来週の為替相場見通し:『日欧金融政策イベントを経て、来週はいよいよ米FOMC結果発表』(1/27朝)

今週は一時146.65まで反落する場面が見られましたが、週末にかけて148円台を回復するなど、力強い動きが続いています。

来週の為替相場見通し:『日欧金融政策イベントを経て、来週はいよいよ米FOMC結果発表』(1/27朝)

『日欧金融政策イベントを経て、来週はいよいよ米FOMC結果発表』

〇今週のドル円、日銀植田総裁のハト派発言等に週前半148.73まで上昇
〇買い一巡後は円金利の上昇と米金利低下に週央146.65まで急落後、米指標の好調等に148円台で越週
〇ユーロドル、欧州圏の指標好調等に週央1.0933まで上昇後、ECB総裁のハト派発言に1.08台に反落
〇ドル円、主要テクニカルポイントを上抜け、強い買いシグナルも実現、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米金融政策の方向性の違いと円キャリートレード継続期待がドル円をサポート
〇来週は米FOMCと米1月雇用統計に注目集まる
〇引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):146.50ー150.00、(EURUSD):1.0725−1.0975

今週のレビュー(1/22−1/26)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初148.27で寄り付いた後、(1)日銀金融政策決定会合での金融緩和の現状維持決定(※フォワードガイダンスの変更なし)や、(2)展望リポートにおける2024年度の消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)見通しの下方修正(前回10月時点の+2.8%から+2.4%へ下方修正)、(3)植田日銀総裁による「マイナス金利を解除しても極めて緩和的な環境が続く」とのハト派的な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力が支援材料となり、翌1/23にかけて、週間高値148.73まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(5)円金利上昇に伴う円買い圧力(4月会合でのマイナス金利解除を7割超織り込む動き→本邦10年債利回りが昨年12/13以来の高水準へ急上昇)や、(6)短期筋のロスカット、(7)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、週央にかけて、安値146.65まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(8)一目均衡表雲上限を背にした押し目買い圧力や、(9)米1月総合PMI速報値(結果52.3、予想51.0)の市場予想を上回る結果、(10)米10ー12月期GDP速報値(結果3.3%、予想2.0%)の市場予想を上回る結果、(11)米12月新築住宅販売件数(結果66.4万件、予想65.1万件)の市場予想を上回る結果、(12)米長期金利の反転上昇、(13)米主要株価指数の堅調推移(ダウ平均株価、S&P500の年初来高値を更新)、(14)本邦1月東京都区部消費者物価指数・生鮮食料品除くコア(結果1.6%、予想1.9%、前回2.1%)の市場予想を下回る結果(日銀によるマイナス金利解除時期の後ずれ観測再燃)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間1/27午前3時30分現在)では、148.05前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0891で寄り付いた後、(1)米金利低下に伴うドル売り圧力や、(2)ECB理事会を控えたポジション調整、(3)ドイツ1月製造業PMI(結果45.4、予想43.7)の市場予想を上回る結果、(4)ユーロ圏1月製造業PMI(結果46.6、予想44.7)の市場予想を上回る結果、(5)欧州債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、(6)欧州株の堅調推移が支援材料となり、週央にかけて、週間高値1.0933まで上昇しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、(7)ドイツ1月IFO景況感指数(結果85.2、予想86.7)の市場予想を下回る結果や、(8)ラガルドECB総裁による「利下げ開始時期は夏の可能性が高い」「ユーロ圏経済は短期的な下振れリスクがある」「インフレはさらに鈍化すると予想」とのハト派的な発言、(9)上記8を背景としたECBによる早期利下げ観測の再燃、(10)一部通信社による「ECBはインフレ統計が改善すれば3月にも利下げ議論を開始する用意がある模様」とのハト派的な観測報道、(11)ドイツ2月GFK消費者信頼感指数(結果▲29.7、予想▲24.6)の市場予想を下回る結果、(12)米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0813(12/13以来、約1カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間1/27午前3時30分現在)では、1.0863前後で推移しております。

来週の見通し(1/29−2/2)

<ドル円相場>
ドル円は昨年12/28に記録した安値140.25をボトムに反発に転じると、1/19に一時148.82まで急伸しました。今週は一時146.65まで反落する場面が見られましたが、週末にかけて148円台を回復するなど、力強い動きが続いています。日足ローソク足が主要テクニカルポイント(21日線、90日線、200日線、ボリンジャーミッドバンド、一目均衡表転換線、基準線、雲上下限)の上側で推移していることや、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「昨年11/13高値151.91と昨年12/28安値140.25を起点としたフィボナッチ61.8%戻し」「21日線と200日線のゴールデンクロス」が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)日銀による金融緩和の長期化観測(植田日銀総裁は金融政策決定会合後の記者会見で「マイナス金利を解除しても極めて緩和的な環境が続く」と発言。加えて週末に発表された東京都区部消費者物価コア指数も大幅に鈍化→日銀による金融緩和の長期化観測再浮上)や、(2)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測、(3)上記1、2を背景とした日米金融政策の方向性の違いとそれに伴う円キャリートレードの継続期待(日米金利差拡大に着目したドル買い・円売り安心感)など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。

こうした中、来週は上記2を見極める目的で、米FOMCと米1月雇用統計に注目が集まります。米FOMCは政策金利の据え置きが見込まれているため、市場の関心はパウエルFRB議長の記者会見に移っています。パウエルFRB議長が利下げ議論は時期尚早とのスタンスを見せる場合には、現在5割程度織り込まれている3月FOMCでの利下げ観測が後退し、「米金利上昇→米ドル買い」の経路でドル円に強い上昇圧力が加わるシナリオが想定されます(直近で発表された米CPIや米GDPが市場予想を上回ったことや、ウォラーFRB理事が「利下げを急ぐ必要は無い」とのスタンスを見せていたこと等を踏まえると、パウエルFRB議長がこのタイミングで3月利下げの地均しを行う可能性は乏しい)。

また、来週末に予定されている米雇用統計が市場予想を上回る場合にも、「米金利上昇→米ドル買い」の経路と、「米株買い→リスク選好の円売り」の経路でドル円に上昇圧力をもたらしそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル買い・円売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします(来週中に1/18高値148.82や、心理的節目150.00を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(USDJPY):146.50ー150.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場(EURUSD)は、12/28に記録した約5ヵ月ぶり高値1.1141をトップに反落に転じると、今週末にかけて、一時1.0813(昨年12/13以来、約1カ月半ぶり安値圏)まで急落しました。日足ローソク足が市場参加者に意識されていた一目均衡表雲上限を割り込み始めたことや、4時間足などの下位足で強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーなど)が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、(1)欧州経済の先行き不透明感(先週発表された欧州12月新車販売台数が16カ月ぶりのマイナス転落を記録した他、今週発表されたドイツ1月IFO景況感指数も不冴な結果。また、週末1/26に公表されたECB専門家調査においても、ユーロ圏の2024年の成長率予測が前回の+0.9%から+0.6%へ下方修正。2024年のインフレ率見通しが前回の+2.7%から+2.4%へ下方修正)や、(2)ECBによる早期利下げ観測の台頭(今週発表されたECB理事会、ラガルド総裁記者会見が共にハト派的な内容となった他、一部通信社からも「ECBはインフレ統計が改善すれば3月にも利下げ議論を開始する用意がある模様」とのハト派的な観測報道あり)、(3)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米長期金利に上昇圧力)など、ユーロドル相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

こうした中、来週は上記1を確認する目的で、1/30に予定されているユーロ圏第4四半期GDP速報値や、ユーロ圏1月欧州委員会景況指数に注目が集まる他、上記2を見極める目的で1/31に予定されているドイツ1月消費者物価指数速報値や、2/1に発表されるユーロ圏1月消費者物価指数速報値に注目が集まります。ユーロ圏第4四半期GDP速報値や、ユーロ圏1月欧州委員会景況指数が市場予想を下回る冴えない結果を示す場合や、ドイツ1月消費者物価指数速報値や、ユーロ圏1月消費者物価指数速報値がインフレ率の更なる鈍化を示す場合には、「ECBによる早期利下げ観測台頭→欧州債利回り低下→ユーロ売り」の経路で、ユーロドルにもう一段強い下押し圧力が加わるシナリオが想定されます。当方は米FOMCもタカ派的な結果になると見ていることから、米金利上昇→米ドル買いの経路でも、ユーロドルを押し下げそうです。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0725−1.0975

『日欧金融政策イベントを経て、来週はいよいよ米FOMC結果発表』

ドル円日足

注:ポイント要約は編集部

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