トルコリラ円見通し 4.90円台前半に抵抗感、対ドルでは史上最安値更新続く(24/1/29)

トルコリラ円の1月26日は概ね4.94円から4.83円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.89円で前日終値の4.87円からは0.02円の円安リラ高だった。

トルコリラ円見通し 4.90円台前半に抵抗感、対ドルでは史上最安値更新続く(24/1/29)

4.90円台前半に抵抗感、対ドルでは史上最安値更新続く

〇トルコ円、1/27日早朝終値4.89、一時的高値4.94つけるも元の水準へ押し返され4.90台前半は上値重い
〇1月後半は4.93から4.95までを上値抵抗帯としつつ、4.85以下を買われる持ち合いの様相
〇対ドル、1/27早朝終値30.27リラで取引時間中及び終値ベースの史上最安値更新
〇週足ベースで7週連続ドル高リラ安、月間では2022年9月から17か月連続で史上最安値更新
〇FOMCや米12月雇用統計きっかけにドル円が149円超えれば、トルコ円も5円目指す可能性
〇ドル円上昇が頭打ちか下落に転じ、ドル高リラ安続くなら4.80割り込んで下落再開感強まる懸念も
〇4.86上回るうちは上昇余地ありとし、4.92超えからは4.94前後試しとする
〇4.86割れからは4.84、4.82を順次試す下落を想定、4.83以下は反騰注意

【概況】

トルコリラ円の1月26日は概ね4.94円から4.83円の取引レンジ、27日早朝の終値は4.89円で前日終値の4.87円からは0.02円の円安リラ高だった。週間では1月19日終値4.90円から0.01円の円高リラ安だった。
トルコリラ円は昨年末からドル円の騰落を追いかけているものの、ドル高リラ安が続いていることに圧迫されて4.90円台前半では上値の重い展開だ。
ドル円は1月23日の日銀金融政策決定会合での金融緩和維持と植田総裁会見でのマイナス金利解除への言及で乱高下となり146.99円まで下げてから24日未明高値148.69円まで戻したが、1月19日高値148.80円には届かなかった。1月24日深夜に146.65円まで失速したところから持ち直しており、1月25日夜の米GDP速報や26日の米12月PCE統計を通過しながら徐々に安値を切り上げて27日未明には148.19円まで戻し、148.06円で週を終えた。

トルコリラ円は日銀会合後の乱高下から24日早朝高値4.95円へ上昇して年初来高値を更新し、24日深夜にかけてドル円が下落した局面で4.85円まで下げてからは下げ渋り、26日午前に一時的な安値で4.83円を付ける場面も見られたものの、27日未明にかけてドル円がジリ高推移したのを追いかけて4.89円まで戻した。27日早朝の取引終了前には一時的高値で4.94円を付けたものの早々に元の水準へ押し返されている。

【中勢は昨年8月からの下落一服による下げ渋り型の持ち合い】

トルコリラ円の1月後半は4.93円から4.95円までを上値抵抗帯としつつ4.85円以下を買われる持ち合いの様相だ。ドル円が昨年末以降の上昇トレンドを維持していることに合わせてトルコリラ円も徐々に戻り高値を切り上げてきているのだが、ドル円が昨年11月13日高値151.90円から12月28日安値140.24円までの下げ幅11.66円に対して1月19日高値148.80円までの上昇幅8.56円で73%を戻したのに対し、トルコリラ円は11月15日高値5.35円から12月29日安値4.70円までの下げ幅0.65円に対して1月23日高値4.95円までの上昇幅0.25円では38%戻しであり、昨年8月24日高値5.77円からの下げ幅1.07円に対しては23%戻しに過ぎないため、ドル高リラ安による売り圧力で上値が抑えられた状況から抜け出せていない印象だ。

トルコリラ円は2021年12月暴落以降、主要な安値は2022年の3月11日と8月2日、2023年の1月16日と7月18日であり概ね5か月から6か月周期の底打ちサイクルで推移している。2023年7月18日安値から5か月強となる昨年12月29日安値でこのサイクルの底を付けたと思われるが、反騰力に欠けていること、昨年8月24日高値からほぼ5か月を経過しているために日柄的には戻り一巡による下落再開へと進みかねないところだ。
今週の米FOMCや米12月雇用統計等をきっかけとしてドル円が149円を超える上昇を見せればトルコリラ円も5円を目指す可能性があるものの、ドル円の上昇が頭打ちとなるか下落に転じ、ドル高リラ安が続くならば4.80円を割り込んで下落再開感が強まることも懸念される。

【ドル/トルコリラは週末に取引時間中及び終値ベースの史上最安値更新】

ドル/トルコリラの1月26日は概ね30.57リラから29.83リラの取引レンジ、27日早朝の終値は30.27リラで前日終値の30.23リラからは0.04リラのドル高リラ安だった。
1月25日にトルコ中銀は8会合連続の利上げで政策金利を2.5%引き上げて45.0%としたが、インフレ抑制のための利上げサイクル終了を示唆したため、市場は追加利上げ催促のリラ売りを継続、26日は取引時間中及び終値ベースでの史上最安値を更新した。週間では1月19日終値30.20リラから0.07リラのドル高リラ安で、週足ベースでは12月15日の週から7週連続のドル高リラ安だったが、月間では2022年9月から17か月連続で史上最安値を更新しており、1月26日時点では12月末の29.48リラから0.79リラのドル高リラ安であり、月末終値ベースでは昨年9月から5か月連続のドル高リラ安気配となっている。

トルコ中銀は景気への悪影響を懸念してこれ以上の追加利上げに対して消極姿勢だが、12月時点のCPI前年比は全体で64.77%、コア指数で70.6%と異常な高水準であり、2月以降にインフレ鎮静化へ兆しが見えずに中銀が利上げを躊躇すれば、市場は追加利上げ催促によるリラ安を続け、リラ安が通貨インフレとしてCPIをさらに更新させる悪循環に陥ることも懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円における概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月26日朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとしてきたが、26日午前の一時的な安値から持ち直して27日早朝に一時4.94円まで上昇したため、1月23日午前安値から3日目となる26日午前安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとする。トップ形成期は27日早朝から31日朝にかけての間として4.86円を上回るうちは上昇余地ありとするが、4.86円割れからは弱気サイクル入りとして31日朝から2月2日朝にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では27日早朝への上昇で先行スパンを上抜いたものの早々に反落して先行スパンへ潜り込んでいる。先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下落期入りとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は1月27日早朝の上昇時に70ポイントを超えたものの50ポイント台序盤へ失速しているため、60ポイント超えからは上昇再開とするが、45ポイント割れからは下落期入りとみて30ポイント台前半への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.86円を下値支持線、4.94円を上値抵抗線とする。
(2)4.86円を上回るうちは上昇余地ありとし、4.92円超えからは4.94円前後試しとする。4.94円以上は反落警戒とするが、4.88円を上回っての推移なら30日も高値試しへ向かう可能性があるとみる。
(3)4.86円割れからは4.84円、4.82円を順次試す下落を想定する。4.83円以下は反騰注意とするが、4.86円を下回っての推移なら30日も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月30日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 96.4)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -59.2億ドル)
 16:00 10-12月 海外観光収入 (7−9月 202.3億ドル)
 17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 -1.0%)

2月1日
 16:00 1月 イスタンブール製造業PMI (12月 47.4)
 20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 グロス (1月19日時点 903.7億ドル)
 20:30 週次 外貨準備高 1月26日時点 ネット (1月19日時点 236.5億ドル)
2月5日
 16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前月比 (12月 2.93%)
 16:00 1月 CPI(消費者物価指数) 前年同月比 (12月 64.77%)
 16:00 1月 コアCPI 前月比 (12月 2.3%)
 16:00 1月 コアCPI 前年同月比 (12月 70.6%)
 16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前月比 (12月 1.14%)
 16:00 1月 PPI(生産者物価指数) 前年同月比 (12月 44.22%)



注:ポイント要約は編集部

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