ドル円見通し 米GDP反応は限定的、147円台中心の揉み合い(24/1/26)

1月25日夜の米経済指標発表直後に147.90円を付けてから147.07円へ下落し、26日未明に147.90円まで戻したものの148円には届かず、26日午前序盤はやや下げている。

ドル円見通し 米GDP反応は限定的、147円台中心の揉み合い(24/1/26)

ドル円見通し 米GDP反応は限定的、147円台中心の揉み合い

〇ドル円、1/25夜の米経済指標発表直後に147.90を付けてから147.07へ下落
〇1/26未明に147.90まで戻すも148円には届かず、1/26午前序盤はやや下げる
〇昨日発表の米GDPは予想を上回る、PCEデフレーターは低位安定
〇米長期債利回りは総じて低下、米株価は上昇、NYダウは前日の反落から切り返して史上最高値更新
〇147円以上を維持するうちは上昇余地ありとし、148円超えからは148.69及び148.80試しを想定する
〇147円割れからは1/24深夜安値146.65試しとし、底割れからは146.00前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は1月24日深夜に欠けてのドル安局面で146.65円を付けてから持ち直しに入り、1月25日夜の米経済指標発表直後に147.90円を付けてから147.07円へ下落し、26日未明に147.90円まで戻したものの148円には届かず、26日午前序盤はやや下げている。
米10−12月期GDPは7−9月期から鈍化したものの市場予想を上回る堅調さを示してこれまでの金融引き締めによる景気後退への懸念を薄めたためにドル円は当初に上昇したが、10−12月期のコアPCEが7−9月期と同じ2.0%と鈍化状態を示したことや新規失業保険申請件数が悪化したことを見て米長期債利回りは低下したためにいったん下落し、147円割れを回避してから再び持ち直す展開だった。

1月25日夜はECBが予想通りに政策金利据え置きを決定したが、ラガルド総裁が会見で第4四半期のユーロ圏経済は停滞した可能性が高いなどと景気後退への懸念を示したことで夏には利下げへ向かうのではないかとの見方が強まりユーロドルは26日早朝にかけての下落で12月28日高値以降の安値を更新し、ユーロ安がポンド等の連鎖下落を招いたことによるドル高感が26日早朝にかけてドル円が戻す要因となった印象だ。

【米GDPは予想上回り、PCEデフレーターは低位安定】

1月25日夜に米商務省が発表した2023年10−12月期実質GDP速報値は季節調整済み年率換算で前期比3.3%増となり7−9月期の4.9%増からは低下したものの市場予想の2.0%増を大幅に上回り6四半期連続のプラス成長見込みとなった。また2023年通年のGDP伸び率は前年比2.5%で2022年の1.9%を上回った。
GDPの凡そ7割を占める個人消費は2.8%増で前期の3.1%増から若干低下したが市場予想の2.5%増を上回った。住宅投資は1.1%増、輸出は6.3%増、設備投資は1.9%増だった。
インフレ指標では、GDPデフレーターが前期の3.3%から1.5%へ低下、PCE(個人消費支出)デフレーターは1.7%で前期の2.6%から低下、コアPCEデフレーターは2.0%で前期と変わらなかった。
インフレが鎮静化しつつ景気後退への懸念もまだ薄い状況を示しており、米FRBとしては利下げを急ぐ必要はないものの今後の景気減速リスクを踏まえて利上げ状態の長期化は避けたいところだろう。

米労働省による新規失業保険申請件数は1月20日までの週間で前週比2万5000件増の21万4000件と悪化に転じ、失業保険受給者総数は1月13日まで週間で183万3000人となり前週から2万7000人増加した。
米商務省による12月耐久財受注は前月比横ばいで市場予想の1.1%増を下回ったが、設備投資の先行指標である航空機を除く非国防資本財受注は0.3%増で予想の0.1%増を上回った。
12月の米新築住宅販売件数は66.4万件となり11月の61.5万件及び市場予想の64.9万件を上回ったが、前月比としては8.0%増で11月の9.0%減から改善したものの予想の10.0%を下回った。

【米10年債利回りは低下、ダウは前日の反落から切り返して最高値更新】

1月25日の米長期債利回りは総じて低下した。
長期金利指標の10年債利回りは米経済指標発表後に低下して前日比0.06%低下の4.12%となった。昨年12月27日の3.78%を起点として上昇してきたが、1月19日に4.20%をつけ、25日も一時同値を付けてから失速したために上昇一服感がみられる。
30年債利回りは前日比0.04%低下の4.37%、政策金利動向に敏感な2年債利回りは前日比0.08%低下の4.30%となり10年債や30年債と比較して低下幅が大きかった。
米経済指標発表後に米金利先物市場が織り込む利下げ期待度は3月で45%近辺、5月利下げについては90%へ上昇した。3月利下げはともかく5月利下げ開始期待はかなり濃厚といえる。

一方でNYダウは前日比242.74ドル高と上昇し、24日の99.06ドル安の反落から切り返して史上最高値を更新し、ナスダック総合指数も28.58ポイント高と上昇し、前日に付けた2022年10月以降の最高値更新には至らなかったものの1月18日からの連騰を6営業日に伸ばした。株式市場はこれまでの金融引き締め効果による景気後退リスクが低下してソフトランディングしつつ金融緩和時代に入れば上昇するとの先高期待が優勢だ。

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

【60分足、サイクル・一目均衡表分析】

ドル円は1月24日深夜への下落時に1月23日午後安値を割り込んで一段安となったため、1月19日高値148.80円と1月24日未明高値148.69円をダブルトップとした下落期に入っている可能性があるものの、24日深夜安値の後は147円台で下げ渋っている。
148円を超える場合は24日深夜安値を起点とした上昇期入りと仮定して27日未明から31日未明にかけての間への上昇を想定するが、148円以下での推移中は下向きとし、24日深夜安値割れからは29日夜から31日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では、147円台中心の揉み合いとなり遅行スパン及び先行スパンは実線と交錯して方向感に欠ける。148円超えからは上昇継続の可能性ありとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合は下向きとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、24日深夜安値割れからは下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は50ポイントを挟んだ揉み合いで推移している。60ポイント超えからは70ポイント台中盤への上昇を想定するが、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、147.00を下値支持線、148.00円を上値抵抗線とする。
(2)147円以上を維持するうちは上昇余地ありとし、148円超えからは1月24日未明高値148.69円及び1月19日午後高値148.80円試しを想定する。148.50円以上は反落注意とし、その後に148円を割り込む場合は下げ再開を警戒するが148円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)147円割れからは24日深夜安値146.65円試しとし、底割れからは146.00円前後への下落を想定する。146円以下は反騰注意とするが、147円以下での推移が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の予定】

1/26(金)
休場 オーストラリア、インド
22:30 (米) 12月 個人所得 前月比 (11月 0.4%、予想 0.3%)
22:30 (米) 12月 PCE(個人消費支出) 前月比 (11月 0.2%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 PCEデフレーター 前年同月比 (11月 2.6%、予想 2.6%)
22:30 (米) 12月 コアPCEデフレーター 前月比 (11月 0.1%、予想 0.2%)
22:30 (米) 12月 コアPCEデフレーター 前年同月比 (11月 3.2%、予想 3.0%)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前月比 (11月 0.0%、予想 2.0)
24:00 (米) 12月 住宅販売保留指数 前年同月比 (11月 -5.1%、予想 -4.3%)



注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る