『約2カ月ぶり高値圏へと急上昇。ハニャホ総裁は利下げに慎重な姿勢を崩さず』
〇今週の南ア円、週明け早々7.69まで下落するも週末にかけて7.89まで急伸
〇南ア中銀会合のタカ派的な結果が南アランドをサポート
〇テクニカルには一目均衡表雲下限を上抜け、レジスタンスの7.85も突破、地合い強い
〇ファンダメンタルズは南ア経済・政局の先行き不透明感、金・プラチナの価格低迷等が重石
〇引き続き、南アランド円相場の一巡後の下落をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(ZARJPY):7.70ー8.00
今週のレビュー(1/22−1/26)
今週の南アフリカランド円相場(ZARJPY)は、週初7.79円で寄り付いた後、(1)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(米金利上昇→南アフリカから米国への資金流出圧力)や、(2)金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)、(3)南ア株の軟調推移が重石となり、週明け早々に週間安値7.69円(1/8以来、約2週間ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(4)注目された南ア中銀会合(SARB)のタカ派的な結果(南ア中銀は4会合連続で政策金利の据え置きを決定するも、ハニャホ総裁は「利下げを正当化するような明確なディスインフレ傾向は見られない」と慎重姿勢を崩さず→南ア中銀による利下げ開始時期の後ずれ観測→南アランド買い)が支援材料となり、週末にかけて、週間高値7.89円(昨年12/1以来、約2カ月ぶり高値圏)まで急伸しました。
引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間1/27午前2時50分現在)では、7.88円前後で推移しております。尚、今週発表された南ア12月消費者物価指数(結果5.1%、予想5.2%)及び、南ア12月生産者物価指数(結果4.0%、予想4.4%)は共に市場予想を下回りましたが、南アランド円相場への影響は限定的となりました。
来週の見通し(1/29−2/2)
南アランドの対円相場は昨年12/28に記録した安値7.55円をボトムに切り返すと、週末にかけて、約2ヵ月ぶり高値となる7.89円まで急伸しました。日足ローソク足が市場参加者に意識されていた一目均衡表雲下限を上抜けすると共に、レジスタンスとして意識されていた7.85ライン(1/11高値と1/19高値が位置するライン)を明確に突破したこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。
但し、ファンダメンタルズ的に見ると、(1)南ア経済を巡る先行き不透明感の残存(国営電力会社エスコムによる計画停電など南ア経済の下押しに繋がる課題が山積)や、(2)南アフリカの政局不透明感(今年開催される南ア総選挙で下院が過半数割れに陥るリスク)、(3)米FRBによる利下げ開始時期の後ずれ観測(南アフリカから米国への資金流出要因)、(4)南アフリカの主要産品である金・プラチナ価格の冴えない動き(南アフリカの交易条件悪化懸念)など、依然として南アランド円相場の下落を連想させる材料が揃っています。今週発表された南ア中銀会合でハニャホ総裁が慎重姿勢を崩さなかったことで、南ア中銀による早期利下げ観測はひとまず後退しましたが、足元で燻る南ア経済の減速懸念と、インフレ圧力の鈍化傾向を考慮すれば、南ア中銀が早期利下げに踏み切る可能性は否めず、当方では引き続き、南アランド円相場の一巡後の下落をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週は1/31に予定されている南ア12月貿易収支以外に目立った南ア経済イベントが予定されていないため、中国の主要経済指標(中国1月製造業PMI、中国1月非製造業PMI)や、米国の主要経済指標(米FOMCや、米1月雇用統計)を睨みながらの神経質な展開となりそうです。
来週の予想レンジ(ZARJPY):7.70ー8.00
注:ポイント要約は編集部
南アランド円日足
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