融機関による必要準備金を満期まで6か月以内を対象に現行の30%から25%に引き下げ、外貨預金口座についての必要準備率を従来の4%から8%に引き上げると発表した。KKM口座に対する必要準備金は依然として高水準のため、今回の改定では外貨預金の準備率を引き上げることにより通常のリラ預金から外貨預金への流出を規制したいという思惑が示されている。
トルコ中銀は1月25日に8会合連続利上げを決定した上で利上げ終了を示唆したが、国内の高インフレは収まらずまだ高進していること、リラ安の歯止めがかかっていないことで外貨預金への流出が続けばリラ安がさらに続いて通貨インフレの悪影響も続きかねないという懸念が背景にあると思われる。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月26日午前の一時的な安値から持ち直して27日早朝に一時4.94円まで上昇したため、29日午前時点では1月23日午前安値から3日目となる26日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、トップ形成期を27日早朝から31日朝にかけての間として4.86円を上回るうちは上昇余地ありとしたが、4.86円割れからは弱気サイクル入りとした。
1月30日早朝への下落で4.86円を割り込んだため、27日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして31日朝から2月2日朝にかけての間への下落を想定する。30日の上値抵抗線は4.88円までとし、4.88円超えからは強気転換注意として4.90円前後への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では30日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンから転落中は遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンへ潜り込むところからは上昇再開の可能性ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は1月27日早朝の一時的上昇で70ポイントを超えたものの30日午前には30ポイントまで低下している。50ポイント以下での推移中は一段安余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは反騰入りとして60ポイント台中盤への上昇を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.83円を下値支持線、4.88円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を下回るうちは一段安警戒とし、4.83円割れからは4.80円前後への下落を想定する。4.80円以下は反騰注意とするが、4.88円を下回っての推移なら31日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.88円超えからは4.90円前後試しを想定する。4.90円前後では戻り売りにつかまりやすいと注意するが4.88円を上回っての推移なら31日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
【当面の主な予定】
1月30日
16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 96.4)
1月31日
16:00 12月 貿易収支 (11月 -59.2億ドル)
16:00 10-12月 海外観光収入 (7−9月 202.3億ドル)
17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 -1.0%)
2月1日
16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 47.4)
20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 グロス (1月19日時点 903.7億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 ネット (1月19日時点 236.5億ドル)
2月5日
16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (12月 2.93%)
16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 64.77%)
16:00 1月 コアCPI 前月比 (12月 2.3%)
16:00 1月 コアCPI 前年同月比 (12月 70.6%)
16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (12月 1.14%)
16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 44.22%)
注:ポイント要約は編集部
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