ドル円見通し 米長期債利回り低下を見て147円台前半へ下落、FOMC待ち(24/1/30)

米長期債利回りの低下を見てドル安優勢となる中で30日早朝には147.23円まで安値を切り下げた。

ドル円見通し 米長期債利回り低下を見て147円台前半へ下落、FOMC待ち(24/1/30)

ドル円見通し 米長期債利回り低下を見て147円台前半へ下落、FOMC待ち

〇ドル円、1/29午前序盤148.33を付け1/24安値146.65以降の高値を更新するも、148円台を維持できず
〇その後米長期債利回りの低下を見てドル安優勢となる中で、1/30早朝147.23まで安値を切り下げる
〇市場は米FOMC待ち、今週末の雇用統計等も注目される
〇米長期債利回りは総じて低下、NYダウは3営業日連続で史上最高値更新、ナスダックも上昇
〇147.70以下での推移中は一段安警戒、147円割れから続落なら1/24安値146.65前後への下落を想定する
〇147.70超えからは、148円前後試しを想定する

【概況】

ドル円は1月29日午前序盤に148.33円を付けて1月24日深夜安値146.65円以降の高値を更新したものの148円台を維持できず、米長期債利回りの低下を見てドル安優勢となる中で30日早朝には147.23円まで安値を切り下げた。
市場は1月30−31日開催の米FOMC(連邦公開市場委員会=金融政策決定会合)待ちに入っているが、この日発表された米財務省の1−3月期定例入札規模が前四半期を下回ったことで米国債需給緩和感が後退して債券買い・利回り低下傾向を示したことがドル売り円買いを助長したようだ。

1月19日に148.80円を付けて昨年12月28日安値140.24円以降の最高値とした後は高値更新へ進めず、1月24日未明高値148.69円から29日午前高値148.33円へと高値ラインが切り下がっている。1月23日の日銀金融政策決定会合を通過した後の乱高下で付けた1月24日深夜安値146.65円を割り込まずに147円割れを買い戻される展開なら148円台後半を上値抵抗帯として146円台後半を下値支持帯とした高値圏持ち合い相場に留まって持ち合い上放れからの一段高へ進む可能性が期待されるが、1月24日深夜安値を割り込む場合は昨年12月28日安値を起点とした上昇一巡による下落期入りという印象が強まる可能性がある。いずれに進むのか、2月1日早朝発表のFOMC声明とパウエル議長会見内容、今週末の米1月雇用統計等に対する反応で決まってくるのだろうと思われる。今夜は米JOLTS求人件数、コンファレンスボードの消費者信頼感指数が注目される。

【米長期債利回りは総じて低下、NYダウは連日の史上最高値更新】

1月29日の米長期債利回りは米財務省の借り入れ見通しが下方修正されたことで総じて低下した。米財務省は第1四半期の政府借り入れ見通しを7600億ドルとし、昨年10月時点からは550億ドル下方修正した。
長期金利指標の米10年債利回りは先週末比0.06%低下の4.08%となった。米国の早期利下げ期待により昨年10月23日につけた5.02%をピークとして12月27日につけた3.78%まで大幅低下し、FRB高官らの早期利下げけん制発言が相次いだことにより3月利下げ期待度が低下する中で上昇を再開して1月19日には一時4.20%をつけた。しかしその後は上昇も頭打ちとなり、1月25日に再び4.20%をつけた後は失速して29日は一時4.06%をつけている。
30年債利回りは先週末比0.05%低下の4.32%となった。昨年10月23日に5.18%をつけたところをピークとして12月27日の3.94%まで低下し、早期利下げ期待の後退による上昇で1月24日には一時4.42%をつけたが、その後は頭打ちの様相で29日は一時4.30%まで低下した。

政策金利動向に敏感な2年債利回りは先週末比0.03%低下の4.32%となった。昨年10月19日に5.26%をつけたところをピークとして1月12日には4.12%まで大幅低下してきたが、早期利下げ期待の後退による反騰で1月19日に4.42%まで戻した後は失速しており、1月26日に一時4.28%までで低下してからは下げ渋っているものの反騰一巡の様相を見せている。
今週のFOMCが早期利下げへのけん制姿勢を強調するならば長期債利回りが再上昇してドル円も一段高へ進む可能性があるが、3月利下げの可能性は低いとしても5月利下げ開始期待が高まるようだと長期債利回りが一段と低下してドル円も一段安へ向かうことも考えられ、FOMCに対する反応が米雇用統計でさらに助長される可能性もあるため、3月へ向けた流れを大きく左右することになるのではないかと思われる。

一方、米国株高は継続しており、NYダウは先週末比224.02ドル高と上昇し、3営業日連続で史上最高値を更新し、ナスダック総合指数も172.68ポイント高と上昇して2022年10月以降の最高値を更新している。利下げ開始が多少先送りされても年内3回利下げ想定は変わらず先行きの株高要因になるとの期待が根強い印象だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は1月24日深夜安値146.65円から戻してきたが、1月29日午前高値148.33円で目先のピークを付けて下落期に入っている。1月24日深夜安値を基準とすれば目先の安値形成期は30日早朝から31日深夜にかけての間と想定されるためまだ下落余地ありとみる。FOMC声明発表前にはいったん買い戻しも入りやすいのではないかと思われ、FOMC通過後に上昇反応なら2月2日午前から6日午前にかけての間への上昇を想定するが、FOMC前に一時戻してから一段安する場合は来週前半へ下落してゆく可能性が高まると思われる。

60分足の一目均衡表では、1月30日早朝への下落で遅行スパンが悪化して先行スパンからも転落しているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンからの転落が解消されないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところから下げ再開とするが、先行スパンを上抜き返すところからは上昇期入りとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は29日午前の60ポイント台前半から低下に転じて30日午前序盤は30ポイント台前半に付けている。50ポイント以下での推移中は20ポイント以下への低下余地ありとするが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行がみられる場合は反騰注意とし、50ポイント超えからは上昇期入りとみて60ポイント台中盤への上昇を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.00を下値支持線、147.70円を上値抵抗線とする。
(2)147.70円以下での推移中は一段安警戒とみる。147円前後は買われやすいとみるが147円割れから続落の場合は1月24日深夜安値146.65円前後への下落を想定する。146.70円以下は反騰注意とするが、147.50円以下での推移なら31日も安値試しへ進みやすいとみる。
(3)147.70円超えからは148円前後試しを想定する。148円台序盤(148.00円から148.25円)は戻り売りにつかまりやすいと注意するが147.70円を上回っての推移なら31日も高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

1/30(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
18:00 (独) 10-12月期 GDP・速報値 前期比 (7−9月 -0.1%、予想 -0.3%)
18:00 (独) 10-12月期 GDP・速報値 前年同期比 (7−9月 -0.4%、予想 -0.2%)
19:00 (欧) 1月 消費者信頼感・確定値 (速報 -16.1、予想 -16.1)
19:00 (欧) 1月 経済信頼感 (12月 96.4、予想 96.2)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP・速報値 前期比 (7−9月 -0.1%、予想 -0.1%)
19:00 (欧) 10-12月期 GDP・速報値 前年同期比 (7−9月 0.0%、予想 0.1%)

23:00 (米) 11月 連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (10月 0.3%、予想 0.3%)
23:00 (米) 11月 ケース・シラー住宅価格指数 前年同月比 (10月 4.9%、予想 5.8%)
24:00 (米) 1月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (12月 110.7、予想 115.0)
24:00 (米) 12月 JOLTS(雇用動態調査)求人件数 (11月 879.0万件、予想 875.0万件)

1/31(水)
08:50 (日) 日銀金融政策決定会合・主な意見(1月22-23日分)
08:50 (日) 12月 小売業販売額 前年同月比 (11月 5.3%、予想 4.9%)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産・速報値 前月比 (11月 -0.9%、予想 2.5%)
08:50 (日) 12月 鉱工業生産・速報値 前年同月比 (11月 -1.4%、予想 0.1%)
09:00 (NZ) 1月 ANZ企業信頼感 (12月 33.2)
09:30 (豪) 10-12月期 CPI(消費者物価指数) 前期比 (7−9月 1.2%、予想 0.8%)
09:30 (豪) 10-12月期CPI(消費者物価指数) 前年同期比 (7−9月 5.4%、予想 4.3%)
09:30 (豪) 12月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (11月 4.3%、予想 3.7%)
10:30 (中) 1月 国家統計局製造業PMI (12月 49.0、予想 49.2)

14:00 (日) 12月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (11月 -8.5%、予想 -6.6%)
14:00 (日) 1月 消費者態度指数・一般世帯 (12月 37.2、予想 37.5)
16:00 (独) 12月 小売売上高 前月比 (11月 -2.5%、予想 0.6%)
16:00 (独) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 -2.0%、予想 -1.9%)
17:55 (独) 1月 失業者数 前月比 (12月 0.50万人、予想 1.00万人)
17:55 (独) 1月 失業率 (12月 5.9%、予想 5.9%)
22:00 (独) 1月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前月比 (12月 0.1%、予想 0.3%)
22:00 (独) 1月 CPI(消費者物価指数)・速報値 前年同月比 (12月 3.7%、予想 3.0%)

22:15 (米) 1月 ADP非農業部門民間雇用者数 前月比 (12月 16.4万人、予想 14.3万人)
22:30 (米) 10-12月期 雇用コスト指数 前期比 (7−9月 1.1%、予想 1.0%)
23:45 (米) 1月 シカゴ購買部協会景気指数 (12月 46.9、予想 48.1)
24:30 (米) EIA週間石油在庫統計
28:00 (米) FOMC(連邦公開市場委員会)・政策金利 (現行 5.25-5.50%、予想 5.25-5.50%)
28:30 (米) パウエルFRB議長、記者会見


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