ドル/トルコリラは取引時間中の史上最安値を更新、トルコの格付け見通しは改善傾向
〇トルコ円、1/24早朝一時的高値で4.95つけ年初来高値更新するも、午前はやや軟調推移
〇対ドル、1/23取引時間中に30.40リラつけて史上最安値更新
〇1/25のトルコ中銀政策金利発表を控え、大幅利上げ催促的なリラ売りが続く
〇格付け会社の評価は改善するも実質マイナス金利状態の改善遠く、ドル高リラ安の歯止めに至らず
〇4.88を下回るうちは上昇余地ありとし、4.93超えからは4.95前後への上昇を想定
〇4.88割れからは下向きとし、4.86割れからは4.83前後への下落を想定
【概況】
トルコリラ円の1月23日は概ね4.82円から4.95円の取引レンジ、24日早朝の終値は4.89円で前日終値と変わらなかった。23日午前の一時的安値で4.82円をつけ、24日早朝の一時的高値で4.95円を付ける場面もあったが、それらの飛び値を除けば4.86円から4.91円までのレンジ内で推移している。
1月23日は日銀金融政策決定会合後にドル円が波乱となり、ドル円は金融緩和政策の現状維持が示された直後に148.54円へ上昇し、日銀植田総裁会見でのマイナス金利解除等への言及で一時146.99円まで反落し、その後はやや過剰な円高反応だったとして元の水準へ持ち直し、米長期債利回り上昇を見て24日未明には148.69円まで戻した。
トルコリラ円は一時的な飛び値を除いて、日銀会合結果発表直後に4.91円へ上昇し、総裁会見中の急落で4.86円まで下げてから24日未明には4.91円まで戻した。24日早朝の一時的高値で4.95円を付けて年初来高値を更新したことで上昇基調を維持しやすくなったといえるが、24日午前はやや軟調推移であり、ドル高リラ安が収まらないことにはドル円に対する追従も息切れしかねず、ドル円が149円手前を当面のピークとして下落に転じる場合には円高とリラ安の両面から押し下げられる可能性もあると注意したい。
【ドル/トルコリラは取引時間中の史上最安値を更新】
ドル/トルコリラの1月23日は概ね30.40リラから29.90リラの取引レンジ、24日早朝の終値は30.22リラで前日終値と変わらなかった。
1月25日のトルコ中銀政策金利発表を控えて大幅利上げ催促的なリラ売りが続いており、1月12日に1ドル30.34リラまで取引時間中の史上最安値を更新した後は新たな安値更新を回避していたものの、日足の終値ベースでは1月12日に初めて30リラ台に乗せてからも安値更新を続け、17日から22日まで4営業日連続で終値としての最安値を更新してきた。
1月23日は終値は前日と同値に留まったものの取引時間中の史上最安値を30.40リラまで伸ばし、24日午前も30.30リラ近辺に付けて最安値更新を伺っている。
1月23日に発表されたトルコの1月消費者信頼感指数は80.40となり12月の77.40から改善し、昨年8月の68.00からの改善傾向を続けたが、市場の反応は限定的だった。1月22日に発表された12月のトルコ中央政府債務残が6兆7225億リラとなり過去最大を更新したことによる圧迫感を引きずっている印象だ。外貨建て債務はリラ安が続けば自ずと膨れ上がるため、積極的な追加利上げでインフレ高進をストップさせないことにはリラ買いへの安心感も拡大しないだろう。
【トルコの格付け見通し改善続くもリラ安は止まらず】
昨年後半からトルコの格付け見通しは改善傾向にある。
1月12日、大手格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスはトルコのソブリン格付け見通しを従来の「安定的」から格上げ方向で見直す可能性のある「ポジティブ」に引き上げた。格付けそのものはB3(ジャンク級、投資適格級を6段階下回る)で2022年8月にB2からB3に引き下げたままとした。同社は見通しの引上げについて「インフレ率は短期的にさらに上昇する可能性が高いものの、トルコ中銀の金融政策が信頼性と有効性を取り戻している」とした。
1月12日にはドイツの格付け会社であるスコープ・レーティングスもトルコの格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げている。
昨年後半から格付け会社によるトルコへの評価は改善している。S&Pグローバル・レーティングは昨年9月29日にトルコの格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げ、11月30日には「安定的」から「ポジティブ」へ引き上げている。しかし、格付け会社の評価が改善していることが直接的にはドル高リラ安の歯止めには至っていない。1月25日にトルコ中銀による2.5%追加利上げが予想されているものの、実質マイナス金利状態の改善には遠く、今年に入ってからのリラ安はより大きな利上げを催促している印象だ。
【60分足 一目均衡表・サイクル分析】
トルコリラ円の概ね3日から5日周期の底打ちサイクルでは、1月22日夜への下落で1月18日夕安値を割り込んだため、18日未明と19日午後の両高値をダブルトップとした弱気サイクル入りとして23日の日中から25日夕にかけての間への下落を想定した。
1月23日の日銀会合結果と総裁会見から乱高下したものの、23日午後安値から24日早朝へ一段高したため、23日午後安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして24日午後から26日午後にかけての間への上昇を想定する。
ただし、24日早朝高値からは反落しているのですでにサイクルトップを付けた可能性もあるため、4.88円割れを弱気転換注意とし、4.86円割れからは弱気サイクル入りとして26日午後から30日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では23日午後からの反騰で遅行スパンが好転したが24日午前への反落で悪化しつつあり、24日早朝への上昇時に先行スパンを上抜いたもののその後の反落で先行スパンへ潜り込んでいる。
先行スパンからの転落を回避するうちは上昇余地ありとして遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、先行スパン転落からは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は24日早朝への上昇時に60ポイントを超えたもののその後の反落で50ポイントを割り込みつつある。55ポイント超えからは上昇再開として60ポイント台後半への上昇余地ありとするが、50ポイント以下での推移中は下向きとし、40ポイント割れからは20ポイント台への低下を伴う下落を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4.88円を下値支持線、4.92円を上値抵抗線とする。
(2)4.88円を下回るうちは上昇余地ありとし、4.93円超えからは4.95円前後への上昇を想定する。4.95円以上は反落注意とするが、4.90円を上回っての推移なら25日も高値試しへ向かう可能性ありとみる。
(3)4.88円割れからは下向きとし、4.86円割れからは4.83円前後への下落を想定する。4.83円以下は反騰注意とするが、4.88円を割り込んでの推移なら25日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
1月25日
16:00 1月 製造業信頼感指数 (12月 99.1)
16:00 1月 設備稼働率 (12月 77.5%)
20:00 トルコ中銀 政策金利 (現行 42.5%、予想 45.0%)
20:30 週次 外貨準備高 1月19日時点 グロス (1月12日時点 919.9億ドル)
20:30 週次 外貨準備高 1月19日時点 ネット (1月12日時点 295.0億ドル)
1月30日
16:00 1月 経済信頼感指数 (12月 96.4)
1月31日
16:00 12月 貿易収支 (11月 -59.2億ドル)
16:00 10-12月 海外観光収入 (7−9月 202.3億ドル)
17:00 12月 海外観光客数 前年同月比 (11月 -1.0%)
注:ポイント要約は編集部
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