トルコリラ円見通し 中銀利上げには反応薄いがリラ安基調は継続、目先はドル円動向を追いかける(24/1/26)

トルコリラ円の1月25日は概ね4.89円から4.85円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.88円からは0.01円の円高リラ安だった。

トルコリラ円見通し 中銀利上げには反応薄いがリラ安基調は継続、目先はドル円動向を追いかける(24/1/26)

中銀利上げには反応薄いがリラ安基調は継続、目先はドル円動向を追いかける

〇トルコ円、1/24深夜安値以降は4.89から4.85のレンジで横ばい推移、米12月PCE統計への反応要注意
〇対ドル、1/25は概ね30.34から30.05の取引レンジ、1/26午前序盤には30.40を付け史上最安値と並ぶ
〇トルコ中政策金利を2.5%引き上げ、8会合連続の利上げで利上げ終了を示唆
〇トルコ外貨準備高は4週連続で減少、格付け機関による評価への悪影響への懸念も
〇4.90を下回るうちは一段安余地ありとし、4.85割れからは4.82前後への下落を想定する
〇4.90超えからは、4.92前後への上昇を想定する

【概況】

トルコリラ円の1月25日は概ね4.89円から4.85円の取引レンジ、26日早朝の終値は4.87円で前日終値の4.88円からは0.01円の円高リラ安だった。
トルコ中銀による追加利上げに対してはドル/トルコリラの反応は鈍かったもののドル高リラ安基調は継続している。トルコリラ円はドル高リラ安基調の継続を意識しつつ、目先はドル円の騰落を追いかけているところだが、ドル円は1月23日の日銀会合を通過して乱高下したものの、1月24日深夜安値で146.65円まで下げた後はやや持ち直し気味の推移となり、25日夜は米長期債利回り低下を見て147.07円まで反落してから147.90円まで戻し、26日午前序盤も147円台後半に付けて148円を伺う位置に付けている。
トルコリラ円は日銀会合後の乱高下により24日早朝に4.95円を付けて年初来高値を更新し、ドル円が24日深夜へ下落した局面で4.85円まで下げたが、その後は4.89円から4.85円までのレンジで横ばい推移となっている。目先は今夜の米12月PCE統計からドル円が上昇できるかどうか試され、トルコリラ円もドル円を追いかける流れと思われる。

【ドル/トルコリラは中銀利上げには反応薄いがリラ安継続】

ドル/トルコリラの1月25日は概ね30.34リラから30.05リラの取引レンジ、26日早朝の終値は30.23リラで前日終値と変わらなかった。
トルコ中銀が2.5%利上げを決定し、利上げサイクルの終了との見方を示したことに対して当初の市場反応は予想通りとして鈍かったが、高インフレを踏まえれば利上げ終了には時期尚早としてリラ高へは進まず、26日午前序盤には30.40リラを付けて1月23日に付けた取引時間中の史上最安値と並び、小数点下四桁では1月23日安値30.3954リラに対して26日午前安値を30.3955リラとして史上最安値をわずかに更新している。
日足終値ベースでは1月24日終値30.23リラで史上最安値を更新し、25日も同値としたが、小数点下四桁では1月24日終値30.2285リラから25日終値30.2347リラとわずかに最安値を更新している。

【トルコ中銀、8会合連続の利上げで利上げ終了示唆】

トルコ中銀は1月25日の金融政策決定会合において政策金利の週間レポレートを2.5%引き上げて45.0%とした。8会合連続の利上げであり、エルドアン大統領再選後に就任したエルカン総裁体制となってからは毎月の利上げで就任前の8.5%に対して36.5%の利上げ幅となった。
トルコ中銀は「インフレ抑制に必要な金融引き締めは達成され、必要な限りこの水準を維持する」とし、今回で利上げサイクルが終了するとの見通しを示し、今後の利下げについては物価動向次第とした。
インフレ率は12月のCPIは64.77%、コアCPIが70.6%と高く、実質マイナス金利状態は解消していない。インフレ高進が続く可能性もまだ高い印象だが、鉱工業生産の低迷等を見れば大幅な連続利上げによる景気への悪影響も懸念されるため、これ以上の引き締めは回避したいということだろう。1月のCPIがさらに上昇してピーク感を示さない場合、2月会合で追加利上げが見送られるなら利上げ催促的なリラ売りを招くことも考えられる。

【トルコ外貨準備高は減少】

1月25日夜に発表されたトルコ中銀の外貨準備高は1月19日時点のグロスで903.7億ドルとなり1月12日時点の919.9億ドルから減少し、ネットでは236.5億ドルとなり1月12日時点の295.0億ドルから減少した。
ネットの外貨準備高は昨年6月序盤にマイナス57億ドルを記録したところから劇的に改善して昨年末に400.9億ドルに達したが、その後は4週連続で減少している。外貨準備高の増加が信用格付け見通しの引上げに貢献してきたため再び増加傾向を示せない場合には格付け機関による評価への悪影響も懸念される。

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

【60分足 一目均衡表・サイクル分析】

トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月23日午後安値から24日早朝へ一段高したために24日午前時点では23日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとし、すでにサイクルトップを付けた可能性があるとして4.86円割れからは弱気サイクル入りとしていたが、1月24日深夜にかけての下落時に4.86円を割り込んだために25日午前時点では24日早朝高値を直近のサイクルトップとした弱気サイクル入りとして26日午後から30日午後にかけての間への下落を想定した。24日深夜以降は安値更新を回避しているものの4.90円以下にとどまっているのでまだ一段安余地ありとするが、4.90円超えからは強気転換注意として4.92円前後への上昇を想定する。

60分足の一目均衡表では24日深夜以降を下げ渋りの持ち合いとしているため方向感に欠ける。4.85円を割り込むところからは下げ足が速まるとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、4.90円超えからは上昇継続の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ揉み合いのため、60ポイント超えからは上昇継続として70ポイント台への上昇を想定するが、40ポイント割れからは下落再開とみて20ポイント台への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.85円を下値支持線、4.90円を上値抵抗線とする。
(2)4.90円を下回るうちは一段安余地ありとし、4.85円割れからは4.82円前後への下落を想定する。4.82円以下は反騰注意とするが、4.88円を割り込んでの推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)4.90円超えからは4.92円前後への上昇を想定する。4.92円以上は反落注意とし、その後に4.88円を割り込むところから下げ再開とみるが、4.90円を上回っての推移が続く場合は週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1月30日
 16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 96.4)
1月31日
 16:00 12月 貿易収支 (11月 -59.2億ドル)
 16:00 10-12月 海外観光収入 (7−9月 202.3億ドル)
 17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 -1.0%)



注:ポイント要約は編集部

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