トルコリラ週報『トルコ中銀による利上げサイクル終了示唆を受けて約1カ月ぶり高値圏から反落』(1/27朝)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、今週半ばにかけて、約1カ月ぶり高値4.95円まで上昇しましたが、週末にかけては再び反落に転じ、現在は4.88円前後で推移しています。

トルコリラ週報『トルコ中銀による利上げサイクル終了示唆を受けて約1カ月ぶり高値圏から反落』(1/27朝)

『トルコ中銀による利上げサイクル終了示唆を受けて約1カ月ぶり高値圏から反落』

〇今週のトルコ円、トルコ中銀による利上げ終了示唆等に週後半に4.82まで下落、4.88前後で越週
〇主要テクニカルポイントの下側で推移、一目均衡表の雲が垂れ下がってくる等、テクニカルの地合い弱い
〇ファンダメンタルズもトルコ経済先行き不透明感、インフレ昂進懸念、米利下げ後ずれ観測等が重石
〇今後はトルコ国内におけるインフレ動向に注目集まるか
〇引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00

今週のレビュー(1/22−1/26)

今週のトルコリラ円相場(TRYJPY)は、週初4.90円で寄り付いた後、(1)トルコ1月消費者信頼感指数(結果80.4、前回77.4)の良好な結果や、(2)外国人投資家マネーの流入期待(ムーディーズによる格付け見通しの上方修正や、エルカン総裁による先日の米ニューヨークでの投資家向け説明会を好感)、(3)トルコ議会によるスウェーデンのNATO(北大西洋条約機構)加盟の承認決定が支援材料となり、週央にかけて、週間高値4.95円(昨年12/20以来、約1カ月ぶり高値圏)まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(4)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測や、(5)上記5を背景としたトルコから米国への資金流出懸念(トルコリラが対ドルで史上最安値更新→トルコリラ円連れ安)、(6)トルコ1月景気動向指数(結果102.9、前回103.4)の冴えない結果、(7)トルコ1月設備稼働率(結果76.2%、前回77.5%)の冴えない結果、(8)トルコ中銀による利上げサイクルの終了示唆(トルコ中銀は政策金利を250bp引き上げて45.00%にすることを決定するも、声明文の中で「ディスインフレを確立するために必要な金融引き締めは既に達成されており、この水準は必要な限り維持される」「月次インフレ率の基調に大幅な低下が見られるまで、およびインフレ期待が予想される予測範囲に収束するまで、現在の政策金利水準が維持される」と言及→市場参加者は利上げサイクルの終了示唆と解釈)が重石となり、週後半にかけて、週間安値4.82円まで下落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/27午前3時00分現在)では、4.88円前後で推移しております。

来週の見通し(1/29−2/2)

トルコリラの対円相場(TRYJPY)は、1/3に記録した史上最安値4.73円をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約1カ月ぶり高値4.95円まで上昇しましたが、週末にかけては再び反落に転じ、現在は4.88円前後で推移しています。日足ローソク足が主要テクニカルポイントの下側に位置していることや、アップサイドより一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってくること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は乏しい)と判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)トルコ経済の先行き不透明感(今週発表されたトルコ1月景気動向指数やトルコ1月設備稼働率は冴えない結果。来週2/1に予定されているトルコ1月製造業PMIの結果次第でトルコ経済の下振れ懸念がもう一段高まる恐れあり)や、(2)トルコ国内のインフレ高進リスク(トルコ中銀による積極的な利上げを受けても尚インフレ抑制に繋がらず→実質マイナス金利に着目した構造的なリラ売り圧力)、(3)トルコ中銀による金融引き締め終了の思惑(トルコ中銀は今週開催された会合の中で利上げサイクルの終了を示唆)、(4)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測など、トルコリラ円相場の下落を連想させる材料が揃っています。

こうした中、今後の注目ポイントは、上記2で示したトルコ国内におけるインフレ動向に集まりそうです。トルコ中銀は今週、「ディスインフレを確立するために必要な金融引き締めは既に達成されており、この水準は必要な限り維持される」との見解を示しました。つまり、現在の政策金利水準(45.00%)でトルコ国内のインフレを十分抑制できると述べています。しかし、本当にインフレ率が鈍化するか否かは不透明です。仮に再来週(2/5)発表されるトルコ1月消費者物価指数や、トルコ1月生産者物価指数が市場予想を上回る場合には、実質金利のマイナス幅拡大を織り込む形で、市場参加者による利上げ催促のトルコリラ売りが再開するシナリオも想定されます。

以上を踏まえ、当方では引き続き、トルコリラ円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。一方、メインシナリオに対するリスクシナリオ(トルコリラ円相場が予想に反して上昇に転じるシナリオ)としては、トルコ政府・中銀による正常化政策を好感した資金流入期待の高まりが挙げられますが、トルコリラを巡っては、上述の通り、悪材料目白押しの状態にあるため、リスクシナリオが顕在化する可能性は現時点で然程大きくないと考えられます。

来週の予想レンジ(TRYJPY):4.70ー5.00

注:ポイント要約は編集部

『トルコ中銀による利上げサイクル終了示唆を受けて約1カ月ぶり高値圏から反落』

トルコリラ円日足

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